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デビュー作とは思えない筆力。かなりドロドロとした青春ミステリーだが、繊細な面もある。本当に新人なのかと思う程、高い文章力や構成。そして、作品の中に引き込む力などがすば抜けている。読者を考えさせながら読ますという感じがすごくいい。謎が解けた瞬間、なるほどと思った。次回作も期待。
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「うまく騙してくれたなぁ」系の青春ミステリー。「見え見えなんだよ」と言う俺の鼻っ柱を上手にへし折ってくれました。ただ、説明的な種明かしの下りは不要だったのではないかと。とは言え、今後が楽しみな作家さんではあります。
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絶賛評を複数見て、これは読まずばなるまい、と。
間違いなく文章力は非凡。当たり前の言葉で、当たり前でないことが綴られている。確かに、これまでありそうでなかったものではないかという気がする。
後は、好みの問題ということ。今のところ、私は保留。ただ、この作家さんは注目だ!
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・・・・・・・冒頭
ぼくの席は窓際の最後列にある。毎朝、ぼくは始業時間ぎりぎりに後ろの扉から一年A組の教室に入り、気配を殺してそっと席に着く。誰とも挨拶を交わさないし、誰一人として僕を振り返らない。
一居士架はある出来事をきっかけにクラスの中で幽霊のような存在になってしまう。
席替えで女子の玖波高町が前の席になったことで、事態は一変する。
読み始めは、いじめをテーマにした学園小説かと思ったが、“幽霊”という存在の本当の意味が分かりはじめる中盤あたりから、作品全般の趣が変わっていく。
そして最後には、予想だにしなかった驚きの結末が用意されている。
ストーリー展開として見ればとても興味深い小説だと思う。
キンドルの電子書籍で好評を博し、実際の単行本化された著者のデビュー作だそうだ。
そう言われれば、まだまだ新人作家特有の堅さが文章に垣間見られる。
一人称で、主人公の心理や情景描写が饒舌過ぎる言葉で語られることもあって、最初は非常に読みにくいのだ。
ありきたりではない比喩もかなり多用されるのだが、この比喩も文字数が多く腑に落ちるものは少ない。
言葉の多さによって、逆に情景や心情の輪郭もぼやけてしまっているように思える。
ここまで言葉を駆使して説明する必要はないのではないか
作者の思いを伝えようとするあまり、少し空回りし過ぎか。
もう少し、文章を研ぎ澄まさせ、余分な表現を削り落とせば、この2/3くらいで充分に完成した小説になり、よりいい作品になるはずだ。
でも、長い文章に辟易しない読者にとっては、結構面白い作品だ。
私的には、“今後の作品を追いかけてみたい”と思えるような新しい作家に出会った気分だった。
興味を持った方には是非読んでもらいたい作品です。
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あることがきっかけでクラス内で無視される架と、
席替えで前の席になり、友達となっていく高町。
ミステリーを読み慣れない、
短めのシンプルな文章を好む私には、
たとえば話につっかかり、冒頭からテンポよく読めませんでした。
高校生らしからぬ、謎の多い架と高町の秘密が
少しずつ少しずつ明かされていき、
どんでん、どんでん、またどんでん返しに
そうなのか~、そう来たか~と
最後は一気に突き進んでしまい…。
気が付いたら、さわやかなラスト。
架は結局…???
気になりだすと止まりませんが…
久しぶりに150pぐらいを一気に読みました。
明日、多忙なのに寝不足だ。
ま、仕方ない仕方ない!的な一冊です。
自我の目覚めの比喩、考え深かったです。
そんな表現…と思いますが、思い当たります…。
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「ぼくは・・・幽霊じゃない」
教室で孤立する「幽霊」だった架。誰にも話しかけられない高校生活が、前の席に座る高町と関わる事によって変わっていく。
架は文字通り「幽霊」なのか、それとも比喩的意味での「幽霊」なのか、そこがなかなか明かされないっていうのが、良かったな。
そして高町の謎めいた行動の真実が見えた時、何ともやりきれない気持ちになった。
妹が重い心臓病っていうだけでも大変なのに、高町自身は養女で、両親の娘に対する態度に怒り悲しんでいる。
妹の事も大切に思っているし、育ててくれた父母も愛している。それゆえに苦しみ、一人責任を感じて全てを抱え込んでしまう彼女の姿が、あまりに悲しい。自分さえいなければ愛する家族は幸せでいられたのにと、自分を責める場面は胸が痛くなる。
でも親とはいえここまで露骨じゃないにしても、比べる心は確かにあるとは思う。それを正そうとする少女の思いまで、知らずのうちに抑え込んでしまう、その事がとても辛いけど。
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幽霊扱いされているちょっと暗い男の子が主人公。席替えをきっかけに前の席の女の子と話をするようになり、そこから事件やそれぞれ抱える問題に対峙していく。
正直途中あれってなる事が多く、実はこうだったという展開がたくさんちりばめられてて惑わされます。死んだと思い込んでいると疑問符が浮かぶ展開に。最後は先がある流れなのでよかったです。架くんが幽霊から生身の人間になる成長が最後の丸岡の会話であらわれてきます。
