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過激なタイトルだったので気になって購入しました。
今住んでいるこの場所から動けない、ということは、引っ越しをするだけのお金や時間の余裕がない、ということであり、それがひいては貧富の差を如実に表しているのだ、ということが書き連ねてありました。
上位都市の高卒者は、下位都市の大卒者より、給与が高い、とあって、それは高卒大卒とかじゃなくて仕事の年季とかじゃ……?と思ったけれどそれは違うらしいです。ふうん。就くことのできる職業が増えると生産性が向上し、生産性が向上するから学歴の低い人でも給与が上がるだとか。
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ハイテク産業と地域経済や格差のつながりを経済学的・統計的なエビデンスをもとに示している。本書を読めば、教育、研究開発、ハイテク産業への投資、そして地理がいかに大切かが分かる。
原題『THE NEW GEOGRAPHY OF JOBS』に対して邦題がアレなせいで損している。
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すごい煽りタイトルだけど、内容は都市経済学・労働経済学
原題は The New Geography of Jobs
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ここ1年で読んだ本の中で一番のアタリだったかもしれない。
本書の大筋はイノベーション産業が「都市」を活性化させるというもの。
ひとつのイノベーションがあれば、その街のイノベーション産業に関わる業種はもちろんそれ以外の例えばサービス業(医者・弁護士からウエイターや新聞配達員まで)の年収もUPする。
なので、イノベーション産業を活性化させることこそが都市を発展させる手段なのだ。
そして、インターネットで物理的な距離が縮まっているように見える今日だがやはりイノベーションが起こるのは知識人たちが物理的に近い距離、立ち話したり飲んだりできる距離にいることが大事だそう。実際、ネットで繋がるのも顔を実際合わせた人たちが多いそうだ。
これを読んで、私も大阪を関西を発展させたいと願った。
東京1点集中が激しい日本だが、関西もイノベーションハブを作り発展させたい。
関西の人たちを繋ぎ、良い相乗効果をたっぷり起こし、想像以上の未来を創っていきたいと思った。
今の私にできることは、
①自分自身が多くの人と繋がること
②自分がつながった人たちを繋げていくこと
この2点だと思う。
もっともっとできることはあるだろうけど、今の私にできることはココだと思う。
少しずつ、頑張っていきたい。
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170410
年収は住むところで決まる
イノベーションの世界では、人件費やオフィス賃料以上に、生産性と創造性が重要な意味を持つ。
本当に優れたアイデアは、予想もしない時に思いつく。同僚とのランチ、給湯器の立ち話など。電話や電子メール情報は伝達には適している。
アメリカはイノベーションハブが集中しているから発展しやすい。
イノベーションのプロセスのかなりの部分が、コミュニティ内の異なる要素が思いがけない形で結びつく。シリコンバレーの産業分野多角化が事例となる。
18-30歳イタリア人男性の82%が実家ぐらい。アメリカの移住は、突出している。
失業保険制度は、「移住クーポン」を発券し、支給する。
バイオテクノロジー企業が成功するか否かは、スター研究者の存在が不可欠。
クリエィティブクラスを喜ばせれば、イノベーションハブを築ける
アメリカは官民ともに研究投資が不十分
ルムニは若者の大学進学に投資し、所得の一部受け取るビジネスを行っている。
高学歴が大勢いる都市が、アイデアと知識を生む、工場として台頭する。
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題名からは、煽りの入った挑発で話題をとるような本かと思っていたが、そのなものとは全く異なるまともな経済学の本である。
イノベーション産業は、従来の自動車などの産業よりも乗数効果が大きく、レストランや美容室などの地場産業への賃金上昇などの波及効果が大きいとか、イノベーション産業ほは高学歴社員を必要とするとか、実際に会って議論することが大事とか、現在の状況を示し、それらが一部の都市に集中していることの理由と説明する。
