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自閉症の息子を、自らの判断で育て上げ、また保育園を立ち上げ、地域の自閉症の子どもたちの支援施設も立ち上げる、行動力と愛情に溢れた母親の自叙伝。圧巻です。その息子ジェイコブは9歳で大学に入学し、宇宙物理学を研究しているとのこと。自閉症って、能力が劣っている訳ではなく、才能のバランスが悪いだけなのですね。子どもを信じ、好きなこと、得意なことを伸ばしてやる。子どもの可能性って無限大ですね。
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会社近くの紀伊國屋書店で、科学書コーナーに棚積みしてあるこの本が気になった。自閉症(アスペルガー症候群)のジェイク・バーネットが、実は物理や数学に驚くべき才能を秘めていて、9歳にして大学に入学。12歳の時には格子説における未解決問題を解き、後に一流の専門誌に掲載される。米国ではTVや雑誌に紹介されると同時に大きな反響を呼び、YouTubeにもアップされているようだ。
https://www.youtube.com/watch?v=Uq-FOOQ1TpE
この動画を見ると、「本当に自閉症な?」と思ってしまうが、実際には2歳で自閉症として診断され、徐々におしゃべりをしなくなり、自分だけの世界に閉じこもっていった。専門家が3歳のときに下した診断は、彼が16歳いなったときに靴紐を結べるようになっていたらラッキーだというもの。母親のクリスティン・バーネットはどん底だったと書いている。だが、彼女は決して諦めなかった。権威の判断を退け、ジェイクの興味を示すものを積極的に受け入れ、彼の五感を刺激するプログラムを考え、人とコミュニケーションすることを諦めなかった。そんな努力が、この動画で見ることができる、ジェイクの才能を開花させたのだろう。
ボクは昔から、自閉症スペクトラムとか、サヴァン症候群とか、アスペルガー症候群といわれる人が驚くべき芸術的才能を発揮したり、数学的能力を開花させるような話しに興味がある。本書もそういう類の本だし、実際、自閉症と診断された彼が、徐々に驚くべき能力を発揮していく過程は驚異的であり、ワクワクする。例えば、彼のお母さんが自宅近くの大学で行われる天文学の教授の一般説明に連れて行った場面がある。スピーカーである教授の説明が火星の衛星の話しにおよび、「どうして地球の月は丸いのに、火星の衛星はポテトみたいな楕円形をしているか分かりますか?」とみんなに質問したところ、「火星の月の大きさを教えていただけますか?」と質問し、続いて「火星の月は小さいので、質量も小さい。つまり、球体を作れるほど引力の作用が強くないからです」と答える。身長も低く、明らかに子どもとわかる彼がそう答えると、会場は一瞬シーンとし、そして次に騒然となって講義を中断することになる。なにか痛快な感じがして、そういうシーンはとても楽しく読める。
だが、この本の本当の価値は、彼自身の才能もあるが、実はお母さんの「わが子への愛情」なのだと思う。自閉症の子供のためのプログラムで、暗に「この子は将来、言葉を使うことはないだろうから、そんなことを教えても無駄ですよ」という療法士。そんなことを言われても諦めなかった母親。クリスティンは、本書の中で「わたしは、人生は五感を通じて積み重ねていくものだとかたく信じています」と書いている。誰も持っていない才能よりも、普通の人たちが経験することをさせてあげたい。夏には虫を追いかけ、川で泳ぎ、星を見ながら寝そべる。きっと恋もするだろう。そんな本当に普通のことをさせてあげたい! という気持ちが、彼女を動かし続けた。
発達障害には「スキルのムラ」というものがあるらしい。普通の子供が当たり前にできることができない。一方で、別の分野では非常に高い能力��示す。発達障害は脳の機能障害の一種なのだろう。だから、人とのコミュニケーションに希薄な分、計算や記憶などの脳機能が異常に発達する。だが、母親の献身的な部分がジェイクの人間性の部分を開花させ、驚異的な計算・記憶能力と人間性を徐々に両立させたのだと思う。
