紙の本
あなたには読めるだろうか?この複線が
2006/03/12 00:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yostos - この投稿者のレビュー一覧を見る
オープニングはベトナムで子供を身ごもった妊婦から始まる。
そして、アメリカで冷蔵庫に隠された夫婦の死体に端を発する殺人事件を追うスネル、同じくアメリカで遺伝子研究を行う研究者グエンと石橋、日本で重度障害児施設に赴任する女医・志度。一見関連のない3つストーリーが同時に進行して、最後にそれらが紡がれていくハリウッド映画のような手法で描かれたミステリー。
この作品はミステリーだけでなくSFとしても「ヒトの進化」を扱っており、通常は障害される染色体異常と進化を関連付けてとらえている点はなるほどと感心する。科学的にどれだけ正しい内容かはわからないが、作者が医師だけに遺伝子工学や染色体の話など専門用語を交えた内容はなんとなく説得力がある。重度障害児施設の描写など厳しい描写もあるが、そういうことを含めて現実としての説得力につながっているのだろう。
文庫の帯に「複線のはり方があまりに見事」と書かれていた。3つのストーリーが次々と状況を変えていき、お互いにつながる断片を見せる。最初は関連性が見えず読みにくいと感じる人も多いだろう。中盤からさらに謎を深めながら、後半に向けて紡がれていく様は確かに見事。伏線も多くは、勘の良い読者であれば割と早い段階でなんとなく読めてしまうだろう。わたしも早い段階で気付いてしまったが、それでもその展開が早くみたくて一気に読み進んでしまった。
ただし、最後に起こるどんでん返しの伏線は読めなかった。
この登場人物に与えられた環境が何らかの伏線であるような気はしたが、最後までどう使われるのだろうと思っていた。この人が行為を拒むのもまったく逆の理由を想像させられてしまったので読み誤ったのかもしれない。
読了は爽快なものではないけれど、展開も早く読みごたえるのある作品であることには間違いない。
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たまにこういう『科学!』っていう小説が読みたくなる。
専門用語もいっぱい出てくるし、テーマも重いけどかなり面白かった!!
一見関係ない様々な時間がひとつに終結していくのってやっぱりおもしろいし、最後もゾッとするような終わりかたで、ほんとにお勧め
たまにはこうやって賢そうな本も読もうと思った(笑
瀬名さんとか北川さんとか結構読むのは読むけど…
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遺伝病と精神病に主題に置かれたミステリー。
とにかく世界観が広い。ベトナムと、アメリカと、日本と、この地理的にかけ離れた3つの地域で起こった事柄が、最終的に一つの大きな問題に収束していく。とてもわくわくする。
ただ、生物学的な内容説明の部分が専門的過ぎて私にはよくわかりませんでした。そこでちょっと躓いてしまった。
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何となく買ってみたら、思いのほか面白くあっと言う間に読んでしまった。
途中、登場人物と時間の推移がわからなくなり混乱しかかったが、ストーリーの展開の上手さがそれを凌駕していた。
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内容は、人類の進化までいっちゃう、医学的なマニアックな内容に触れるため、興味深く読めます。 また、地理的にも世界中をまたにかけて話が進んでいく。。。 はまって、一気に読んでしまいました。 ただ、ストーリー&結末が非現実的な印象を受けます。 医学的なことがわからないから、そう思うだけなのかなぁ・・?
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ダ・ヴィンチコードの文庫を買いに行き、帯のコメントがべた褒めだったので、買ってみた。
面白かったが、僕には合わなかったのか、そこまで褒めなくても・・・という感じだった。
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医療系の本は結構興味があって読みますが、現実問題として、不妊治療や生殖産業は実際にこんな状態に来ているのでしょうか?
