投稿元:
レビューを見る
そもそもなぜ、「ハダカデバネズミ」に関する本を読んだかというと、僕の記憶違いでなければ、『新世界より』(貴志祐介著)という小説の中に「バケネズミ」というキャラクターが登場するのですが、それの祖先だったかモデルだったか(ここらへんがあいまいで...)が「ハダカデバネズミ」ということで、まあ頭の片隅に残っていたんでしょうね、読んでみたということです。
『ハキリアリ』という本を読んだときも感じたことなんですが、いやー彼らはすごいですね。もう人間と一緒ですよ。非常にシステマティックな世界です。本書から得たことをちょこっとメモ風に書いていきますね。
・個体識別するときは背中に小さな入れ墨をする。
※『新世界より』のバケネズミは額に入れ墨をしていたなあ。
・一つの群れには80~300匹ほどおり、女王、繁殖オスが1~3匹、兵隊デバ、働きデバの階級制である。兵隊デバは普段は巣でゴロゴロしているんだけど、他のコロニーから襲撃があった場合に出撃する。働きデバは主にエサ探し、巣の清掃と子育ての手伝い。働きデバの一部は、仔の養育期間のみ「肉ぶとん」係になって、子どもたちのふとん係に徹する。
・デバの役割分担は体の大きさや、群れの仲間との関係に応じて変化してゆく。※シロアリの役割は生まれつき決まっている。
どうですか?ちょっと興味湧いてきませんでしょうか?本書にはカラーの図も収録されてるので、視覚的にも理解しやすいですし、薄いので(でも内容は濃い)すぐに読めちゃいます。ネズミの本とかってよほど好きな人じゃないと手に取ろうと思いませんよね。でも、人間以外の動物の世界って思ってるよりもすごいです。ぜひご一読を。
投稿元:
レビューを見る
哺乳類では希少な真社会性動物、ハダカデバネズミについての入門書。地下生活に適応した生態について、等、興味深い記述。とりあえず、どこかで実物を見てみたいものです。
投稿元:
レビューを見る
「ハダカデバネズミ」という不思議な生き物についての本。
いろいろ考える。
ハダカデバネズミ。
行動、生活パターン(というのか)は、非常に愛くるしく、人間社会に照らし合わせると、切ないし、さらにいとおしくなる。
投稿元:
レビューを見る
【読み物】
このような動物がいるとは!
毛がなくて出っ歯のネズミ、パッと見た瞬間少しヒキますが、よく見ると可愛く見えます。
ハダカデバネズミは群れで生活します。社会環境も成り立っており、しかも哺乳類ですが、変温動物のため30年以上も生きるのです。
すごいですね。
変温動物であるゾウガメも200~250年も生きるそうです。それだけ生きれば、「この短い人生では何もできない」とは言えません。なんでもできそうです。しかし、なんでもできると思って、活発に動くと寿命は短くなるのでしょうね。おそらく。。。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子「とにかく散歩いたしましょう」にて紹介されていました。
強烈な題名に惹かれて読んでみました。
研究者が研究を愛し、研究対象を愛し、そして弟子たちを愛する
姿が目に浮かんで、とても好感のもてる、しかも
研究の醍醐味もよくわかる良書だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
デイリーポータルZでべつやくさんのハダカデバネズミ愛を知っていたし、本に関わったとかちらっと聞いていたので、本屋で見かけて足買い。
イラストがやはり良い。内容としては、大学での研究で論文とか博士号とかそういうワードがよく出てくるのが気になったが、まあ全体的にハダカデバネズミを知ってもらいたい感がよく伝わってくるので、こちらも千葉大学に見に行きたくなったりしてしまった。