読後感は爽快。いっきに読んでしまった。
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自閉症の子供を育てるお母さんのお話。
長男であるジェイコブ君が2歳のときに重度の自閉症と診断され、読み書きなど生活に必要な事は一生できないだろうと、専門家に宣告されてしまう。でも母親のクリスティンさんは決して諦めずに、自らの手で自閉症の克服に挑むのだった。
クリスティンさんの凄いところは、自分の子供だけではなく、自らが営む保育所の傍らで、他の自閉症児もボランティアで預かり、工夫を凝らしたプログラムにより、専門家に回復困難と言われた子供たちの機能回復に努めたことだ。
一方ジェイコブ君には、人並み外れた記憶力と視空間能力があり、8歳から大学の天文学の講義に参加、10歳で正式に大学に入学してしまう。しかもアルバイトで参加した量子物理学の研究で、数学の未解決問題を解いてしまうなど、将来のノーベル賞候補とも言われる天才なのだ。
自らの脳卒中や次男の先天性の病気、リーマンショックによる夫の失業など、普通では耐えられないほどの困難を克服し、ジェイコブ君の才能を開花させる事が出来たのは、クリスティンさん自身のボランティア精神、そして家族や隣人の支えがあったからだと思う。すばらしい作品でした。
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普段読まないジャンルなのでどうかなと思ったけど、すごく興味深く読めました。
特別に秀でた理数系能力を持つ自閉症の子どもの能力を信じて伸ばすことに成功した母親のサクセスストーリーというとありがちな話に思えますが、この本の内容は天才児や自閉症児だけの話ではなく、子育てのヒントになる内容が多々ありました。
私自身何でも自分で作ったり、芸術などの勉強以外のジャンルが好きなこともあり、このお母さんのやり方は馴染みやすかった。とにかく好きなことを何でもさせる、もっと伸ばすように手助けする。しようと思っていてもなかなか難しいことだし、さすがにここまではできないだろうけど、良いと思ったことは取り入れて、少しでもできたら良いな。
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自閉症の子をもつ保育士。
熱中することをどんどん伸ばす、認める。
ジェイコブ・バーネット
C0098
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通勤途中の電車の中で久しぶりにウルウルしてしまった。それも何度も。
自閉症児を育てる母親が語る、その子供の成長と教育について。世の画一的な、日常生活をする上での所作を身に着けることに注力するのではなく、子供の好きなコト、その分野の才能を伸ばすことで、生活も改善していく。結果、その才能は開花し、まだ子供ながら、大学院またはそれ以上の才能を見出す。何度も困難を乗り越えながら、成長していく子供の姿に感動し、そのように教育することに情熱を燃やし、かつ、他の自閉症の子供達の面倒をみるということに畏敬の念を覚える。この長い休みにぜひおススメ。
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三歳で自閉症と診断され、「16歳で靴ひもが結べるようになったらラッキーだ」と診断された我が子。
それでも、母親はあきらめなかった。
息子の可能性を信じ、伸ばすことに集中をした。
結果、その子は12歳で大学に入学。
ノーベル賞受賞の可能性を含め、現在も研究に邁進中。
美しい話で、感動的。それでいて、泥臭い。
といっても、「自閉症だから」「特別な才能が備わっていたから」感動的なのではない。
ただひたすら、自分の子供の可能性を信じてあらゆることに100%以上の情熱を注ぎ込むその母親の姿勢が感動的なのだ。