今後の繁栄は、相互につながる高学歴層が大勢いる都市がリードするイノベーションに依るというものだ。その都市に住めば、生活産業など非イノベーション産業の人でも、賃金は上がっていくのだ。それが本書の題名の由来である。もっとも都市間格差は広がってしまうのだけど、現実をよく説明していると思う。
本書を読むと、良いとか悪いとかではなく、現状をよく説明していてとても納得がいく。政治家に読んでもらい、今後の政策を考えてほしいと思う。
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読んでよかった!面白かったです。すごく納得できたし、アメリカで少し前にあったことは必ず日本にも少し遅れて現実になったりするのでとても参考になりました。実際のアメリカのイノベーション企業が出てくるのでわかりやすくなるほどーと思えました。ブルックリンなどに工房ができていて入居が困難なほど人気でモノづくりのブームが来ているというあたりも興味深かったです。
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目を引くような題名になってますが、金払いのいい人が集まっている都市なら、サービス産業でもそれなりの所得になれるということです。
都市部なら生活コストも上がりそうですが、それ以上に所得の上昇の方が大きく、それはハイテク産業の乗数効果が大きいからだそうです。
都市が発達する条件は、地理的条件が大きかったけど、ハイテク産業が市場を引っ張るようになってからは人的条件が最も影響しています。日本で言えば、渋谷にIT企業が集積してビターバレーと呼ばれていたことが近いです。
優良企業が市場を作り、いい人材と刺激的な交流を求めてさらに企業が集まりそこに雇用が生まれ、ハイクラス人材がやりがいのある仕事を求めて引っ越し、金払いのいい人にサービスを提供するために低学歴も惹きつけられる。そんな流れが都市発達での普遍性あるプロセスになっています。
日本における地方創生を考えてみると、イノベーティブな企業を地方に誘致できるかが鍵になるというところでしょうか。
稼いでいる法人を優遇する政策は一般ピープルから抵抗に遭いがちですが、芸術祭や移住促進じゃなくて、やるべきは優良企業の誘致ってことなんですけど、それって難しいですよね。
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☆要は、シリコンバレーの仕事は年収が高い。
p.91 本当に優秀な人は、そこそこ優秀な人材の100倍優れている
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171216 中央図書館
原題は'The New Geography of Jobs'。ハイテク先端産業の集積する都市への経済集中が加速している、ということをアメリカの都市格差データで説明している。スター研究者やエンジニアが少数居るだけで、その都市の経済は「乗数効果」で上昇する、すなわち人と資金が集まり、サービス業の繁栄にまでトリクダウンするとな。
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正確に言えば、「住むところ」ではなく「働くところ」だろうけど、長距離通勤って世界的には特殊なんだろうなあ。「朱も交われば…」とか「孟母三遷…」とか、あながち根拠がないわけじゃないと。昔の人ってエラい。
地政学の経済版と言うか、地経学の国内版と言うか。地域経済学ってのとも論点が違う。比較地域経済学?相互地域経済学?うーん。
「高技能者が経済を回せば低技能者もその恩恵に預かる」って話が、古今の実例や膨大な(何せ全米)データと共に延々と続く。けど大事なのはソコから先!国産高技能者の低減、アメリカの若者はなぜ大学に行かなくなったのか?高校生テスト現状も挙げてるけど、初等中等教育のテコ入れってお金も時間も掛かるから、直ぐに結果が欲しい米国人にはハードル高いって…
外国人博士が闊歩する都市でウェイターしてればいいのか?は極論だけど…
ソコ、掘り下げずに終わっちゃうから(筆者はイタリアの大学出て米国へ来た人)結局、読後感は「確かに速い人と走るとタイム上がるよね〜」くらいだなあ。
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経済学者による、地域による繁栄の度合いについて述べた本。イノベーションをキーワードに、現在成功している企業が多数存在する地域が豊かであることをデータを用いて主張している。論理的で面白く読めた。
