紙の本
ほのぼの
2018/01/22 17:42
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投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユーモア小説というだけあって、ほのぼの。男女のちょっとしたエロチックなやりとりも垣間見えるのがいい。それも露骨ではなくて、くすっとさせる描写である。特に、最後に収められた『御水取』での、元看護婦さんとの交情がよかった。昔はおおらかだった。ほんの少し前のことだ。今は男女の間もなんとギスギスしているのだろうか。木山小説のファンに、すっかりなってしまった。
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先に詩集を読んだ際、そのあまりにダイレクトな表現に驚かされ、カルト作家としての印象を大いに植え付けられたのだけど、この短編は普通なまで普通。
比較対象が漫画家になるのだがつげ義春的だと思った。
クリエーターの日常を山も谷もオチもなく淡々と描いている。
そういう空気感が一部にマニアを生んでいるのだと感じた。
文壇のサブカルレーベル(勝手に命名)である講談社文芸文庫に収められるのも納得。
解説でも触れられていたのだけど、とにかく「ゆるい」。
「ゆるい」なんて解説される作家は珍しいと思う。
この選集は私小説だけで構成されているのだが、どうも私小説というのは陰気になりがち。
だけどこの人はのんびりしているんだ。
貧乏で切羽詰まっているはずなのに。
書くこともないのか同じ話を使いまわしてる感もあって、そこがまた生みの苦しみのようなこともなく。
なぜか微笑ましく追いたくなる、そんなゆるさ。
ただ講談社文芸文庫でも品切れ状態で、なかなか多くを読める作家ではなくなっている模様。
このままカルト作家として消えるかもしれないのは惜しい。
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解説に「・・テーマがない。・・木山捷平にとって表現行為そのものが文学なのだ」とあるが、その通りの一冊。
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タイトルからして、なんて風流で涼やかな、と思いつつ手にしたものの、風鈴が鳴る理由に意表を突かれました(笑)この外し方が木山捷平節なのではないでしょうか。そんな感じの、タイトルどおりユーモラスな短編を集めた一冊でした。
「耳かき抄」「逢引き」「下駄の腰掛け」あたりは電車で読みながらニヤついてしまいます。(木山さんの頭の中で発想連携はどう繋がっているのだろう…と思わずには居られない)「柚子」はお気に入り。旅先で出会う女性とのなんやかやの話ではあるのですが、一般的に期待されるような展開にならずに済むのが良いです。そしてふんわりとした気持ちにさせられると云う…。