紙の本
武蔵野夫人
2020/02/13 22:15
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の大岡昇平は「俘虜記」「野火」「レイテ戦記」などの戦記文学の作者としても知られるが、もともとはスタンダールなどを研究するフランス文学者であった。そのフランス文学者としての面目躍如たる作品。
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ゼミで扱った作品。
『真珠夫人』より昼ドラ感のある作品。
ゼミ生達の討論が最も盛んだった作品。
私個人もかなり夢中になりました。
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意外と読みやすくて気に入ってた本。いわゆる昼ドラチックな展開だと思う。
だいぶ前に読んだからもう結構忘れてるけど。
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蔵書はS26年講談社刊。旧仮名・旧漢字で味がある一冊。内容は通俗的な恋愛小説、といってしまえばそれまでですが4時間程度で読める本。期待していた武蔵野の自然描写も精彩を欠く印象でした。そもそも恋愛・ロマンスが苦手な自分には向いていないのか。。。こういったメロドラマ的展開が戦後ゆえの価値観なのかどうか今後の検証課題。
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一昨年ゼミで中原中也の発表をして以来、大岡昇平の作品は一度くらい読んでおこうと考えていてが、先日偶然この本を手に入れたのでやっと読んだ。
物語を要約するとありきたりな昼ドラのように聞こえてしまうだろうけれど、独特な言葉の使い方や細かな場景描写に作品の特異性を感じられた。そしてなにより、大岡昇平自身が戦争で捕虜になったことから、戦争が及ぼす文学への影響を見ることができた点が興味深かった。
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はけを舞台にした4人の男女の関係を中心とした小説。心境の描写がすばらしいが、死の選択になるため、話自体は好きなタイプではない。
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東京の国分寺あたり。
武蔵野の情景を舞台として効果的に描いた作品。
つまらない夫と結婚したお嬢さまが、戦争から復員してきたちょっと年下のイトコくんと惹かれ合うんだけど、お嬢さまだから不倫はご法度!
チューだけであれこれ悩んでいるうちに、つまらない夫さんは隣の奥さんと浮気。
隣の奥さんは、お嬢さまのこれまた別のイトコの奥さんなのに、ティッシュだかコケティッシュだかで、男性経験が豊富。
お嬢さまとは対照的な女性として描かれています。
結局、お嬢さまはいろいろ悩んで自殺しちゃうんだけど、愛するイトコくんも隣の奥さんと関係を持っちゃうし、「時代」とはいえ、なんだかお嬢さまは浮かばれないようなお話。
それでも、自分で自分をほめてあげたい…と言える人生だったのかもね。
今の時代とは違った、清く厳しい、きっと表もあれば裏もあった時代をドロドロしないタッチで描いた作品です。
でも、あんまり読後感は良くないよ(苦笑)
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なんだか、うじうじした奴らがいっぱい出てくる小説です。
不倫がテーマと思わせつつも、実は近親相姦的な話。でも、プラトニックがウリです。みたいな。
プラトニックに徹しようとして失敗して死んじゃうくらいなら、行動したほうがいいんじゃないですか?と。
なんだか、フランス文学とかかじったぜ、みたいな雰囲気がどうも。
どうもすいませんw
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先日、国分寺の「はけ」を散策する機会に恵まれたため、その辺りが舞台となっているこの小説を再読しました。
自分の比較文学のM論に取り入れた作品ながら、「はけ」なる独特の土地がよくわからなかったため、想像をはたかせることしかできずにいましたが、実際に小説舞台を訪れて、再度読み起こすと、やはり世界の迫り方が違いました。
論文に引用した際には、この作品のフランス心理小説的手法に着目しましたが、
「土地の人はなぜそこが『はけ』と呼ばれるかを知らない。」
という冒頭から始まるこの作品には、心理描写だけでなく、自然描写も大きな比率を占めています。
つまり、学生時代とは別の側面に着目しての再読となったわけですが、実際にこの地にある、水源の湧き出る神社も文中に登場するため、生き生きと色味を帯びて情景を思い起こすことができるようになりました。
この土地の人にしかよくわからないだろう「はけ」について、さまざまに言葉を尽くして表現している著者。
詳細な説明に、土地への愛着と情熱がにじみ出ています。
巻頭には、物語の舞台となる地形図が出ているのも嬉しい助けとなりました。
恋が窪とは、小説世界の中だけの効果的なロマンチックな地名かと思っていたら、実際にも存在する場所でした。
この地で著者は、この小説を構想し、育んでいったということがストレートに理解できます。
学生時代に読んだ時には、かなり大人の話で、自由に動く登場人物たちの動きを追うのに精いっぱいでしたが、今読み返すと、誰もがてんで勝手なことを考え、理解し合えずにそれぞれに動いて悲劇に向かっているのだと感じます。
そこに、自然豊かな土地で繰り広げられる、人間模様の不条理さや乾いたリアリティが表れているのです。
従軍体験を経た著者の視点を引くビルマ戦地帰りの青年が登場することで、荒廃した戦場と緑潤う武蔵野台地との対比も描かれます。
心理小説としてはかなりカッチリとしており、実験的な文章。
