紙の本
ファンドの本質へ斬り込む
2002/04/26 14:43
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投稿者:自然魔術 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の買収ファンドを徹底取材した果実。ファンドの真意はどこにあるのか、企業買収ビジネスの本質を追求するその熱意が伝わってくる書物だ。企業買収は現代のキーワードだが、実は我々はその実態をあまり知らない。金融ビジネスの一分野として、どういう視点で買収ファンドの役割を捉えれば良いのか、とても有難いヒントを貰った気がした。
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新聞、TVなどを賑わし、すっかりメジャーキーワードになった「ファンド」。よく聞くけど実態はどんなことする人たち?と言う人には、そのOutlineを知る上で手に取られるのは良いかもしれない。(今となっては、ちょっと事例が古いが・・・)
一方で、少しでも買収ファンドビジネスの実際を知っている人にはかなり物足りないかもしれない。
新聞記者が取材を通じて書かれた内容であるため止む終えない部分もあるが、本書が大衆向けであろうからこそ、このビジネスの難しさ、素晴らしさを伝える工夫がもっとあると良かった。
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買収ファンドに肯定的な著者が書いた概説本。
色々な買収ファンドや買収ファンドが収益を上げる方法(LBOなど)などが紹介されてます。
紹介ファンド・・・ユニゾン、シュローダー、リップルウッド、みずほ、ジャフコ、カーライル、KKRなど
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村上世彰やらの影響で、日本ではいいイメージで語られることの少ない「買収ファンド」。フツーに生きてるだけではなんだか得体の知れないものですが、そこに焦点を当て実例をメインに分析を施していく本。
「お金を稼いで何がいけないのですか?」
そうなんです。お金を稼ぐ、すなわち投資回収利回りをよくして売却なり上場させるところに、買収ファンドの経済主体としての最終的な目的はあるわけです。動機は紛れもなく利潤の追求です。資本主義ですから。
でもその利潤追求の過程で、買収ファンドは被買収企業、あるいは経営者と一丸となって企業価値の向上に英知を結集させて全力で貢献するべきなのです。
それを怠り、被買収企業の残存価値の切り売りだけを乱暴に行い、新たな価値を創造せずキャッシュだけを持ち逃げすることに終始するのがハゲタカファンド。
読み始める時点では傍題の「ハゲタカ」が何のメタファーなのかもまったくわからんかったけど、買収ファンドのせんとしてること、するべきことが意外とよくわかりました!
動機の不純如何に関わらず、その作業自体が社会に貢献する付加価値を創造するものであれば、否定的に評価されるべきではないと僕は思います。最後に著書迎合的なことを言わせてもらうと、買収ファンドの営為には、仕事に社会に本当に熱い男の真のロマンが詰まってるような気がした。
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個々の買収ファンド間にある相違点を見つけることで「買収ファンドは何をするのか」という一般論を述べている。
ドキュメンタリー番組を見ている感じで、金融初心者にも解りやすい。
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[ 内容 ]
日産自動車、ダイエー…大企業のリストラ策で切り売りされる子会社が、次々と「買収ファンド」の手に渡っている。
彼らは、一部で言われるように本当に「ハゲタカ」なのか?
日本に無理矢理グローバルスタンダードを押しつける「不逞の輩」なのか?
現場を丹念に取材した結果、見えてきたものは?
あるファンドの代表が言った言葉―「日本の企業は、かなりの比率で、真の経営者が経営していない」問題はここにこそある。
[ 目次 ]
第1章 買収ファンドがやってきた
第2章 企業再生
第3章 日本の買収ファンド
第4章 企業価値を上げるマジック
第5章 ロマンを抱く練金術師たち
第6章 日本経済の救世主になれるか?
第7章 シーガイアの実験
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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筆者なりに「(まっとうな)買収ファンド」と「ハゲタカファンド」の違いを考察した本。大まかな違いは下記の通り。
・買収ファンド…適正な価格で企業を買収し、経営改善して企業価値を高めたあと、その時の適正な価格で売却し、利益を得る。
・ハゲタカファンド…適正価格以下で企業を買い叩き、事業や資産を切り売りすること(≒会社の清算)で、利益を得る。
具体的ファンド名や案件を例に出し説明されており、非常に分かりやすい。買収ファンドとは何なのか、ぼやっとは分かるけどちゃんとした定義は分からない、という人におすすめ。
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もう17年前も前に出版されたバイアウトファンドの本。金融持株会社が解禁になったのが、1997年のことだから、ちょうど5年経った経過報告のようなもの。
結論として、ハゲタカではなく経営革命だったといえるし、ファイナンスだけの錬金術というわけではない。 そのあたりのファンドとしての進化を語るための本という目的で書かれた。
最初はそもそもファンドとは何か、から始まっている。MBOとは何か、バイアウトとは何か、等々。
例としては、特にカーライルの規模や顧問の豪華な顔ぶれで読者の目をひく。また、日本でのカーライルの展開の仕方を例に、ターゲット企業が大手企業のカーブアウトであることが示される。
ついでふれているのがリップルウッドだ。もう記憶もうすれかかっていたが、旧長銀を買収して、新生銀行に変えたのは、リップルウッドだった。その後の顛末はどうか。
シュローダー(松木氏)が、手がけたベンカンの事例。
企業価値を向上させるあたりは、APのアイクレオの事例が出てくる。ユニゾンらと比較し、コンサルティング系と評されているのが面白い。アービトラージの5つの軸は、改めて見ると納得感がある。
フィナンシャル
マネジメント
バリュエーション=マルチプル
コミュニケーション
タイミング
全体として、ファンドに対して好意的な論調といえるが、やはり、ファンドの可能性というの見極めるほど、社会経済環境全体の中での位置づけが見えているわけでもない。こうした認識をいかにアップデートするかが、これからのポイント。