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投稿者:なーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
解離性障害の人が、どんな風に解離するのか、患者目線でのリアルな描写が多々あり、読んでいてとても驚いた。漫画やゲームではない現実を知ることで、勉強になった。
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朝青龍の問題で話題になった解離性障害という病名。
ちょうどいいタイミングでの出版となったが、中身ではそれらの話題にはまったく触れず、あくまでも精神神経科の一分野についての研究書として学術的に書かれている。なんとなくは理解できるが、他の精神性疾患と差異については今の段階では見解が分かれると思われる。
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「解離」と聞くとなにを思い浮かべるでしょうか。少し心理学などに興味のある人なら、「意識をとばす」とか「健忘」とか「交代人格」といった、賑々しい(華々しい?)現象を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかしこの本では、解離という現象の本質はそんなところにはないと言います。解離体験の本質は、「誰かに見られている(被注視感)」「周囲に誰かいる(気配過敏)」という感覚であったり、「世界が生き生き感じられない(離人)」という感覚だったりするというのです。
大学院のゼミで一緒だった友人が、ゼミでの研究報告の折に「離人だけが症状として現れる症例は、きわめて少ない」というようなことを語ったことを思い出します。実際、健忘や人格交代といった「典型的」な解離性障害の症例は、「特定不能」例よりもずっと少ないそうです。私たちが考える以上に、こころの病気の周辺は広大で、境界のあいまいな領域を持っているのかもしれません。
そしてこれらの体験は、夢、空想する傾向、体外離脱体験、共感覚、想像上の仲間(imaginary companion)などと深いかかわりを持ち、さらには人間のもつアニミズムにまでつながっているといいます。どうやら私の持っていた興味の対象は、解離を中心とするものばかりだったようです。今まで私の中でばらばらだったパーツが、ひとつにまとまったような気がしました。
本書の著者は、解離を理解するキーワードとして「眼差す私」「存在者としての私」という2重の「私」という視点を提示します。私たちは人との交わりの中で生きる。だからこそ万物に「眼差し」の「存在」を感じずにいられない。恐らく生物学的にプログラムされているのだろうその感覚にこそ、「共感する存在」としての人間の本質があるのではないか。読んでいてそんなことを考えました。
・・・はてさて、昨年秋の朝青龍関は、自分のマンションの一室でこのような体験をしていたのでしょうか。
(読了)
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僕らの主治医のご友人らしい。
前回の診察で「精神療法 vol.35 no.2」を持って行って話したところ、この本を紹介してくれた。
まだ読んでいないので評価できない。
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[ 内容 ]
「うしろに誰かいる」という感覚を、頻繁に訴える人たちがいる。
また、かれらは同時に、体外離脱や「霊」体験があるといった共通点をもつ。
このような症状が高じると、リストカットや大量服薬をして、精神科を訪れることになる。
さらに高じると、解離性同一性障害(多重人格)とよばれ、ときに暴力的にもなる。
本書では、現代日本の解離の姿を、具体的な症例をあげて描き、寛解に至る道筋を照らし出す。
[ 目次 ]
第1章 解離性障害とはどういうものか
第2章 解離以前の体験
第3章 彼女たち(彼ら)はどのように感じているか―解離の主観的体験
第4章 解離の構造
第5章 外傷体験は解離にどのような影響を与えるか
第6章 解離の周辺
第7章 解離とこころ―宮沢賢治の体験世界
第8章 解離への治療的接近
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[ 関連図書 ]
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解離性障害の人は、洋庄司から大人しく自己主張しないことが多い。
・健忘
・離人
・疎隔
・同一性変容
・同一性混乱
周囲に対しする視覚の変容で特徴的なのは、周囲の世界が遠ざかったり、逆に迫ってきたりするといった感覚である。
すごく空想が出てくる。頭の中にビデオのようないろんな映像ができて収拾がつかない。脈絡なく出てくる。浮かんでくる記憶が本当にあったことなのかわからない。想像が想像を生んでいく。
解離性障害の患者の多くがうつ状態を呈する。疲れやすい、だるい、憂鬱など、患者の90%がうつ状態を訴える。
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分かりやすく、勉強になった。
疾患まではいかない人たちが読んでも、自分を知ることができて良いと思う。
宮沢賢治の部分も、とても興味深い内容だった。
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解離性同一性障害はとても異様?な症状だけど、初期症状や発症原因などを知ると、そのような状態もあり得るんだなと思った。
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小さな女の子がやってくる、という女性の妄想は、多和田葉子の短編『無精卵』を思い出した。自分がやったことの記憶がなくなるというのも離人症の主な症状らしく、これはよく小説のモチーフとしてありうるような気がする。あれとか、これとか。
くるってる、くるってない、の境目ってどこにあるのかなあ。現代医学では医者が病名を決めて薬を処方するかどうかだけれども、自分でくるってるって認識しているひとはくるってないのかな。くるってるひとは自分がくるってるって認識できないのかな。でもそれは結局他者による判断に依存する。あれれ、他者の判断で決められちゃうの?
フローベールと宮沢賢治の作品と作者の例が出てきて読者には興味がそそられる箇所もあり。
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偏った知識が多かった気がします。
この本から得た情報にがんじがらめになっていたところを、最近信頼している専門家の先生に訂正されて少しずつ楽になるという体験をしています。
あくまで個人の感想です。
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解離性障害に関する本。
オカルトとの関連性を考えるなどしてとても興味深かった。
その関係で気付いたのだけれど、私は「髪を洗っている時に何かの気配を感じて怖い」という経験をおそらく全くしたことがない。特にホラー映画を観た後のあるあるとして語られるので少し寂しい。
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統合失調症的幻聴は、意味が過剰である。また、精神的余裕がない。
解離性幻聴は、自分の思考と関連はみられない。
眼差す私。
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解離性障害について、その病態を類似する統合失調症、双極性障害、人格障害との鑑別に焦点を当てて、筆者の臨床経験を基に記述している。解離性障害にいきなり言及していることから、初心者にはやや難しいかも知れない。専門的な内容なのに表現が文学的・情緒的なのは面白かった。
第七章「解離とこころ」で、宮沢賢治の作品に見られる表現が解離の体験に似ていることが言及され非常に興味深いが、新書としてはこちらを先行させた方が一般受けしやすいのかも。
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知覚と表象の関係などややこしいあたりを整理できて、解離、分裂、離隔などなどの違いはなんとなく理解できました。
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誤診との判別 宮沢賢治の物語からみられるファンタジー
眼差しとしての私 見られる私 当事者が感じる多様な症状を言葉にしてくれている