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『・・・そういう私だけの思い出を私がなくしてしまったら、それはなかったことになっちゃうんじゃないかって思って、怖かった。これらをなくしたら、私は空っぽになっちゃうって思った。
でも、十七歳の私は充分に、もう充分に、空っぽだった。
だから私は、子供のふりしてそこにいた。
良い子のふりして、そこにいた。
それは悪いことじゃない。
悪いことだったとしても、それは私のせいじゃない。
多分。
でもだとしたら、一体誰のせいなんだろう?』
良い子な自分が好きだ。家族にも親戚にも先生にも近所の人にも友達にも、私は良い子で真面目な子だって思われてきた自信がある。思われてきただけじゃなく、実際良い子として生きてきた。でも、時々不安になる。
自分がしてきたことを誰かのせいにするのは嫌だけど、やっぱりたくさんの誰かの期待を感じて良い子として生きるようになったような気がする。なのに、良い子過ぎることを、真面目すぎることを、心配されたり、非難されるとどうすればいいかわからなくなる。あなた達がそうしろって、良い子になれって、きちんとしろって。そうじゃなきゃ私なんかに価値はないって。今更辞めて欲しい。
歳相応とか羽目をはずすとか自由にのびのびとか、私は怖くて怖くてあの時代に捨ててきたんだから。
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−あらすじ−
世界が薔薇色に変わる瞬間を求めている−。
保健室登校を繰り返すまどかは「あの人」のぬくもりを求め、夜毎男と関係を持つ。
誰にも嫌われないように笑顔の練習をするなつみは、恋に積極的になれない。
二人の出会いをきっかけに、それぞれの「好き」が動き始めた。
本当の気持ちと本当の私に気づくまでを切ないほど繊細に描く、書き下ろし長編小説。
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・病気は治さなければいけない。治らないなら、自分が病気であることに気づかなくてはいけない。
・黒が好きだ。黒は何色とも混ざらない。何もかもみんな塗りつぶしてしまえる、一番強い色だから。黒は、黒以外の色にはならない。なれないから好きだ。
・言いたいから、聞いてほしいから、言えないんだ。どうでもいいことならいくらだって言葉にできるのに。
・泣くのは嫌だ。泣くのは、負けたことになるから嫌だ。あたしは泣かない。どんなときだって、泣かないんだ。
・「好きなだけで十分、そういう恋って本当にあるよ」
・実らない恋はやがて腐る。
あたしの貴い恋心を、腐敗させてしまうくらいなら。
終わりにしよう。
あたしたちの、大きな世界。
・「好かれたい」よりも、「好きでいたい」
・誰かの機嫌をとって自分を押し殺してまで、愛される必要がどこにあるというのだ?
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正反対の2人の女の子。
それぞれが「好き」という気持ちを通して本当の自分に気づき、新しい友情が芽生える……。
全編に散りばめられた「愛したい」「愛されたい」気持ちの表現にきゅんきゅんしました。