その道は決して平坦ではない。
3歳になる子が自閉症と診断され、徐々に殻に閉じこもっていく様子。
特別支援クラスのやり方に疑問を感じ、やめさせる決断。
生まれた弟の病気と母親自身の病気。
自閉症児のためのスポーツの成功と親友の死。
サブプライムローン破綻による経済的困窮。
そして、息子の探究心を尊重し、小学校を辞めさせて大学へ。
途中目を背けたくなるような現実も母親の重いと家族の結束で乗り越えてきたa。
大小の差はあれど、どこの家庭も遭遇しうる事態であり、それを乗り越えていく家族の強い絆が涙を誘う。
必見の書。
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本書は、保育士であり、自閉症のお子さんであるジェイコブ君を育てながら、自閉症など特別な支援が必要な子どもと家族のためのコミュニティーセンターを立ち上げ、今も運営しておられる、米国のクリスティン・バーネットさんという方が、我が子と家族、そしてご自身の活動のこれまでについて語った本です。
あまり細かくは書きませんが、単なる苦労話でもなく、単なる自慢話でもなく、お涙ちょうだいでもなく、ご自身とジェイコブ君とご家族に起こったことを率直に書かれているところが、とても清々しいと思いました。
ジェイコブ君は2歳の時に自閉症と診断されていますが、9歳で大学に入学し、末は宇宙物理学の分野でノーベル賞も夢ではない独創的な研究をしているという男の子です。
しかし、両親であるマイケル&クリスティンバーネットさん夫妻はそれぞれセールスマンと保育士で、特に天才的な才能を発揮した仕事をしているわけでも、お金持ちでもないのです。むしろご家族には他の家庭以上にいろんな問題が起こり、どちらかというと貧乏です
結果としてジェイコブ君は幼くして大学に入学し、高度な研究をしているわけですが、ご夫妻は、我が子をしっかりとみつめ、悲観もしない変わりに、特別視もしない、という考え方をお持ちです。
バーネット夫妻は、そもそもわが子が大学生なんかに超飛び級をして、同じ年代の子どもたちと学んだり遊んだりしないのは問題だと思っていましたし(あまりにもジェイコブが大学の講義が楽しそうなのと専門家の強い勧めで最終的には大学に入学しましたが)、泥んこ遊びなどの子どもらしい体験も必要だという考えや、社会性やコミュニケーション能力も必要だと思い、いろいろ苦心してこられたわけです。
ですから、子どもの姿を見つめた結果として、それに必要だと思う、ふさわしいサポートを考え、その結果、必要な環境を整える、という基本的な姿勢がまず大事なのではないかと思います。
あと、これもクリスティンさんが言っておられる、子どもたちができないことばかりに焦点を当て、できることに注目しないことが多い、というのも楽観論でも悲観論でもないニュートラルで大事な考え方だと思います。
ただそれは、できないことを見ないふりをしたり、あきらめたりするのではなく、クリスティンさん曰く、できることからやらせていけば、できないことや苦手なこともある程度できるようになったり、問題行動などもおさまるのではなかろうか、というアプローチです。
このような夫妻の子育ての結果、子どものころから数字と幾何学模様に強烈な関心を示す変わった子だったジェイコブ君は、その才能を開花させ、一人だけ子どもだけど、教授や他の学生ともうまくやっているようで、充実した大学生活を送っていて、それはとても心温まるお話です。
のみならず、バーネット夫妻は、ご自分たちの活動として、同様のアプローチで、他の発達障害を持つ子どもたちと親たちにも、希望や生きる力を与えています。これについても涙なくしては読めないストーリーで、ご夫妻はとても苦心の末に、発達障がい児とその親を対象に��た、最初は小さいプログラムから、今の「ジェイコブズ・プレイス」というコミュニティーセンターを立ち上げられました。
いずれも本当に、素晴らしいことです!
教育や発達障害に関心のある方は是非読んでみてください!
