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朝井リョウさんの真骨頂というべきか。
自意識や嫉妬で苦しい気持ちになるけれど
それだけで終わらない、
出口を感じさせてくれるところが彼の作品の好きなところ。
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「朝井リョウって、実は女なんじゃ…?」と疑いたくなるくらい、女の醜いドロドロした部分がリアルに描写されていました。
3人の女性が主人公の中編連作。
それぞれの物語の仕掛けにあっと言わされ、感情のどす黒い部分を見せつけられ、ボディーブローのようなダメージが。でもページをめくるのをやめられず。
ただ見せつけてダメージを与えるだけではなく、それぞれの主人公が自分の醜い部分と向き合い、一歩踏み出す姿が描かれていて、どの人物も、最後には立ち上がろうとしていきます。
特に最後のお話が、何にでも物語が求められ、羨みからやっかみに変わっていく現代社会が描写されていて、ホント痛かった。
自分は間違いなく、つかさ側なのでめちゃくちゃ共感してしまい、ラストのつかさのセリフに泣かされました。
SNS・まとめサイトに依存気味な人、リーダーというより仕切り屋体質な人、「物語消費」大好きな人は是非ご一読を。…って、私だな(笑)
でも冷静に考えてみると、小説で「物語を無理にでっち上げなくてもいいんだよ」と書いてしまうって、とんでもないことだよなぁ…。
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作者、男なのによく女性の内面をここまで深く書けるよなぁ
女性って、小学生くらいから結構ドロドロしてんだね
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女性の心の闇を絶妙な物語で紡いだ3つの連作中編。女性のコンプレックスや嫉妬や見栄とかのダークな心理描写がこれでもかとてんこ盛り。どのお話も強烈に痛い内容なのに自分の弱さに向き合い逃げずに一歩前進する展開がいい。少中学校時代のエピがリアリティありすぎ。女性作家の作品かと思ってしまう。
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14/4/21読了
どこのバスの席の1番後ろにも壮太はいる
的な文章読んで、桐島書いた人だなって思った。
自分はキラキラしてる人に憧れるけど、
そう見える人の中でもヒエラルキーがあって、
誰もが今の自分に満足してないのかなって思った。
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おそらく宝塚を舞台にした物語。
3部構成でいろんな人を視点にしていて物語が進んでいく。
読みやすいけど、とても考えさせられるという感じではなかった。
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ダメな事への理由付けやうまくいかない時に備えた逃げ道など、人の黒い面がそれぞれの登場人物の立場ごとに書かれていてなんともリアル。ただそれぞれ明るい兆しが見えて話が終わるので、読後感は悪くなく(^^;
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朝井リョウなら、まず『何者』
その次に薦めるのがこの本になるかな。
はっきりいって、最初の100Pくらいは退屈だったけど、そのあたりから一気読み。
最後の章が弱いかな。。。言いたいことはわかるけど、落としどころがいまいち。
最初の章が一番面白かった。
何者ファンには楽しんでもらえると思う。
2つ目の章。読むのが辛くなるくらい胸にグサグサと刺さって、なんでか泣きそうになった。男でもこれくらい衝撃的なのだから、同じような境遇の女性が見たらどう思うのだろう。。。
男性目線だと、リア充悪ガキ大将がクラスのアイドルをゲットして、結婚までしてしまう所が何だか悔しい!
こういうところが朝井リョウだよね。リアルだ。
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羨ましい存在が隣にいたら、どうするか。
表題作「スペードの3」タイトルが印象的。大富豪のスペ3ルールは、あるときとないときがあったけど、これを後生大事に握りしめておくのが最善の作戦でないことは、大富豪を何度かすればなんとなくわかっていた。革命なんて待っていてもおきないのだから。
宝塚を模した劇団、そしてそのOG女優と、ファンクラブ。その不思議に規律のとれた様子は、確かに「学級」かもしれない。そして「学級委員長」がいる。なんとなく腑に落ちた。学級委員長は名誉職だ。何の利益もないけど、クラスをコントロールしている。でも、あれほど脆い権力もない。本当に信頼されてリーダーになっているのならともかく。ただのまとめ役でしかないのだから、他に優れた人が来れば、すぐにとって代わられる地位なのだ。
革命を起こしたのが、第二章の主人公であるむつ美。彼女は自分で革命を起こそうとした。その強さは「ハートの2」である。
最後のつかさの話も印象的。これひとつで一冊書けそうな気もする。とはいえ、美知代とむつ美の章があってこそ、そこで語られていた「つかさの物語」との違いに、引き込まれるのだろう。