やはり中々に強力な見た目の生物で、イラストだけではなく写真もチラホラあるので、ご飯食べながら読むとかは余りオススメできない、とご飯を食べながら読んで思った。
投稿元:
レビューを見る
脊椎動物で唯一真社会性をもつハダカデバネズミの研究の記録の本。
小説「新世界より」でこの動物を知り、雑誌「クレア」のたのしいガクモン特集で本の紹介があったので読んでみた。
コロニーで女王となる個体がいて、残りは王(繁殖用オス)、兵隊、労働者になるという社会性をもつのは蜂や蟻と似てる。
見た目はハダカデバネズミという名前の通りグロテスク。
本書はハダカデバネズミの紹介よりも研究生活メインで書かれていて、研究所(千葉大)の学祭の騒音でハダカデバネズミの生態が崩れるんじゃないかと危惧したエピソードなどなど、大学の研究現場の様子が感じられるのも面白かった。
投稿元:
レビューを見る
本書は東アフリカに生息し、地中で集団生活を営んでいるハダカデバネズミの本である。著者が熱烈なラブコールのもと国内へ持ち込み、地味で根気のいる研究に青春を捧げた研究者たちの成果をまとめたものだ。千葉大学や理化学研究所で愛情をもって飼育をしている写真や、キュートなイラストをふんだんに使って、ハダカデバネズミの魅力を余すことなく紹介している。
彼らの容姿は「出歯で毛のないネズミ」で、誰もが一瞬にして釘づけになるほどインパクトがある。穴の中では快適で秩序ある社会生活をおくり、愛らしい鳴き声を巧みに操りながら言葉同様のコミュニケーションをとって生活する。それにしても、もう少しハイセンスな名前はなかったのだろうか。英名では「ハダカモグラネズミ」、ラテン語では「ヘンテコ頭の毛のないやつ」と、どれも似たり寄ったりである。そんなハダカデバネズミを筆者は敬愛をこめて「デバ」と呼ぶ。
デバは平均80匹の仲間と集団をつくり、一匹の女王を頂点とするコロニーを形成して暮らしている。よってデバの群れで子供を産むのはたった1匹女王のみで、繁殖を一手に引き受ける。女王は集団の中で一番のビックボディで王様1~3匹のお相手をこなす。その上、強くて賢い。女王の独断で「お声かけ」があり、王様はNOとは言えない立場で交尾となる。なんともたくましいではないか。そして女王のお世話係の中には「ふとん係」なるものが存在し、女王は毎晩ふとん係のネズミの上で寝ている。想像を超える真社会性は女王の貫録からも理解できる。
女王は年間に最大4回ほど出産し、一度に1~20匹の子供を産む。コロニーの女王と聞くと食べ物を与えられ、子供を産むことだけに専念していればよいというイメージがあるが、デバの女王の現実は甘くはない。彼女は生まれながらではなく、厳しい戦いに勝ち抜き女王になる。デバは裸なネズミにもかかわらず寿命が30年以上で、想像以上に長生きするため、その長い人生の中で次の女王の座を狙うものや仕事をさぼろうとする者たちを、常に監視し威嚇行為により圧力をかけ、自らの権威を保持し続けねばならない。ストレスホルモンの研究結果では女王デバが最も高い数値が出ており、集団の中で睡眠時間が一番少ない。そんな気苦労の絶えない女王の末路は、死病するか下剋上でその座を奪われるかしかないと言うから寂寥感に苛まれる。
一方、王様は完全に女王の尻にしかれる。女王のご機嫌さえとっていればよいわけで一見楽そうに思えるが、王様になったとたん痩せ衰えてゆく傾向にあり、男性ホルモンの関係上病気にかかりやすい。女王復権を企む「下剋上事件」はまず、王様暗殺から始まるという。最期となる事件の際は、女王の前に命を落とす運命にある。
