紙の本
ゆらめくような時間
2021/01/05 07:19
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投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
高校生と先生って守備範囲外なので
ちょっとどうかなぁって思いつつ、
やっぱり読んでみるかな感じで手にとりました。
凪良ゆうさんの作品って最近そんな感じで浚い読みしています。
こちらの作品も読んで良かったです。
瀬名の高校生という年らしい危うい存在の描き方が秀逸。
酷い家庭環境、踏み込めない上っ面だけの友人関係、
自分の力ではどうしようもないことにあがきながら、
繊細なくせに傲慢なこの年代特有の色を見事に描いている。
「好き」って気持ちも持て余しながらも高まってしまう。
そんな年頃のゆらぐような状態の描き方が秀逸。
しかも馬鹿な行動はしているけれど、基本瀬名は色々聡いのです。
色々見えてしまったり、わかってしまったりして
それ故に苦しんだり、暴走したりするのですよね。
うん、この瀬名だったからこそこの作品は読んでいけたと思う。
傲慢で脆くて純粋で一途な揺れ動く高校生の瀬名の気持ちが
ひしひしと感じられてくる。
この時期故のゆらめくような儚い時間と気持ちが鮮烈に描かれている。
しかも本編は瀬名視点一択なので、
阿南の深いところは描かれない。
瀬名が見ているものしか、読者も見ることができない。
ツレの大河内との関係とか、
セクシャリティのことで傷ついてきたことなど深くは描かれない。
(でもかなり傷ついてきたことは推測できる)
身体の関係を持ったからといってすぐに恋人になるわけではないと
いうところもリアリティがあってひたひたと迫ってくる。
瀬名の一途で真摯な思いを受け止め続けることによって
阿南も変化していくのが瀬名視点なのにこちらに伝わってくる。
先生と生徒だからこそ出会い、先生と生徒だからこそ別れ
先生と生徒でなくなった後に再会する。
作者さんの作品らしい、時間の流れで描かれている。
阿南視点のSS2本もその後の二人の姿
主に高校生でなくなった瀬名の成長具合が見られて良かったです。
馴染みのバーで瀬名のことを話しているという阿南に、
ああ本当に恋人同士になったんだーって思い知らされた。
(瀬名は店でカミングアウトしているとさらりと言っているし)
ゆらめくような時間を過ごした後にも時間を続いていっているのだと
思うと本当に安心します。
まだ未完成なんだなぁって感じで、でも良い形になるように動いていているのだと。
そして、そう思わせる読後感を与えてくれる作品だと思います。
電子書籍
恋人として成長する二人
2017/04/17 14:34
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投稿者:もり - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬名の高校生らしい後先考えないガツガツしたところが可愛い。阿南も先生のルールや大人の分別を見せるくせに、最初から瀬名には甘いなぁ。一時的な別れを選んだ二人だけど、甘々でハッピーを迎えられてよかったぁ。ピュアな心はそのままに、精神的に成長した瀬名はすっかり自慢の彼氏。お互いを支えて、頼れる関係が心地よい読後でした。
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凄く痛かった。年下生徒×先生。
家庭環境に恵まれてない生意気な生徒を、それでも面倒みる先生。
あまりやりすぎると、生徒側に全く共感が持てなくなるパターンもあるけれど、今回は何か文章から生徒側の空虚さが滲み出てくる感じで切なくなりました。
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未収録作品があるということで 購入。 前に読んだ時はこの年下の身勝手さが合わなかったんだけれど、未収録作品を読んでのこの成長ぶりがすごく良かったです。いいですよねぇ。
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加筆修正有の新装版
高校生・瀬名×英語教師・阿南
両親の不和の中、今時高校生の瀬名はゲイナイトの夜、教師・阿南を見る。
あらすじだけ言うと、よくある生徒×教師のBLなんだけど、作者の心理描写が秀逸で、読書を堪能した。
阿南が、ただクールで大人な教師って訳でなく、自分自身を懸命に律してるとことか、青臭い思春期全開の瀬名とかがいい。
2編の短編に綴られたその後も、思いやって遠恋を育む二人に嬉しさが募る。
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年下攻め、しかも生徒×教師。
美人で口が悪くいつも強気でクール…なんだけどエロい教師の阿南。
征服したがる年下わんこの瀬名。
やっぱり年下わんこ攻め好きだー!