人々を納得させる物語を背負った人を、わたしたちは応援したくなるし、騒ぎたくなる。悲しい物語を持った人の悲しみは、よく伝わる。でも、喜びも、怒りも、背負った説得力以外のものも伝えられるとしたら、それはその人の努力の成果であり、羨むものではなくなってしまう。そんな存在が、隣にいたら。でも、つかさは円を嫌えない。円がそんな見せかけの物語だけじゃなくて、本物だと知っているから、何も知らない人たちと同様になって、本当は本物である円を嫌う自分はみっともないから。
最後につかさは自分の物語がないことに開き直るけれど、それはつまり自分のカードで勝負するということ。タイトルの「ダイヤのエース」は、まさに、最強には少し足りないつかさみたい。
美知代は小さくても革命を起こそうとする。むつみは革命を起こした。つかさは革命を起こさないことを選ぶ。わたしは三人の決断をそのようにとらえた。つかさのはある意味革命かもしれないけれど、ひっくり返さず戦いを続けるのだろう。むつみは革命に成功したけど、いつ革命返しが起きるかわからない。美知代の革命はどうなるかわからない。三つの短編は時間軸がずれていて、その後が描かれていないから。
でも、戦いを降りるという選択肢がないことに、ちょっと厳しいものを感じた。朝井リョウは、どうしても序列から逃げられない自分というメッセージを伝えたい作家なのかな、と思う。
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う、うーん……こういう女性がリアルなのかはちょっと分からなかったというか……割と散文的で、潔い女性が多いので、もっとドロドロしてもいいのよ、と思いました。
というか、ここまでねちねちする人たちが主人公で、なぜ最後に突然潔くなるのか、私には分からなかった。
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------本文冒頭
ファミリアは砂鉄に似ている。誰も、磁石の力に逆らうことはできない。
―――朝井リョウの表現について簡単に研究してみる。
189P
“たった四人だと、春休みの学校はこんなにも広い。”
相対的なものの見方。
同じ学校でも人が多ければ狭く感じるし、少なければ広く感じる。
同じ気温でも、シチュエーションが異なれば、暑くも感じるし、寒くも感じる。
もう一つ、これもそうだ。
215P
“からっぽの胃の中に、ぬるい水が落ちていく。満たされている感覚よりも、空白の部分が際立つ感覚のほうが強い。”
満たされることよりも、空白になる感覚から物事を表現する。
このような感覚の表現が新鮮で的確なのだ。
彼の小説には、そういった表現が頻繁に使われる。
これは天性の才能だろう。
或いは、幼い頃から物理的な現象や心の中で思い描く感覚が人一倍鋭いのか。
研ぎ澄まされた五感から産まれ出てくる文字表現。
現代作家の中でこれほど優れて心に染み入るような文字表現できる人間は数少ない。
この作品でも、このような秀逸な表現が至る所で見られる。
そして、まるで女性の内面を知り尽くしているかのような心情表現。
これもまた、彼の天賦の才というべきものだろう。
演劇界のスターと、それを取り巻くファンたちの姿。
彼女たちはどんな理由で、どんな視点で、その位置を保っているのか?
叙述ミステリーのような一面をも持ったこの作品のなかで、彼女たちは葛藤する。
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朝井リョウさんの「スペードの3」を読んだ。三人の女性、美知代、むつ美、つかさそれぞれの物語。クラスメイト、友達、ライバルと自分の想いが巧みに絡みあって上手描けていると思います。前を向いて進むことがやっぱり大事なんだよなぁ。
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前作の『世界地図の下書き』を読了後から朝井リョウの作品にハマったが『世界地図の下書き』以前の作品はなぜか、苦手のままである。今回の作品もグイグイと作品に引き込まれ、あっという間に読了。読んでいる時、朝井リョウって女性だったかと錯覚をする程、女の生態がリアルに描かれている。3つの話が交錯し、最後には一つになる。すごく読みごたえがある作品。
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朝井リョウはどんどん変化していく。
でも、行間に埋め込まれた、赤ん坊の爪のような薄くて鋭い刃は健在なので、読み進めるに連れてどんどん細かい切り傷が増えていく。ヒリヒリと、痛くてたまらない。
特別な場面はないのに、ずっとドキドキして、怖くてたまらなかった。
「学級委員」の立場を守ろうとする心理。特別な物語を求める心理。「自分のため」を押し隠そうとする心理。
どれもみな思い当たることばかりで、だからドキドキするんだろうと思う。
「待っていても革命なんか起きない」という言葉がいちばんぐさっときた。誰も他人のためになんか、革命を起こさない。変えるのはいつも自分だ。
ダークで、やりきれない物語の底に、そっと置かれた励まし。「そこにあるのは、そのときのその人自身」
ぶるっと心が震える一節だった。
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この作者の作品はすべて☆4つ以上だったんだけど、初の☆3つ。
いつもと変わらず、心のひだを丁寧に描いているのだけど、具合悪く気分が落ちてるときに読んだせいか、気持ち悪くなっちゃった(^_^;A 特に最初の一編。それだけ描けているってことかも。