「ある土地に大学卒業者が多くなれば、その土地の経済のあり方が根本から変わり、住民が就くことができる職の種類と、全業種の労働の生産性に好影響が及ぶ。最終的に、そういう土地では、高度な技能をもっている働き手だけでなく、技能が乏しい働き手の給料も上がっていくのだ」p24
「ハイテク分野の企業が成功できるかどうかは、従業員の質だけではなく、地域の経済環境の質にも左右される。ハイテク産業の盛んな土地にさらに多くのハイテク企業が集まってくるのは偶然ではないのだ」p27
「生産性が向上すると、消費者にとっては商品の値段が安くなるし、労働者の賃金も上昇するが、最終的には雇用が奪われる。雇用の喪失というマイナス面を強調する論者は多いが、労働者の生産性が高まることは、社会が豊かになり、生活水準の向上が実現する主たる要因だ」p54
「雇用の大半は非貿易部門が占めているのに、そうした産業は国の経済的繁栄の牽引役になりえない」p80
「(ザッカーバーグ)「本当に飛び抜けた人材は、まずまず優秀な人材より少し優れているという程度ではない。100倍は優れている」」p92
「(イノベーションのハブ都市の)共通点とは、教育レベルが高く、そのおかげできわめて生産性の高い貿易部門を擁している」p121
「高技能の働き手の数が増えると、それ以外の労働者の生産性も高まる」p134
「格差は拡大しており、そのペースは拡大している。好調な州や都市はますます好調になり、低迷している州や都市はますます低迷するケースが多い」p137
「都市が栄えるためには、充実した文化とリベラルな気風が欠かせない、ひとことで言えば「クール(かっこいい)」な町でなくてはならない」p249
「政府が産業に補助金を支給する政策は、アメリカでもヨーロッパでもあまり成功していない」p272
「変化には、かならず痛みがともなう」p281
「大学進学は、最も割のいい投資の一つだ」p297
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技術を持つ人の雇用が、地域の発展を促進する。言い換えればイノベーションの発信地になれれば、その地域の人の収入は、イノベーションと関係ない、マッサージや床屋さんまでもあがる。万能ではないにしても、地域活性化のヒントがこの本にはある。
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めちゃくちゃ面白い。お金増えると格差が増える、、ではなく、お金持ちが増えると、周りも裕福になる、というのを示したのはとても胸に残る。
あらゆる人間はお金でつながっており、損得勘定で見ても、どんな人間でも大事だなぁとひしひし感じてとても豊かな気分になれる。
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日本語版のタイトルのインパクトである。 英語版を直訳するなら「雇用の新しい地理学」だろうか。しかし日本語のタイトルは極めて本書の要旨を抑えていると思う。
年収を得るには雇用が必要だ。経済が活発な地域では、平均的な収入は高く、また雇用も多い。経済が活発であるとは、そこに産業があるということだ。かつて産業とは製造業だった。今でも製造業が重要であることにはかわりはないが、その形は大きく変わってきている。本書でまず理解すべき点の1つ目は「製造業」と「イノベーション産業」の違いである。アメリカ国内での製造業は、その多くが海外に拠点を移しているせいで没落している。日本も例外ではない。日本のメーカーでもあっても製造拠点は中国へ、また中国の人件費が上がってきた昨今では東南アジアなどのさらに人件費が低いが良質な労働力のある国へ移っていく。一方、アメリカではどういった産業が発達しているか?周知のとおり、インターネットやソフトウェア、それに関わるビジネスをおこなう企業が成長している。こういった産業をイノベーション産業と呼んでいる。
製造業とイノベーション産業の地理的な違いはなんだろうか?製造業は伝統的に、市場や生産投入物への距離が重要だった。つまり、売り先が近いほうがいいし、一方で原料が近くで手に入るほうがいい。こういった地理的要因が製造業が成長する位置を規定していた部分が大きい。
しかし、イノベーション産業はそういった物理的制限が少ない。ソフトウェアの輸送コストはただみたいなものだ。ではなぜ、サンフランシスコ近辺(ベイエリア)やシリコンバレー、またシアトルなどがイノベーション産業の集積地となっているのだろうか?
