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電子書籍
首をかしげたくなるくだりが散見されるところが残念
2021/06/01 14:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書には、様々な漢籍から拾い集められた、
百句以上もの簡潔な箴言が、
文中の全ての漢字にふりがなを付されて、
おさめられています。
個々の引用句は、
それぞれ興味深くはあるものの、
個人的に気になった点が幾つかあり、
ここでは三点だけ挙げます。
第一に、はしがきで、
孫子の作戦篇にあるとして引かれている、
「巧遅は拙速にしかず」という言葉についてです。
管見では、その直接の出典は孫氏ではなく、
「文章軌範」の中の有字集小序のようです。
孫氏の作戦篇にあるのは、それとはやや異り、
「兵は拙速を聞くも未だ巧の久しきを賭ざるなり」
という言葉です。
第二に、「虎を射て石に中る」を扱った章で、
「中島敦の『山月記』はこの話に基づいている」
と述べていることです。
ところが、あたってみたウェブ上の辞書では
一様に、「山月記」は、唐代の伝奇物語である
「人虎伝」を題材とした作品である、
説明されていました。
第三に、「重宝を懐く者は夜行せず」の章で
著者が「重いは「重」、重ねるは「重」と読む」
と断言していることです。
少し考えてみても、「重婚」、「二重」、
「三重」といった言葉に含まれる「重」は、
重ねる、重なるという意味でしょうけれど、
「じゅう」と読みますし、一方で、
丁重にもてなすの「丁重」、或いは、
鼎の軽重を問うの「軽重」を構成する「重」は、
重いという意味にとれますが、
「ちょう」と読み習わされています。
言うまでもなく、古典からの引用句には、
その言葉自体の持つ、文語独特の形態と
意味の重みと、そこからにじみ出る
深い味わいとがあります。
本書においてそれを損なわないためには、
少なくとも以上の三点について、
慎重な検討が必要だったように
思えてなりません。
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