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ある事件をきっかけにクラスで孤立してしまった一居士。そのうち幽霊扱いされ存在すら認識してもらえなくなる。ところがある日、玖波高町という女子生徒が文化祭の調べ物を手伝って欲しいとコンタクトを取って来た。一居士はその意図が解らないながらも嬉しかった。文化祭の準備してる中で起こる動物の虐待死体やクラスの亀裂。
一気読みするほどの面白さだった。幽霊扱いなのか本当の幽霊なのか?また登場人物の心理描写がよく描かれているので引き込まれる。病気の娘を持ってしまった高町の両親、息子をどう扱って良いのか解らなくなった一居士の両親まで心理描写が行き届いている。
オチも二転三転して意表をつかれた。
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これから読む人に一言言うとすれば「最後まで読め」。
クラスで幽霊扱いされている主人公と、それに唯一構ってくれてる女子高生を中心とした物語。
正直前半は退屈だった。物語の軸が主人公である語り手ではなく、相手の女子高生だと判った辺りから話に展開とスピードがついてくる。
そこにある事実と、それを考える思考と、そこから出てくる発言との乖離にイラつく自我。
ハイティーン特有の揺れる心を、なんだかまだるっこしく描いた作品。
そのまだるっこしさが、登場人物の心持のまだるっこしさとリンクしている。
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説明的な感じの文章が苦手なのもあって、読みにくかった。
でも、先が気になる気持ちもあって、ざっと飛ばし読みしてしまった。
なのに、ラストが今思い出せなくて、やっぱり飛ばし読みなんてしちゃいけないなと反省。
合わないなと思ったら、潔く閉じるべきなのかも(笑)
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全体的に文章が装飾過多ですし、話が蛇行することもあり読み難かったです。
複雑な家庭環境のヒロインと、クラスで幽霊扱いされる主人公の内面がリアルに描かれているので、青春小説としては読み応えがあります。
ただ、ミステリーとしては不満が残りました。中盤の仕掛けは主人公が見えているものを正しく読者に伝えていないのでアンフェアだと思いました。
ラストの火事の真相や結末は素直に驚きましたが、主人公に関する謎は予想の範囲内でした。
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きっとこうだろうなって予想通りかと思いきや裏切られたと思いきややっぱりあってて…といったどんでん返しに次ぐどんでん返し!
でもそんなのはたいしたことじゃなくて、読みやすくてミステリだと感じさせなかったところに思いもよらないトリックがあって騙されました。正直たいしたことないなーと思いつつ読んでいたのでびっくりです。ミステリというより青春小説として読んだ方がいいかもしれません。
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一行目:「ぼくの席は窓際の最後列にある。」
行きつけの書店でイチオシだったので。
クラス内で幽霊扱いされている、僕。ある日、前の席の女子・高町が声を掛けてきた。クラスメイトには秘密の、不思議な2人の関係はー。
後半は、高町の家庭環境が目玉になってくる。なかなか巧いミスリードだ。
読んでもらわないと、解説しづらい作品。デビュー作だというから、かなり面白いほうだと思う。
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計算されたものかもしれないし、
主人公が置かれた立場の空気感を出すため
ある程度は仕方のない事かもしれないが
狭く閉じられた世界で繰り返される
鬱々とした日常の描写が丹念に丹念に描かれていることに
読みながら閉口する。
誰からも相手にされず時間の経過を待ち望む学校生活、
家に帰れば関係が冷えきった両親が小言を言い合いながらの夕食、
登場人物は片手で足りるくらいの人数しか登場せず。
クラスの誰それがどうした、
クラスでこんなことがあったという一挙手一投足を
ひたすら描写されて続けることに
果たして意味はあったのだろうか。
徹頭徹尾、自己完結した小説で
作中の企みさえも読者を驚かすための仕掛けではなく
作者自身が悦に入るために用意されたものであるように感じた。
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12月22日読了:地方都市私立高校1年生になって7ヶ月、最初のある失敗が原因で、一居士架は誰からも話しかけられることもなく教室のに一番後ろの席で幽霊として扱われていた。しかし、何度目かの席替えの後、架の前の席になった玖波高町という女子生徒が、放課後、架日話しかけてくる。文化祭の発表の準備を手伝って欲しいと言われ、クラスメイトの知らない放課後の2人の時間が始まる。学校を休みがちない高町だったが、高町の存在は架に取ってかけがえのないものになっていく。そんな折高町の休んでいる時の謎の行動がクラスメイトにより暴露され、小動物学校殺される事件が起こると高町が気にかけるようになる。
高町がさいさい学校を休むのはなぜなのか。そして、高町が告げる架のあっと驚く秘密。また、高町は何を隠しているのか。謎が明かされるとまた謎が….。途中で混乱してくるが最後、一つにまとまっていったのがよかった。以前だったら高町の親みたいなケースはあり得ない!って思っただろうが現実を考えるとあることなのかもしれないなと思った。