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30年以上前に書かれたとは思えないほど、企業とそこに働く人々の姿が生き生きと描かれている。
傲慢さや狡猾な登場人物の姿に、「人間なんて何年経っても変わらない…」と思わされる。と同時に、素直にまっすぐ問題にぶつかっていく人物もおり、何年経っても大切なことの存在に気づかせてくれる。
まず、舞台がスーパーマーケットなのだが、著者が元スーパーマーケット経営者ということで非常にリアル。
関係者の方はもちろん、消費者の方もためになる部分が多いと思う。
また、スーパーの生鮮部門の建て直しの部分などは現在にも通じる。消費者の求めるもの、スーパーだけでなく流通業の在り方は変わらないと思った。
そして、その実践・維持が非常に難しいということも、今の時代だからこそ思える。
そんな舞台の中で、企業組織の人間関係、とある事件とその真相、家庭問題、経営者と従業員の関係などが書かれている。
決して詰め込んだ印象はなく、反対にパリッとした文体で書かれているので読みやすい。
この小説を原案にした伊丹十三監督の「スーパーの女」がコミカルで明るく表現されているのに比べ、こちらは読後感爽やかなカッチリした男の小説、という感じです。どちらも見るとより楽しめるかも。
小売関係者は絶対おすすめです。組織の中でがんばる人もぜひ。