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投稿者：ＤＳＫ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

読了後、真っ先に思い至ったのは、当時の田沼作品としても、そしてフランス書院文庫の作品としても異彩を放ち、２００２年のベストセラー作品に輝きながらも隠れた名作とされる『初夜－実母と高校生』である。この構成を再び用いたか！との感慨に身震いした。しかし、昨今の情勢を鑑みたのか、設定や人物相関などには大きな違いが見られる。骨組みこそ同じだが肉付けが違う作品と言わねばなるまい。

元より合体に至るまでの執拗かつ粘着質な前戯で紙面を満たす田沼作品ではあるが、最後の最後まで焦らしに焦らす手法では、その経過の描写がしっかりしていないと保てない。その点ではさすがの筆致で読み手をぐいぐい引き込む淫猥さに溢れている。ヒロインの人妻と女教師の両方を存分に活かしたシチュエーションやアプローチは相変わらず圧倒的。ギリギリまで焦らされることによる最後の破壊力も抜群で、遂に合体を迎えるクライマックスと、その後の、まるでお猿さんのような爛れた蜜月などは、簡易に書かれた数行であっても実にいやらしい。

ただ、比べても詮無きことではあるが、『初夜』のような実母相姦でもないことから、猛烈な背徳感やハラハラドキドキ感はあまりなく、ヒロインの「お相手」も主人公の生徒ただ１人とすっきりしている。さらには、第三者の暗躍によって得られた、あの独特で強烈過ぎる寝取られ感も、バイオレンスな雰囲気も、当然ながら無い。こうした塩気の足りなさみたいなところは、本作までの９年間で生じた嗜好の変化を感じざるを得ないところだが、例えば合体をもう少し早く登場させて、「その後」をさらに上手く盛り込めばまた変わった印象になったかもしれない。