「彼の美貌と残酷には成功の機会が多かった。」など、完全に当時の翻訳調です。
それだけでは息詰まるような怜悧さがあるため、泰然とした自然描写を頻繁に差し込むことで、緩急のバランスを取っているようです。
恋愛が主体の仏文学をベースにしながら、恋愛を知らない空想家夫婦のずれを描いている点にひねりを感じました。
登場人物の誰もが、人とは違う恋愛観を持っていることで、幸せになれないということにも気づきました。
小説は、実に自分の心を写す鏡だと思います。
読む時々の自分を反映した感想を抱くためです。
かつて読んだことのある作品も、時間を置いて読み返してみると、新たな発見に出会えて新鮮な感動を得られることを、実感しました。
主人公の夫はスタンダールかぶれの研究者ですが、スタンダールっぽいロマン活劇はほとんどありません。
ラディゲの『ドルジェル伯の舞踏会』『肉体の悪魔』、ラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』の影響が色濃く見える、端正な心理小説となっています。
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国分寺が舞台の本だったので、読んでみました。おもしろいか、と言われると正直普通の文学作品という感じでしたが、自分の住んでる場所の話はおもしろく読めますね。親近感もあるし、すれ違う人の中に登場人物みたいな人がいると、「もしかして」なんて思ったりして。
土地柄もあるのか、確かにこんな人いそうだなとか思ったりもしました。僕が今見ている景色、歩いている道をかつては作者も歩いたかもしれない。そんなことを考えながら、あえて昔の雰囲気を残す建物に出かけて読んだりすると風情もあってとてもいい時間が過ごせることと思います。^^
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難しそうなんて思ってたんだけど、実際読んでみると結構おもしろくってスラスラ読めちゃったわぁ。
フランスの心理小説を手本に書かれてるらしいからかな~?
もしかして、私、こういう形態の小説好きだったりする?
ボヴァリー夫人のときも、結構面白かったのよね。
そういえば、話の内容も似てるかな?
こっちの場合は、同じ敷地内に住む親戚同士の不倫プラス従弟との愛。っつ~の?
で、結局、主人公の道子は早とちりしちゃって自殺。。。
うーーーん、似てる。
でもね、これも主要主人公たちの心情っていうのヒシヒシとよく伝わってきて、「わかる、わかる!」って感じ。
一番許せないのは、道子の旦那・秋山。
で、道子は結局、従弟の勉を愛してたけど、一線を越えなかったのよねぇ~。
なんだかとってもキレイな日本人らしい女性だわ~。
最後はちょっと馬鹿みたいだったけど。。。。
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フランス心理小説の手法をつかった「恋愛」小説。登場人物たちの状況と感情の揺れを冷静に描写する。現実では他人の心や感情は表面や信頼できない言葉の端々から推測するしかないが小説では残酷で皮肉に満ちた表現ができる。活字でしか表現できない世界は人間の内面かと再認識。そして武蔵野の自然はごく短い生をもつ人間とその愚かさを突き放すように無関心で美しい。話が終わっても残された登場人物のことを考えると慄然とする。
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やっぱり私には大岡昇平はわからない
文章は好き
夫、人妻、そして復員したばかりの不良学生の織り成す「昼ドラ」は、共感とか同情とかいう想いを抱かせるのには程遠い(私にとっては)
皆がみんな自分本位に行動していると思った
あと、「誓いは神の前でするものだ」という言い回しが、「野火」の教会のシーンとリンクするものを感じさせた(考えすぎかもしれない)
戦前と戦後について考えながら読もうと思ったけれど、私はまだまだそういう分析的な視線では小説を読むことができないようです
授業について行けるかなー……
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大岡昇平の作品は実はこれが初めてだったが、意外や意外、すらすら読めた。
昼ドラのようだが、そうではない。
登場人物達の距離感が好きだなぁと思った
のは覚えているが、細部を大分忘れてしまった。
再読しよう。
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多くの方のレビューのように、これが実験的か、斬新なのかを判断する力は私には無い。あるいは下敷きのなる作風に関する知識も無い。ただ、独特だなと感じた点は、地の文と台詞との矛盾だ。本作では台詞ではなく、地の文で登場人物の感情を描写している。勿論、紋切り型になって仕舞い勝ちな地の文での感情描写だけなら大したことはないが、これに反し矛盾する台詞を多く挿入することで、読み手の混乱を誘うのは面白い。一方、乾いた情景描写、それぞれの感情が他者に伝わっておらず、互いの話が噛合わず、思い込みを持ちながら物語は進む。
ディスコミ、あるいは、それぞれの感情を言葉にしないので、みんな相互に心の内を誤解しながら展開していくのもなかなか。という点はともかく、概略「一生愛し合う誓いができれば、世間の掟(道徳?)が改まって、私達を責めないで一緒になれる。…十年待てば…。」と言う道子に殆ど絶望した勉。なのに彼に「抱いて」と迫り、長い接吻を交わす2人。ところが「もう秋山(夫)が帰る頃なの。もうこれで帰って。あなたと秋山が一緒にいるところを見たくない…」という件がある。何じゃこりゃ、男を馬鹿にしているのか、と思わず叫んでしまった…。
一見無垢に見える女のコケティッシュな言動にはどうしようもない怒りを覚えるが、これこそ著者の狙いなら、思うツボにはまったのかも…。