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番場の忠太郎の魅力十分、その主役キャスティングのせいか過去3作よりコミカル(あのネットミームまで!)。再会シーンの盛り上がりにはあと一歩物足りなく感じた。が、ラストにまさかの大胆な脚色。これが小(ン)林先生の出した答か! 男の決断!
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作者旧作のキャラが「演じている」という所に少々照れというか、一層不純なものを感じていたわけですが、しかしどの作品も血肉が通って読めるのは、素晴らしい原作のおかげか、作者の画力によるものなのか。
作者の嫌いなマンガチックなものが大好きな私ですが、こういう義理人情のドラマも物凄く良いと感じる。なかなか原典に触れる機会が少なくなってきた中、実に素晴らしいものを紹介していただけたと思います。
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小林まことの旬は今だ!!! 『瞼の母』 - マンガHONZ
URL : http://honz.jp/articles/-/40492
人の才能がもっとも輝くのはいつか?
若い時だろうか? 若い時は、確かにエネルギーと勢いはある。でも、技術はまだない。歳をとってくると、技術はある。でも、若い時のようなエネルギーと勢いはなくなってしまう。勢いと技術、そのバランスがもっともよくなった時に、作家は一番輝いている。
劇画・長谷川伸シリーズは、1巻ごとに完結する形式で描かれ、合計4作品出た。1年1作よりもちょっと遅いペースで描かれた。僕が以前レビューを書いた『青春少年マガジン 1978~1983』の後に、取り組んだシリーズだ。長谷川伸シリーズは、今の時代のペースに合った形で連載された訳ではなく、4作品とも、世間を賑わしたとはいえない。『1・2の三四郎』『柔道部物語』のファンでさえ、気づいて人がほとんどだろう。
しかし、この4作品は、読んだほうがいい。他の誰にも真似できない、絶妙なコマ割りのテクニックによって、話がテンポよく進む。コマ数が少なく、絵を大きく見せて、台詞も少ないのに、読者はあっという間に状況を理解できる。これだけの技術をもって描かれているマンガはほとんどない。小林まことが、今までのキャリアで得たもの全てを入魂しながら、丁寧に作り上げていった1作品、1作品だ。
ストーリーは、4作品とも仁俠ものだ。複雑な伏線などはない。シンプルで、予想通りに話は進んでいく。楽しむところは、ストーリー展開ではない。人間だ! そこに描かれている男女は、皆一様にかっこいい。このレビューでは、ストーリーを紹介しようとは思わない。ただ、登場人物のかっこよさを存分に味わってほしい。
4作品を描き上げた後、『瞼の母』の末尾に小林まことはこんなあとがきを書いている。
劇画・長谷川 伸シリーズ『瞼の母』
「私は漫画家のくせにマンガチックなものが苦手だ。子供の頃から子供向けのものが好きではなかった。(中略)世の中、私の苦手なもので溢れかえり、私の好きなものはどんどん消えていった。(中略)こうなったら自分で描くしかない。描くなら、長谷川伸しかない。私が好きなものの原点だからだ。(中略)私は今、スゥーーッと心が癒されている。こんな奴はめったにいないかもしれないが、同じように癒された人がいてくれたら嬉しいかぎりである」
マンガという産業は、巻数を重ねて、10巻とか20巻溜まった時に映像化することで、爆発的に売り上げを伸ばして稼ぐという構造になっている。僕が編集した作品も、そのような産業構造のルールにのっかって、多くの人に読まれることになった。その構造自体は悪くはない。しかし、そのルールにのっかっていない、1巻もののいい作品が、ほとんど読者に気づかれず話題にならないのは寂しすぎる。そんな状況を変えたいと僕は思っている。
マンガHONZでレビューを書くのは、そんな本に光があたるようにしたいからだ。
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小林まことの劇画・長谷川伸シリーズ
この4作品で、笑いながら、ホロリと涙を流す、そんな至福���時間を過ごしてほしい。
劇画・長谷川 伸シリーズ 関の弥太ッぺ (イブニングKC)
作者:小林 まこと
出版社:講談社
発売日:2009-08-21
劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)
作者:小林 まこと
出版社:講談社
発売日:2010-11-22
劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)
作者:小林 まこと
出版社:講談社
発売日:2012-06-22
劇画・長谷川 伸シリーズ 瞼の母 (イブニングKC 劇画・長谷川伸シリーズ)
作者:小林 まこと
出版社:講談社
発売日:2014-03-20
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正直こういう渡世ものを知らなかったんですが面白いですね。渡世人たちの仁義も歯切れのいいセリフも気持ちいいです。東三四郎から三五十五から小林作品のオールスターは嬉しくなります。振り替えると柔道部物語の比重が異常に高い自分で、西野新二と三五十五のリマッチが嬉しかったです。鷲尾も小柴も田丸も。細かくでてる星とか飛崎弟とか成田とかを探し出すと一体どれくらいになるのか?それだけに西上馬之助の少なさはちょいと寂しい気もします。
瞼の母や沓掛時次郎など耳の端に聞き覚えのあるものも多い題材です。ちょいとこの系統を掘り下げるのも一興かもしれやせん。なんたっていい話ばかりですからね。