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大きな事件は起きずとも、江戸の市井に暮らすひとびとの暮らしぶりの温度が伝わってくるような作品。
時間に追われる日々に疲れたら、続編を読みすすめたいと思う。
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泉鏡花賞、解説:縄田一男
深川澪通り木戸番小屋◆両国橋から◆坂道の冬◆深川しぐれ◆ともだち◆名人かたぎ◆梅雨の晴れ間◆わすれもの
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なかなか良かったです。
良い時代小説シリーズを見つけました。
鬼平ほど血なまぐさくもなく、
かわせみほど女々しくもなく。
最後には救いのある所も良いです。
文章も読みやすく、過度の装飾もなく、品が良くて好きです。
火傷を負って火消しが出来なくなった人が、新しく自分のアイデンティティと奥さんを得る話。
夫婦の危機を乗り越える若い夫婦の話。花火に打ち込む話。
境遇の違う相手との恋を成就させてそれぞれ幸せになる(と思う)2つのカップルの話。大店の娘さんと植木職人。花売りと大店の跡取り息子。
笑兵衛さんが、若い女性にふらふらっと来そうになる話。
身寄りのない寂しい境遇の年配の女性2人が、友達になる話。
意地を通す年老いた女擦りの話。
人に騙されて落ちぶれた過去から、常に「甘い言葉、上手い話を信じるな」と言い続けた父親が、娘が好いた旦那から捨てられる時に、娘が可哀想だと泣いて縋る話。でも最後には、酷い奴だった旦那から手切れ金を貰い、さっぱりと前向きにやり直す所がとても良かった。
貧しい境遇から気立てと頭の良さで富と幸せを掴んだ若い女性が、いつの間にか夫の気持ちを大事にしていなかったと気付き、幸せの中に戻って行く話。
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宇江佐作品を読み終わってしまった後、市井人情ものロスになる前に、エエの探しとことと思い、評判の高いこのシリーズを手に取った。
正解!
木戸番笑兵衛と、小間物屋を営むその妻お捨。彼ら夫婦と交わる江戸の人々にはそれぞれ生活者としての悩みがある。
それを大上段に解決するのではなく、等身大で受けて時間とともにゆんわりじんわり解決していく。
そうそう、こういう人情話を時々継続して読みたくなるのである。心が風呂に使ったようなじんわり溶きほぐれる感じを、たまに味わっておくのは、気持ちいいし必要なこと。
葉室作品では道徳部分が強すぎるし、伊藤潤では志が高すぎる…。いいシリーズに巡り合えた。非常に残念なことに、このシリーズも新作は期待できないのだが(別の作家が書き継ぐってのは別にして)まだまだ未読は残っている。大いに期待して追いかける事にしよう。
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やっぱり江戸の人情は、ほっとするなぁ。
ほどよい距離のおせっかい。
見習いたいけど難しい。
みんな色々あるけど、生きていくしかない。
どれもいい話だったけど「名人かたぎ」が一番好き。一番、江戸らしいからかな。
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江戸の下町、深川が舞台である。日本大百科全書「番太」の項目によれば、「江戸の町では町方が自警組織の一つとして経営した自身番の番人をさす。」とのことである。四つ辻に番屋を構えており、原則は単身者が務める仕事ということだったらしい。
物語では過去に色々と苦労した夫婦が木戸番となっているが、時代によってはなかなか特殊な状況だったようだ。
それを踏まえて読むとよりこの夫婦の心細い身の上が心に迫るような気がする。