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あ、しもた。女学生の装丁のが欲しかったのに、こっち買っちゃった。
三浦さんの作品を読むときに、キリスト教臭さをどう処理するかが問題だ…。
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戦時中の昭和を舞台に、主人公が教師を目指し、そして戦争に巻き込まれていく。
言論統制により、見に覚えのない罪に問われ、教壇を下りることとなる主人公。自由に、ものを言えない、思想を抱くことのできないことの恐ろしさを感じさせられました。
本書の中に度々出てくる「神」というテーマ。正しい行いをしている者が必ずしも幸せな生涯を送るわけではない。神がいるならば、正しいものにこそそれに見合った幸せな人生が与えられるものではないのか・・・。正直、私もそう感じます。しかし、「見返りを期待して、正しい行いをしているわけではない」のです。自分の中の神様に背かない生き方をしたいと感じました。常に、自分に向けられている銃口・・・それを感じていなければならないのかもしれません。
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教師になろうと思っている人に是非読んでもらいたい本。
戦争によって言語、思想統制が行なわれる中で、どのように教え生きてゆくのか、時代が違っても主人公の「教育」に対する熱意は、現代の教育にも通ずるものがあると思う。
教えるということの難しさを再確認できた作品。
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昔、NHKのドラマで綴方教室をテーマにしていたのがあったが、ちゃんと見ていなかった。その原作を探したがこれというものは確認できなかったが、これがテーマとしては一番合致していた。
上巻は主人公が教師になるまで、そして、なってからどのような考え方をしているかを描いている。いわゆる受難は下巻から。
師範学校出の教師のあまりの純粋さに驚くばかり。これは三浦綾子の特有のものかもしれないが、世情のうとさ、ひとつの価値観への盲信、時代かもしれないが、もどかしさを感じる。
だからこそ、「石ころのうた」なのかもしれない。
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「ウォーター!」が気になって仕方がない…。意味が分からない…。
北海道弁ですか?!に、しても、三浦作品のなかでもかなり宗教に偏ってると思いました。ちょっと辟易。
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教師の狭くも深い世界を、主人公の成長を楽しみながら垣間見ることができる。いとこの楠夫との対比は主人公への理解を深める上でとても効果的だし、主人公の純愛も美しく清涼感溢れていた。子供ができたら読ませたいなと思わせるフレーズがいくつもあった。
物語が転回する下巻も楽しみ。
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旭川の裕福な質屋の長男として生まれた竜太。小学校の担任だった坂部先生を深く尊敬し、教師となる道を選んだが、日本が戦争へとひた走る中、予想だにしなかった事件に巻き込まれる…。
誠実な両親や姉弟、先生、同僚に囲まれ、難しい時代の中必死に正しく生きていこうとする竜太の姿が清々しい。それだけに戦前、戦中の理不尽な世相が重苦しく迫ってくる。
ストーリーの随所で坂部先生やその妻冴子先生、幼なじみの芳子を通して、キリスト教の教えが語られるが、それも押しつけがましくなく自然と心に溶け込んでくる感じがして読みやすかった。
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温かくて実直で、凛として背筋が伸びる。
三浦綾子の描く教師は、そんな魅力にあふれている。こういう先生がいてほしいと思う姿そのものだ。
昭和10年代、戦争の足音が大きくなるなかで、教育の理想を目指す若い教師。子どものために最良の授業を実現しようとするが、言論統制の影が迫る。
自由にものが言えない苦しさ、思想を縛る国策の醜悪ぶりが後編に向かって立ちのぼる。普通のことが普通にできる国とは、なんて幸せなのだろう。
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初めての三浦綾子である。まるで「理想主義肌の山崎豊子」。山崎豊子ほどに骨太ではないし、山崎豊子のように入念な取材を元に「事実」のみを描くタイプではなくて、かなりのフィクションが入っていて、それを借りて「真実」を描くタイプの構成である。しかし、時代の中で足掻く個人個人を正面から描く態度は共通している。
三浦綾子ファンの噂を聞く限りでは、かなり求道的な哲学的な作品ではないかと思っていたのである。嬉しい誤算だった。
特に上巻は、かなり現代と被る部分がある。数年前までは思いもよらなかったかもしれない。竜太が小学校四年生で恩師坂部先生に出会うのが、昭和2年ということになっている。ほとんど言いがかりとでも言えるような嫌疑で治安維持法違反で逮捕される昭和16年までが、上巻の内容である。
私は、昭和の時代は皇民教育が徹底していて、一部の共産党戦士とシンパぐらいしか、国の方針に批判的な意見を持っていなかったのではないかと漫然と思っていたのであるが、日本の中心からかなり離れた旭川では、昭和10年の頃まではかなり自由にモノが言えたし、いろんな人たちが批判的な精神を持っていると、描かれている。小説に生き生きと描かれると、そうだったのだろうな、としか思えなくなる。
そして少しずつ自由にモノが言えなくなる。竜太のお父さん、坂部先生、山下先生たちが、その中でやるべきことをして、言うべきことを言う。その「勇気」を我々は小説の「真実」の中から汲まなくてならないだろう。
2015年3月25日読了
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主人公が塩狩峠の人に似てる!