働きデバは一番数が多く、仕事内容も餌さがし、巣の掃除や拡張、子育てやふとん係と多岐にわたる。巣の拡張の際、出歯を使って1年間に30キロも掘り進めることもあるという、意外にアクティビティなのだ。そのため低酸素、高二酸化酸素に対して耐性が高い。そして、デバは体温調節機能を持っていないので、寒さに弱い。ふとん係は子供や女王��敷布団の代わりになって押しつぶされたようになって寝る。呼吸ができるのだろうかと心配になるのだが、どんな状態でも何食わぬ顔をして寝ている。
兵隊デバは普段はごろごろしている。しかし外敵があらわれると、真っ先に戦いを挑み、進んで自己犠牲を払い自らの命をささげる役となる。なんとも切ない話ではあるが、生態系の秩序のうちなのだ。
ご多忙にもれず、デバにもメタボなデブが存在する。デブデバはほとんどがオスで来るべき日に備えるためである。デブデバは将来、旅に出て新たな集団を創設しなくてはならない。毛のないネズミが一人ぼっちで巣から旅立つとは、こころから応援したくなる。極めて少ない確立の新社会創設にかけるチャレンジャーなのだ。
女王同様、働きデバや兵隊デバの役割分担は生まれつき決まっていない。大人のデバに成長すると最初は働きデバとなるのだが、その後体格や群れの仲間との関係に応じて変化してゆく。しかも働きデバが不足すると兵隊デバが働きデバ的行動をとるという人事異動が可能な社会なのだ。では、どうやってその時々のポジションを仲間同士で見分けるのか。それは彼らの挨拶にある。
その見た目に反してデバはかわいらしい声で鳴く。そしてヒト以外の動物はあまり使うことがない「ぱぴぷぺぽ」が発音できると言う。普段の生活のなかで17種類の鳴き声のパターンがあり、それぞれに意味を持たせコミュニケーションをとっているらしい。「こんにちは」のあいさつは自分たちの階級の確認に行う。しかも正確に理解できるように回数や声の強弱をつけ、カースト制度を遵守している。そのほか「餌があったよ」であるとか、「ごめんなさい」とか言った具合に自由に会話を楽しんでいる。驚いたことに歌うこともあるようだ。ハーモニーを奏でるデバのご機嫌な様が想像できるが、なぜ歌うのかは今後の研究課題とのことだ。暗がりの地下社会で暮らすハダカデバネズミにとって音声は重要なコミュニケーション手段なのだ。
こうした多様な生活を営むハダカデバネズミの研究は、今後大いに注目すべきであろう。長寿の秘密や低酸素・高二酸化炭素の耐性、真社会性と音声によるコミュニケーション能力など、どれをとっても興味深い。特に生物言語研究において「ハダカデバネズミの音声と脳」の研究計画に文部科学省から補助金も出ており、現在研究が進んでいる。彼らの特殊性を解明できれば、近い将来わたしたちのことばの起源を解き明かす糸口になるのではと期待されている。
そしてその陰で、ハダカデバネズミと向き合う研究者たちの葛藤の日々を忘れてはいけない。地下で暮らす動物を研究所で飼育する苦労やプレッシャーもあるだろうし、夜間のデータを地道に取り続ける努力に頭が下がる。しかし、彼らだけにハダカデバネズミを独占されては惜しい気がする。ぜひとも続編を期待してやまない。それもひとえにハダカデバネズミの魅力のなせる技であろうか。
投稿元:
レビューを見る
東アフリカの一部に生息するハダカデバネズミは、蜂や蟻などに似て、たった1匹の女王とたくさんの兵隊やワーカーからなる群れで生活する珍しい哺乳類。
そして哺乳類のくせに変温動物で、女王の産んだ赤ちゃんが冷えないように床に寝そべり自らの身体をもってひたすら赤ちゃんたちの布団に徹する「ふとん係」という役割があるらしい。
これぞ珍獣。
平易な文章、たまに入るジョーク、写真とゆるいイラストでサラサラと読める本でした。
投稿元:
レビューを見る
岩波科学ライブラリーの、ハダカデバネズミの本。
裸・出歯・鼠。ひどい名前だけど、姿を見たらまさにその通りだから仕方がない。
