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テキヤ。
古くは江戸期より、香具師、テキヤ、露天商(露店商)などと呼ばれる。
イメージしやすいのは、祭りの縁日で、焼きそばやお面を売ってる彼らだ。
商人七割、ヤクザ三割と呼ばれる、極道ではなく神農道の彼ら。
そんなテキヤを文化人類学、社会人文学、民俗学的見地から考察した一冊。
非常に興味深い一冊でした。
GHQが蔓延った時代、また、戦後闇市での独自のネットワークなど、感嘆もの。
近年では暴対法やら道交法やらと、法律や倫理が力を持っているが、そういった権力が肥大し過ぎると、地域に根ざす文化が衰退するのだな、と。
そして、それぞれの地域ではそれらを黙認し受け入れる許容がある、と。それが、庶民の楽しみであり、文化の醸造だと。
明日は、墨東地区に足を運ぼうかな。
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うん、思ってたのとちょっと違った。
テキヤという存在を知りたかったが、入口についてあまり言及はなかった。
いわゆるヤクザモノとの関わりをもっと知りたかったのだがな。
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露天商独特のナワバリや信仰のネットワークについて。祝祭空間でしか可視化されない彼らは民俗学のフィールドから社会学的に概括しようとした新書。戦後闇市の編制に伝統的な地域の露天商がネットワークを使いながら流通を担っていったというプロセスや親分が横のつながりを持つことで不測の事態にも対応できる組織的集団であるとか社会ネットワーク的に面白い。確かに「3割ヤクザ」なんだろうけど震災とかでも彼らの流通網が役立ってきた側面がある。
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祭と言えば屋台。屋台と言えばテキヤ、露天商。小さい頃から身近にあったがその実態についてはよく知らなかった存在に関する研究。口頭伝承され文献が少ないがゆえ関係者への取材も多く実施しての学術的研究論文を読みやすい書籍にしたような。
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こわいものしらずの素朴な女の子がテキヤのおっちゃんにまとわりついてお話をせがんでいる絵が浮かぶような、邪気のない好奇心を感じる面白い本だった。
神農さんて露店商の神様だったのか~とか、ナワバリが必ずしも自分の周囲とは限らず飛び地に通っていることもあるとか、独特な様式を備える口上とか、知らなかったことがいっぱい。
P74 香具仲間の愛嬌も薬のうち。今風に言うなら、カワイイものも人を元気にしてくれる
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タイトルの答えは「地元に住んでいて近所から来る」。
たいていの露天商は地域の同業者組合に所属しており、組合のなわばりなどの兼ね合いもあって遠征勢や一匹狼はかなり少ないらしい。
本書をとおして、テキヤの神農皇帝信仰や「一人前」「本家分家」「親分子分」の制度、一人前になる際の儀礼・ダイメ(代目披露)の存在など、外部の人間ではなかなか知ることのできない情報が得られた。
正直気になっていたテキヤとヤクザとの関係も述べられていた。中には暴力団系の人間もおり、あるテキヤさん曰く『ヤクザ3割・商人7割』とのこと。
ちなみに、暴力団系テキヤが警察を遠ざけるのに対して、真っ当な露天商は書類申請に関しては意外なほどマメ。
その土地で長く商いをするためにはお役所や警察と良好な関係が必要不可欠なことをよく理解している、という話には納得できた。
また、非合法の闇市をスムースに運営するためにむしろ警察の許可を取ろうと動いていた商人集団がいた、という話が興味深かった。
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冒頭いきなり「静岡あたりの見えない壁」。僕の住む静岡県は、電気の周波数がわかれているのと同じように、テキヤにとっての行動様式の境界にもなっているらしい。
僕の知るテキヤ像が東西どちらのものかわからないが、地元の祭りではいったいどこから現れたのかというようなヤクザまがいの人が大量にあらわれる。まさに「テキヤはどこからやってくるのか」であるが、地元にもいるし、他所からも来る、そしてそれらはテキヤ界ではしっかり区別されているし、また地元もひといろではない。
完全にフリーランスでどこにも属さないテキヤと言うのはほとんどいない一方で、テキヤの素性は7割商人、3割ヤクザだとか。そして親分が白いといえばカラスも白い世界。研究文献でもテキヤ界隈は社会病理(は言い過ぎで、社会問題、というようだが)とされていたりする。
きちんと口上が述べられて初めて一人前のテキヤだというが、今時のテキヤを見ると、ひたすらスマホをいじっている若いやつが目立つ。果たしてこの人達、口上述べられるのかなあ。とはいうものの、3割ヤクザ、というのは実にいい。3割はちょっと多い気もするが、1〜2割ぐらいは、そういうぐらいのほうが、何事もいい。けれど彼らは極道ではなく神農道である。人には、そういう○○道が何割かはあったほうが、やはりいい。
近現代、というけれど現代より近代のことが印象的で、もう少し現代のテキヤのことを知りたかった気もするが、実のところ、あんまり詳しくわからないほうが素敵な存在でもあろう。研究とエンターテイメントはわけねばならないが、当のテキヤ自身が研究所は読んでくれないのだとか。むう…。