それは「アイデア」がイノベーション産業の源泉であり、アイデアは人とコミュニケーションすることで生まれるからだという。伝統的製造業が中心だった頃は生産プロセスが差別化の肝だった。しかし、今重要なのはどのような製品やサービスを生み出すかというアイデアが最も肝になっている。そういった生産性と創造性が重要な産業が地理的な拠点を選ぶときに、3つの恩恵があるところを選ぶという。それは
1.厚みのある労働市場(高度な技能を持った働き手が大勢いる)
2.多くの専門のサービス業者の存在
3.知識の伝播
である。
労働市場の厚みとは、文字通り、高度技能者が多くいる労働者のマーケットが存在することだ。同じような技能を持ってる人が10人いる市場と1000人いる市場では、労働者と企業のどちらの立場から見てもよいマッチングの結果が得られるのは後者だ。そして、厚みのある労働市場があれば、さらにイノベーション産業と高度技能労働者の両方を惹きつけることができる。
専門サービス業者の存在は、産業が育つために重要だ。イノベーション産業が成長するには、資金調達や法律関係など様々なサービスを利用することが必要になる。一見、イノベーション産業は製造業よりもかんたんに海外移転ができそうだが、「イノベーションは適切なエコシステムに身を置くことが重要」であると著者は説く。シリコンバ���ーのベンチャーキャピタル業界では、20分ルールというものがあり、オフィスから車で20分の距離に拠点がない会社には投資しないという。学術研究でも、ベンチャーキャピタルと新興企業の地理的な距離が広がると、投資される確率が急激に落ち込むという。ベンチャーキャピタルはただの投資家ではなく、エンジニアなどアイデアを生み出す起業家にビジネスとしての方向づけを行う役割もある。そのためにも地理的な近さが緊密なコミュニケーションに役立っているのだろう。たとえば、シリコンバレーには会社の法人化のための手数料の代わりに、その会社の株式を受け取る法律事務所があるという。多くの会社と同様の契約を行えば、一つの会社が大当たりすれば、割に合うというビジネスモデルである。多くのイノベーション・スタートアップがある場所だからできるビジネスモデルであるが、一方で何千ドルもする手数料をすぐに払えない若いスタートアップ会社からしてもニーズがある。
知識の伝播とは、これだけインターネットによるコミュニケーションが標準化した現在でもなお、むしろ今だからこそ、対面のコミュニケーションが重要視されているということである。創造的な人同士が対面でコミュニケーションすることで新たなアイデアが生まれる、ということが認識されているのである。例えばWeWorkのようなコワーキングスペースの需要はこういうところになるのだろう。本書の中には「わが社には最新鋭のテレビ会議システムがあり、いつもそれを使ってインド側と会議をしていますが、直接顔を合わせて話をするのと同じようにいきません。一ヶ所に集まってホワイトボードの前で議論を戦わせる経験は何者にも代えがたい」。今これを書いているのはコロナ騒動の真っ最中なので、いささか的はずれな感じもするが、これは心理だと思う。
「年収は住むところで決まる」というが、これは高技能労働者だけではなく、一般的な労働者にも当てはまる。コーヒーショップの店員、レストランのウェイター、美容師など地域でサービスなどに従事する労働者の生産性には、大きな地域差はないはずだが、サンフランシスコのウェイターと、中西部の田舎のウェイターには収入に大きな差がある。これは、大きな収入を得ている高技能労働者が利用するがゆえのスピルオーバー効果だが、この差はどんどん開いていく一方である。
最後に、本書は経済学で言う人的資本、つまり教育の重要性について議論する。イノベーション産業の成長が、それぞれの地域、ひいては国家全体にとって便益生み出すことが議論された。政府が税控除などの形で補助金を出すのはそういう側面があるからだ。これは教育でも同様で、教育を受けた高技能労働者がもたらす社会的便益に対して、教育を受ける本人が支払う私的費用が大きすぎる。また教育を受けた移民が起業する確率は高く、それもまた国家に恩恵をもたらす。こういった研究結果から、政策として高技能の移民を受け入れを拡大するのか、落ち込むアメリカ人の教育を強化するのか。こういった政策判断が求めらえるという。これは日本にとっても他人事ではなく、むしろ切羽詰まった問題と言えよう。