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夢で始まり、夢で落とす。中々な夢落ち。でも、この人の本領は、物語の一歩手前にある、日常生活の中の「予感」描写ですね。
日本のみならず、世界のお寺の屋根の旅。まあ、そこがもう一つの面白さかも。ぼくは、偶然、法隆寺行きの電車で読みはじめて、あまりの一致に、笑ってしまいました。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201909260000/
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家の屋根の雨漏りの修理に来た屋根屋の永瀬と、夢の中で逢瀬を楽しむみのり。
2人は京都の五重塔、フランスの大聖堂へと旅をした。
ゴルフ三昧の夫と、高校生の息子と3人暮らしの平凡な主婦みのり。
そこに現れた屋根屋の永瀬は、彼女に刺激を与えてしまったのでしょう。
夢の中だからいいよね、という気持ちでいながら、一歩踏み出す直前まで行ってしまっていて、どうなるのかと緊張しました。
何も無くて良かったんだと思います。
永瀬が残した落書き。
家の屋根瓦の上にあるかもと勝手に想像してました。
違った…。
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表紙絵はマルク・シャガールの『街の上の恋人たち』。その絵からイメージを膨らませたような不思議な話だった。
家の屋根を修理しに来た屋根屋に明晰夢の見方を指南してもらい、私は屋根屋と一緒に夢の中の旅をする。
2人の旅は夢の中とはいえ、なんとも甘美。シャガールの空を飛ぶ恋人たちのように。黒鳥になる場面は「レダと白鳥」を彷彿させる。
2人が訪ねるのは、福岡市の東経寺大屋根、奈良の瑞花院吉楽寺、法隆寺の五重塔、フランスのノートルダム寺院、シャルトル大聖堂、アミアン大聖堂など。国宝建造物の屋根の上からの景色。フランス料理や極上ワインを楽しみ、水の中を泳ぎ、ヒマラヤの峰々の上を飛ぶ。夢のような旅(夢なんだけど)。夢が素晴らしすぎて、現実の世界が薄れる。夢に囚われていく。
「屋根瓦の上は、なんと静かな、清浄な空間でありますか。この何にもない所に二人で一緒に棲み着かんですか」屋根屋の言葉は哀しい。
屋根の美に魅せられ、妻亡き後は夢行きを楽しみながら独り静かに暮らしていた男の寂しさを感じる。
屋根上で仕事をしている男に対し、地に足つく生活感溢れる主婦の私はあくまで現実的。
読んでいる「私」が主人公の「私」になっていくような、夢の中に入り込んで迷子になりそうな不安を感じながらも、現実から逃避したい気持にもなる。
現実と夢の境界が曖昧になり、どちらが夢か、どこから夢か分からなくなる。やはり怖い気がする。
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屋根屋さんが魅力的だからこその底知れなさ、闇深さが残って、こわいなー。
後半、引き込まれて一気に読みました。
村田さんの本、また読みたい