若さゆえに突っ走る瀬名。教師という立場上受け入れる事を頑なに拒む阿南。でも、阿南も人間…ポキっと心が折れちゃう時もある…。
一度は別れたふたりだけど、数年後に再開し恋人に。
瀬名が大人になったな〜と…しみじみ(^^;;
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イラストが新たになり、ドラマCDのSSと書下ろしが追加された新装版。旧版のやんちゃな瀬名もよかったけど、ワンコと言えば、の草間さかえセンセの瀬名もまたいいです。
高校生大型わんこ攻の中でも特に好きな作品です!大型わんこ×クールビューティ女王という人気の組み合わせの中でもひときわ光っていて、印象的なcp。
ありがちなストーリーにもかかわらず魅かれてしまうのは、やっぱりキャラの強烈な魅力です。
中でも好きな場面は、瀬名が年上の阿南に子供っぽく思われたくなくて、知ったかぶりしてアングラ劇に連れて行くくだり。
背伸びして恥をかく!必死なだけに痛すぎる赤っ恥だけど、そんな瀬名がとても愛おしく思えました…
きっと阿南も同じ気持ちだっただろうなと。
そして、あのハガキを送った後からの展開も忘れられません。どうなるかわかってるし、もう泣かないかな…と思いましたが性懲りも無く涙腺決壊、やっぱり泣けました。
阿南は瀬名にはクールな女王様に見えているけど、実はかわいくてとても優しい性格なんですよね。ぶっきらぼうな言葉の裏に優しさを秘めていて、瀬名のために一線を引いていた阿南。
瀬名の将来のことを考えて自制してきた気持ちを考えると切ないですが、ただの女王様受けじゃないところがたまらなくいいんですよね。
瀬名のめざましい成長ぶりに喜びつつ、SSではそんな瀬名にメロメロな阿南の姿も見ることができて満足。
そして何度読んでもHシーンがとても萌えます。
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わたし、子どもっぽくて馬鹿で勢いだけのキャラって嫌いなんです。読み始めてすぐに「えー、これは最後まで読めるかな〜(^^;;」と、危惧したのですが、そこは凪良ゆう作品。一気に(夜中だったのに)読み終えました。
バカな子どもだった瀬名が、美人で大人で男前の有村相手に好きし放題していろいろどうしようもない奴だなと読み手が諦めかけても物語のターニングポイントまで読めたのは、やはら凪良ゆうの丁寧な描写があったからだと思う。瀬名が抱える家庭の苦しみや瀬名自身の幼なさ、友人達との関係、有村の人物像、隠された想いなどが本当に丹念に描いてあったことで、後半につながる瀬名の心の成長が予感されたからだと思いました。瀬名、よく育ってくれた。有村、よく耐えたなあ。
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新装版と知らずに手に取ってしまい、最初は「しまった…」と思ったけれど、その後の二人の様子も見れて、よかった。
前のときは、後半にきて二人が別れて、そして元サヤに戻って早々のendだったので、その後の二人を想像するとき、まだ不安定感があった。
けれど新装版ではSSでその後の二人を見ることができるので、安定して読了することができた。
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読み終えるのに四日ほどかかりました。
文章の勢いが速く、激しく、滝のように濁流のように情報があふれ、その雫がまたとても鋭いので少し読んで休み、少し読んで休みを繰り返した一冊です。
鉄壁の阿南先生を足かけ八年?でデレにとかした攻めくんの成長ぶりがよかったです。十歳差ありがとうございました。
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新装版再読。凪良さんの作品の中でもTop3に入るくらい大好きな作品が、草間さんの素敵なイラストにイメチェンしての再販でとても嬉しい。
ゲイで大人の分別も良識もある高校英語教師阿南と複雑な家庭環境からヤケを起こしそうになりながらも、純粋さを失っていない高校生瀬名。
瀬名の子供だからこそ、駆け引きなしに欲しい欲しいと言えるひたむきさが眩しい。こんな風に真っ直ぐぶつかって来られたらほだされるよな…と。そして受け入れたが最後、全力で逃げ出したくなるだろう。目の前の男のポテンシャルが恐ろしい。いつか自分を置いていってしまうかもしれない。
瀬名の家庭の事情で泣く泣く別れる場面が切ない。お互いの将来を思うとなんの約束もできなくて。
別れの朝の青い部屋の描写。瀬名が美容師見習いになって、阿南の教え子に出会った時に思わず泣き出してしまったところが特に好き。
再会後の素敵な書き下ろしもプラスされて、いい男に成長した瀬名とふたりのラブラブが見れて本当に良かった(*'A`*)
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凪良さんの作品では一番好きかも。生徒×教師という設定で、あますことなく書かれているのは年下攻の焦りや懊悩、そして未熟さ。タイトル通りまさに未完成でまっさらで危うい頃。この辺の描写は凪良さんは本当に上手い。目の前の恋しか見えなくなり、知らず相手を追い詰めていくところは『恋愛犯』を思い出してちょっとゾッとした(束縛系は苦手)が、その辺はあまり長引かずに済んで良かった。本編後のSS、大人になった年下攻に尽くされて、幸せな日常を送っている受視点に萌え。良いなこういうの。好きです。
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前半は攻めの自分勝手で幼すぎるところにイライラ。
いくら高校生だからって、家庭の事情が複雑だからって、ここまで他人に好き勝手しちゃだめでしょ?と思っていたけど、
先生と離れてからぐんぐん成長していって、高校生の頃の素直で年下男子っぽい雰囲気は残しつつ、器がでかくて優しい男になっていて、
これは先生がキュンキュンくるのも無理はない。一度離れることが、瀬名には必要だったんですね。
瀬名が阿南以外に仕事も好きになってよかった。
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はじめて買った作家さんです。文章の作りが好きです。ただ、今時の子って友達をツレって呼ぶんでしょうか?
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不朽の名作!何度読んでも泣いてしまいます。
高校生の瀬名は青くて直情的で、でも素直でまっすぐに阿南先生に激情をぶつけます。
高校生の瀬名からしたら、10歳上で教師の阿南先生はとても大人でキャパも広く見えたんだと思います。
でも、二人の別れの時に阿南先生が気持ちをぶつけたように、阿南先生もまだ若い27歳のただの男で、瀬名の気持ちに揺さぶられ、でも大人故に教師故に、瀬名の無鉄砲な愛情が、未来が、怖くて怖くて仕方なかったんだと思います。
その後、瀬名が社会人になり成長していく姿はほんとに感無量で、長い年月の後に再び結ばれる二人にぼろぼろ泣いてしまいます。
二人が同棲してからのお話も読みたいなーー!
また、凪良ゆう先生の作品の秀逸さは、情景描写にあると思うのですが、こちらでも、二人で過ごす部屋の水の底のような水色、明け方の青等、まるで映画のよう。とても素晴らしいです。