不妊の問題は、望んでいる人たちにとってはどんなことをしてもって思いでしょうし、それを逆手に取って商売にしようとする人や、自分の研究対象にしようとするやからが出てくるのは世の常なのでしょうか・・・
勿論、お話だと言うのはわかっていますのでご心配なく^_^;
物語は、ベトナム・アメリカ・日本を舞台に進行します。
作者が実際に国立の医学部を出た精神科医だったりするので、専門用語がてんこ盛りです。
登場人物も三カ国の人たちが章を変えて出てくるので、注意深く読まないと『あれ?』ってことになり、非常に疲れましたが、それだけに読み応えがありました。
こういう書き方は、東野氏の白夜行 でもされている書き方ですね。
章が進むごとに、謎が解けて物語が一つに束ねられます。
上手いなぁ・・と感じます。
が、しかし・・・
テーマがテーマだけに、ご自身やお身内に妊婦さんがいらっしゃる方は、どんなホラーよりも恐怖を感じるような部分があるので、やめておいた方が賢明かと思います。
DZとは二卵性双生児のことだそうです。
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話はおもしろかったです。グエンの魅力がいまいち伝わってこないので、女性陣バカすぎ、と思いました。作者の女性観念って・・( -`ω´-)
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人類の究極を求めることは
もっとも危険なことかもしれない。
この作品を読んでそう思った。
人は、不完全で謎があるからこそ、人間であることができるのかもしれない。
たとえば、不老不死が実現したとすればどうなるだろう?
考えただけでも無限の恐怖を感じる。
医療が発達したことにより、人間はより長く生きることが
できるようになったのだけど、もしも神が居るのであれば
その領域を侵すともしかしたらこの物語に出てくる医師のような
悪魔のような所業が可能になり、やがて身を滅ぼすのであろう。
※だが、女性としては、恋人を殺した男の子供を孕んで
産む決意をするという心理は理解できない。
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医学の専門用語が、とりわけ遺伝子系のものがたくさん出てきます。けれどだいたいは分かりやすい文章で説明されているので理解はできるでしょう。中盤までの展開は、断片的なストーリーで綴られてます。たくさんの伏線があって、それを自分なりに組み立てていくと「あ、やっぱり!」という達成感や満足感を味わえると思います。シメにはちょっとしたオチがあって、色々想像が膨らみます。主要登場人物がある決断をするのだけど、一人の女として、その決断があまりにも現実味が薄いものなので、少し白けました。そこが勿体なかった感があります。
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最初は話が飛びすぎてわからなったけど繋がった時にはびっくりした、新種の人類の悲しい話、最後の展開には驚き。
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一つの物語なので最終的には一つの結末を迎えるのは想像つくが、序盤に起こる様々な出来事からどのような結末に導いてゆくのか、全く先が読めない。人間が遂げてゆく進化の方向性の設定がまず面白くできていて、新しい人種が人間を淘汰しようとする過程(心の動き?)に、現実感があって非常に興味深い。終盤、双子という意味のタイトル「Dz(ディージー)」が巧みに生かされてきて、切ないが、良い味に仕上がっている。
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第20回横溝正史賞正賞受賞作。
あらすじをどう書いていいかわからないくらい、物語のはじまりがあちこちに散っていて話が見えないため、前半は正直読むのが辛かった。途中からだんだん話がつながってきたが、染色体の難しい話や、最後の大量殺戮、偶然の重なりすぎで気持ちが萎える。こういう話は好きな方だと思っていたんだけどなぁ。
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読み終わった
友達に薦められて読んだ一冊。
2013/12/16
今読んでる
10年ぶりに読みます。前に読んだのは高3の夏だったと思う。もう一回読む本を本棚から探すのは楽しいね。
2013/12/29
読み終わった
10年ぶりに読みました。こんな本だったかー。内容も、人も、背景も。
遺伝子医療に関する本なので、作品が発表された頃にはセンセーショナルな研究!みたいな事でも今は割と普通、だったりするような気がして、それも時の流れ。
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何と言っても伏線の張り方が素敵でした。
医療…特に遺伝子工学には無知な私でも楽しめるものだったので、こうしてレビューをかけて幸せです。
最後は感動…なのかしら?