ハムスターの赤ちゃんのような姿だが、一生裸。げっ歯類特有のインパクト大の門歯。あるのかないのか分かりにくい、小さすぎる目。いわゆるキモカワイイというのはこの子たちのことなんだなと納得してしまいます。
アリやハチのように真社会性を持つ哺乳類。厳然たる職業階級(カースト)制度。女王と生まれた新生児たちのふとんになるだけの係があるとはびっくりしました。が、その写真を見てそこはかとなくかわいく思ってしまうのはオイラだけではないはず。
ピンク色した肉ぶとん係のハダカデバネズミたちの上に、女王と子供たちがもごもごしている姿は可愛いではないか。
カラー写真も多く、小学生の高学年くらいなら興味があれば読み進められてしまうと思います。
これを読んで、千葉大学のサイエンスプロムナードで暮らすデバたち(愛称チバデバ)に会いたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
ハダカデバネズミの生態を研究者の生態とともに書き綴られた本。
ネズミなのに寿命が長くて驚いた。写真が多くてわかりやすい。
投稿元:
レビューを見る
成毛眞氏「面白い本」の一冊。
奇妙な外見のネズミ。東アフリカの乾燥地帯に地上下50cmに3キロものトンネルを掘って鎖国状態で暮らす。たった1匹の女王が母親で、1〜3匹のオスのどれかが父親だけど、母父も兄弟のこともあるという近親相姦密室家族。働きアリや兵隊アリに相当する子供達。でも、階級は生まれながらに決まっているわけではないところはアリとは違う。哺乳類のくせに自分で体温を維持できない。ネズミのくせに何十年と生きる長寿。
もうこれだけで十分、おもしろいよね。
勢いで同じシリーズの「シロアリ」も買っちまいました。
投稿元:
レビューを見る
言語と情動の研究者である著者が、ハダカデバネズミの生態について紹介する本。
ただの生き物図鑑としてではなく、ハダカデバネズミを観察することで何が分かるのか、人間の言語についても分かるのではないかという著者の研究についても触れられていてとても面白いです。
切なかったのは、ハダカデバネズミの女王はアリやハチの女王とは違って下克上によって作られるため、死因が病死か下克上ということ。
あと兵隊のハダカデバネズミは自らを犠牲にして仲間を守るということ。
そして音の高さや低さや声の出し方でコミュニケーションを取っていて、身体の小さい個体が大きな個体に対してだけ出す鳴き方などもあるらしく、すごく面白い。
あとハダカデバネズミとは一切関係ないけど、共著者である吉田君が書いている部分の「新しいことを発見するとすぐに他人に報告したくなる僕は(でも決して秘密が守れないわけではありません」というところにときめいた笑
投稿元:
レビューを見る
ああ、『クマムシ』と同じ人の企画・編集なのね。さもあらんってとこ。
いやもう、反則に近い。例を挙げれば、小学校低学年の男子に「うんこ」をテーマにしたギャグを言うようなもんで、こんなインパクトでかい動物をテーマにした本で、面白くならないわけないわな。
著者やその他登場人物の「デバ愛」を感じる良書。
投稿元:
レビューを見る
一時期、一部の間で流行っていたらしい「ハダカデバネズミ」を、遅まきながら読んでみた。
アフリカ北東部のソマリアあたりに生息し、毛がないのは寄生虫対策との説が有力らしく、歯は口唇を突き破って生えているといった、いわゆる生態などが説明されている。
また、その生活は集団で過ごし、アリやハチのような真社会性(繁殖は女王デバの役割で働きデバなどそれぞれに役割が決まっている)を持っているとのこと。
子どもが生まれたら体温をキープするためにひたすらふとんの役目をするふとん係もいるそうだ。
研究対象としてデバを選んだ理由として、その脳と行動を調べることにより社会が特化していく際の生物学的な変化を調べることを期待した、とのことだが、成果はあったのだろうか。