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「プリズン・トリック」がとんでもない話だったが、この作品も、とんでもない方向に行きそうで…。宗教がらみの部分は読み飛ばしてしまった。
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地方の議会場において、質問に立っていた議員が狙撃されて死亡。推理小説としての面白みも残しつつ、民族的な考察も織り込まれていて、2つの側面から楽しめる作品。
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長野県庁での定例議会中、突然照明が消え、銃声が響き、議員が殺害された。誰かが逃げた形跡はなく、凶器の銃も見つからない。遺体のポケットには「善光寺の本尊を公開せよ」という謎のメッセージが残されていた。善光寺の本尊は絶対秘仏であり、千数百年の間、誰の目にも触れたことがないという。県警の城取刑事の執念の捜査である人物が容疑者として浮上するが…。
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偏執的な思考に凝り固まった犯人の人物描写もあり、動機に一応の説得力を持たせてはいるがいまひとつ頷けないものがあった。
とくに共犯者の心理がまるで理解できない。
「可哀想」・・・こんな気持ちだけで人を殺す行為を容認できるものなかの。
もう少し、人間の心理的な動きを「あるかもしれない・・・」と思える方向へと転換できなかったのかと残念に感じた。
犯人像にリアルさがなかった分、被害を受ける人たちの描写はいい。
とくに諏訪部県知事と城取刑事が良かった。
反感を買うようなキャラクターなど個性的な人物がたくさん登場する。
けれど、どの人物もどこか浅い印象しかない。
描写が上滑りしているような・・・とってつけたように感じてしまった。
設定は面白かった。
議会真っ最中の密室での殺人。
弾道検査ですぐに発射地点の特定はできるだろうけれど、犯人はそこまで細かく考えていなかったのだろう。
もうひとひねりあれば・・・と思う。
善光寺にまつわる解説のような部分は面白かった。
善光寺には行ったことはあるけれど、信仰心などカケラもなく、単なる観光地のひとつとして訪れた。
「実は本尊などない」という噂が一部にあることも、由来も、何も知らずにいた。
予備知識が無くても別に困らないが、知っていればもっと楽しめたのかもしれない。