不穏な時代でも、自分の信念を貫いてる人たちがでてくる、見習いたい。
竜太、政太郎、美千代、芳子、坂部先生、沖島先生、木下先生等々。
「迷ったときは、自分の損する方を選んだらいい」
「人間は誰でも、尋ねられたくないものをもっているもんだ。隠しておきたいことは、聞いても語らんだろうし、聞いて欲しいことは、聞かんでも自分で語るもんだ」
「自分の人生をいきるということは、いわば真っ白な布の上を歩いていくようなもんだ。そこに記された自分の足跡が乱れるのも乱れないのも、自分の責任だ」
チェーホフ『孤独が恐ろしかったら結婚するな』
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前半は素晴らしい教師との出会い。教師になることの素晴らしさを知り、教師になって婚約者もでき、ハッピーな予感、という感じ。
後半は戦争真っ只中の中、人々が亡くなる様子が書かれていて戦争なんて2度と繰り返して欲しくないなと思った。
戦争って人も物も感情も何もかもを奪っていき、残るものんて無いんだよな。
自分がどんな状況に置かれても、自分の信念だけは貫き、大切な人を守れる自分でいようと強く思った。
すごーーーーく読み応えのある素晴らしい本でした。
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80年以上も前の事件、それに巻き込まれる羽目に陥った人物という題材を軸とした物語で、30年も以前に発表された小説ではある。が、そういう「何十年前」という変な旧さは微塵も無い。現在の時点でも考えさせられる内容を大いに含む小説だ。
美瑛を訪ねた際に、十勝岳噴火の災害に纏わる話題として小説『泥流地帯』が知られているということを何度も聞いていて、思い切って入手して読んでみた。実質的な上下巻ながら、別作品扱いである『続 泥流地帯』と併せて読み、これが非常に好かったので「同じ作者の別な作品」と三浦綾子作品を何作か続けて読んでみた。何れも、新聞や雑誌の連載で初登場、そして単行本が初めて登場という時期が半世紀やそれ以上も前という作品だった。
三浦綾子は『氷点』でのデビュー以降、概ね35年間の作家活動という経過が在る。その活動の後期というような頃には、少し体調も好くなかったということだが、1990年代にも深い問題意識で幾つもの作品を発表している。その1990年代の作品と言っても、既に30年程度も以前ではあるが。
本作は少年時代に小学校の教員を志すようになり、その道へ進んだという北森竜太という青年が主人公だ。作中の殆どの部分がこの北森竜太の目線で綴られている。
上巻は北森竜太の少年時代、長じて教員となり、教員としての活動に励みながら、同じく教員となった子ども時代からの馴染である女性と幸せな家庭を築くことを夢見るようになって行くという展開である。昭和に元号が改まったような頃から、昭和17年頃迄の経過となる。
この竜太の来し方が描かれている旭川での場面だが、昭和の初め頃の雰囲気が活写されていて凄く読ませる感じだ。そして教員となって赴任するのは空知管内の炭鉱町である。この炭鉱町の雰囲気が、何か凄くリアルに伝わる感じだ。
そして教員としての活動に関することだが、「あの時代の学校?」という様子が非常に詳しく描かれる。そして熱心に授業に取組む竜太達の様子も凄く引き込まれるモノが在る。