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つらい。この救いのなさ、後味の悪さ。
船場の嬢はん出身の主人公大庭式子は、洋裁学校を立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びていく。式子を中心に、打算と野心にまみれた敏腕マネージャー銀四郎、優秀で抜け目ない3人の助手、そして式子の精神的支えになっていく白石教授によって複雑に人間関係が絡まっていく。
式子が銀四郎のお膳立ての上、意のままに操られていけばいくほどに式子の不安定さが増し、読者は目を離せなくなる。自分=商品である芸能の世界の人たちなどにとって、自分のコントロールできない渦ができていく様子は他人事とは思えないのでは。
倫子、かつ美の富と名声を求める野心、虚栄心も浅ましく、唯一銀四郎と対等に取引し、ランベールの型紙を盗み銀四郎を出し抜こうとする富枝のしたたかさが小気味いい。
白石教授が銀四郎に対して怒りを込めて放った言葉とその答えが印象的。
「君は、一流の大学で教育を受け、仏文を勉強した人間なのか。」
「知能テストがよかったから一流の国立大学へ入れただけのことで、教育と人格が遮断されているのが日本の教育やおまへんか。」
この会話に二人の対照的な考え方が凝縮されており、銀四郎のほうが現実をよく分かっていると思わざるを得ない。同時にこれは「白い巨塔」での財前教授と里見助教授を彷彿とさせ、豊子自身、白石教授のような理想論者よりも銀四郎というキャラクターを愛しているのだろうと感じた。
著者の作品の中で主人公が最後に死を選んでしまう結末といえば、「華麗なる一族」があるが、この作品との違いは
・主人公が理性的か、感情的か
・志を持っているか否か
・死後遺された人々に悔恨など残せたか否か
どうしても万俵鉄平の死ほど無念に思えなかった。
哀れだとは思うけど、銀四郎の仕掛けた経理のレトリックなんて自身で管理・把握していれば見破れたはずで、打つ手はいくらでもあったであろう。本来の志を忘れ名声欲と金銭欲にまみれたのは自分自身であり、挙句愛に生きる!なんて頭の中お花畑かよ、と思ってしまう。ただただ式子は経営者に向いていなかった。それだけ。
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残念な結末ですね、後味が悪いです。主人公、式子を取り巻く銀四郎と白石先生の組み合わせで不幸が完成しています。
特に白石先生の学問優先、恋愛に対して潔癖過ぎ、それ故他を突き放す姿勢が際立ちます。その姿勢で一度目の過ち、元妻の自殺から学習せず二人目の犠牲者を出すことに。
二人の男とも、自らの欲を最優先させることで周りの人たちが不幸になる構図です。
倫子も同様に自分の欲を優先してしまうが、まだ躊躇いがあり、終始一貫している男二人とは違いますね。
女の勲章という表題とは裏腹に男の我儘に翻弄される女達という印象の物語です。結末を知りたいという思いだけで最後まで読みました。
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白石先生始めから気に入らんかったよ…。イヤな男ばかり出てくるね。式子ほどの女性がこんなふがいない結末つまらない。銀四郎のパリへの渡航費が45万?時代を感じる。
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2016/7/20読了
銀四郎の冷酷さは変わらないが、白石先生が式子を突き放した
これは、ありえないんじやないかな
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銀四郎さんよりも白石先生のほうが人的にどうなのという感じがした。
結局運だったり、色々なものも重なって式子さんはうまくいったと思うけど、式子さんの魅力もあるだろうからそれが誰かに代わってもそのままうまくいくとは思えないな
まぁ、式子さんも式子さんで覚悟なく流されるままきてしまってどうなのかなぁとは思うけれど。。。
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上巻の後半から面白くなってきて、私にしては一気に読んだ。
ラストは仕返しして終わるかと思いきやで全体通しても面白かった。
登場人物が誰も好きになれなかった。
特に式子が白石教授のどこに惹かれたのか謎でした。
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つらい。新聞で告発されるとか、せめてなにか一矢報いるような希望を描けないものかと思ってしまうが、ここまで至ってしまってら打つ手なしが現実的なのか。それにしても後味悪し。
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「白石教授に式子を奪われまいとする自分の嫉妬と未練でもあったのだ。」
この1文が泣ける。
式子も銀四郎も、どっちも。
異性に対する関係を、きちんと愛情として考えたことがなかった。それが不幸だった。
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少し中途半端な終わり方で消化不良気味。
男に翻弄され続けてきた式子がかわいそうだ。
銀四郎、白石教授の二人のキャラクターが憎らしくて仕方なかった。
こう思ってしまうことが、山崎豊子の術中にハマっているのかもしれない。
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ファッションデザイナー界での栄光を掴むため邁進する主人公。その背後には主人公を操る男の存在。女の世界の嫉妬や騙し合い、人間の欲望、愛憎、あらゆる感情が剥き出しで、ファッションビジネス面でも面白く、読み応えたっぷりな作品でした。
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印象的だったのはパリ、ポルトガルでの描写で、自分の頭で情景を思い浮かべて読んだ。
上巻を読み終わった時点でこのままハッピーエンドで終わるはずもなく、絶対にどんでん返しが来ると思っていたが、やはり!
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昭和36年の作品と思えないくらい生々しく男女のドロドロした感情や煩悶がリアルに描かれている。山崎豊子作品は仕事のできる真人間の男性が主人公の作品ばかり読んできたが、この女の勲章は女性が主人公で男女のドロドロした騙し合い裏切り合いが描かれ全く違う凄みがあった。
個人的に意外な結末も含めて読み応えのある作品でした。