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ジェイクはアインシュタインを超えるIQ170の超天才児だ。3歳で天文学に目覚め12歳にして物理博士となり、TEDに出演を果たした今注目の少年である。そんな周囲の過熱ぶりから、母親のクリスティン・バネットは、自分の気持ちを伝えるため、筆をとった。
ジェイクは天才児になるための特別な育成をうけて育ったわけではなく、一般家庭の長男として生まれ、自閉症・アスペルガー症候群と診断された少年である。彼女はそんなわが子の幸せを願い、「できないことをできるようにする訓練」も大切だが、「興味のあることで、本人の能力を伸ばすこと」が今のジェイクにとって一番重要であり、教育の本質なのではないか、と考える。コミュニケーション能力に欠けるジェイクの気持ちを考えながら、様々な興味に答えてあげたいと、できる限り行動に移し、懸命にジェイクを支えるのだ。
とは言え、彼女を取り巻く環境はジェイク中心では成り立たない。自宅で経営する保育所や、ボランティアで始めた自閉症児のコミュニティ活動を行う多忙な日々を送っている。二男は先天性の病気で生まれ、自ら脳卒中に侵され苦しむ上に、ご主人がリーマンショックによる失業にあう。
しかし、どんな状況下でもできる限りジェイクに寄り添い、日々の様子を敏感に感じ取りながら、子育てへの信念を持って様々な壁と向き合う。結果、ジェイクは才能を開花させ「未来のノーベル賞候補」と言われるまでに成長してゆく。
ジェイクを育てた母親だから言える、この言葉が心に残る。
「ジェイクは、どこまでもジェイク」
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自閉症と診断された息子の可能性を信じて奮闘したお母さんが書いた実話。結局、稀に見る天才児で小学生で大学に入学しちゃって、他人とのコミュニケーションもとれるようになるんだけど(自閉症の症状は残るものの)、このお母さんが元々自宅で保育園をやっていて、息子だけでなく地域の自閉症児とその親のために奮闘するさまがユーモアを交えて書いてあった。とにかくパワフル。すばらしい。
あと、自閉症といえば他人とのコミュニケーションがとりずらいというのがあると思うんだけど、彼は自分の知識を人に教えるのがとても大好きで上手だというのもおもしろいなと思った。
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待ちに待って生まれた息子は自閉症ー。彼は決して文字を読めるようにはならない…。その宣告に打ちひしがれながらも、母・クリスは自らの信念に従って彼を育てる。彼はどうやって12 歳で宇宙物理学者になったのかー?
クリスの強さがとても印象に残った。母である、というだけでここまで強くはなれないだろう。エッセイのような印象だけれど、自己啓発本のような印象を受けた。信念を貫くことは簡単ではないだろうけれど、それを信じ抜くことはとても大切なことだ。とても励まされる本だった。
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スキを仕事にとは良く言われるが、その意味を改めて考えさせられる本である。自分の強みに集中することはやはり大事だと再確認した。
自閉症の子供を持つ母親がその信念に基づいて子供と向き合い、その子の本当の力を引き出したお話である。彼女の素晴らしいところは、子供にとって大事なことであれば、常識にとらわれず進んで取り組んだこと。このサポートは才能の開花の必須条件だ。
自閉症の傾向がある私としても、3歳児の自分の好きが、今の仕事の原動力になっており、このスキの分野なら誰にも負けない自信を得て、かつ、それを40代後半でも伸ばせている。この母親のサポートはまさにピッタリだったと実感する。
ヒトは一人ずつ違う人生を歩んでも良い。本質を見極め邁進することは、数学のオープン問題を解き、自閉症の子の二次障害のリスクを減らし、逆に強みを活かすことになった。
シンプルかつ純粋さは、やりたい事とやるべき事を結びつけるのだと思う。
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著者は、米国ルイジアナ州在住で、地元向けの保育所の運営や、自閉症や支援の必要な子どもとその家族のためのコミュニティセンター「ジェイコブス・プレイス」を夫とともに運営している。
どんな子どもにも、備わっている能力を引き出せば、輝かしい可能性が開けることを証明し、勇気を与えてくれる本。
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なんだか
無性に 嬉しく させてもらえる
なんだか
無性に 勇気づけられる
なんだか
無性に 愛おしさを 覚える
読んでいる途中で
何度も 湧き上がってきた 感情です
一人の母 と 一人の子
としての 奮闘記なんだけれど
それも かなり 特殊な事例なんだけれど
それが なんだか
いろんな普遍性を抱いているような気がする
間違いなく
次の人に 薦めたい 一冊です
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お母さんがすごいレジリエンスの持ち主だなあ。日本だとしがなおの『清兵衛と瓢箪』になってしまうんだろうなあ。