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経済論理中心ではなく平和共存を目指すアジアの共同体を主導できるのは、先進国でありアメリカに対しても影響力を行使できる日本。
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分かりやすいといえば分かりやすいけど、物足りないとも思った。
(1)2008年のリーマン・ショックから世界経済を救ったのは中国の財政出動である。
(2)1により中国が世界をリードする力が増している。
という主張があるのだけど、どうもこれが納得がいかない。
それが一つの側面として大きいのは事実なのだろうけど、それ以外の視点が軽視されているように思う。この本の主題の場合、特にそれが重要であるように思うのだ。
たぶんそれは、価値の多様性である。
少なくとも、経済学で扱いうる、もしくは今現在で政策として検討された範囲において、多様な価値を示して欲しかった。
それは、この本における「アジア」が文脈によって範囲が違うことに端的に現れていると思う。あるときはASEANであり、あるときは日本以外の東アジア+東南アジアであり中国を含む。あるときは日本も含めた概念。その文脈においては妥当だし、それが分からないとか混乱を招いているというわけではないのだけど、むしろ妥当なのだけど、「価値(政策)の多様性」を、地理区分の方で調整したように思える。
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「グローバリゼーションの本質は、市場が世界規模に広がってボーダレス化するといった表面的な現象問題にあるのではない。冷戦終了後も冷戦型イデオロギーの残影に寄り掛かりながら、なおアメリカが強引に覇権国であり続けようとする「無理」が、今日のグローバリゼーションをもたらしているのである。すでに過ぎ去った時代軸であるにもかかわらず、新しい近未来社会の構想力が現れてこないために、古い座標軸の呪縛から逃れられず、しだいに矛盾が拡大して出口の見えない袋小路の中で、将来社会への里程標のごとき喧伝・誇張されているのが、グローバリゼーションなのである。」
どの章も面白い。結局政治の問題だからうまくいかない部分があるにせよ、そんな中で何をしなければならないのかを考え始めるにはいい本だった。
この次に『失敗の本質』を読み始めたが、そこから何か興味深い繋がりが見えてくるかもしれない。