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漫画読みとして、絵柄やストーリー、キャラの個性、それらをひっくるめた全体的なバランスなどの、自分の評価を補足し、「好き」を肯定する理由も何もなく、“本能”で好きになれる漫画家に出会える事ほど、幸福を感じる事はない(もちろん、何時間でも赤の他人と語れる「好きな理由」がある漫画に出会うのも、幸せだ)
何もかも荒削り、けれど、それだけ爆発的に成長する可能性を大いに秘めており、このまま、編集さんに恵まれてくれれば、確実に化けるのは間違いないだろう
ともかく、衝撃としか言えず、この驚きと感動は、『鬼月』を実際に読んでみないと判らないだろう
久しぶりに、足に来るアッパーカットを貰った
どれもこれも、毛穴がぶち開くような質なので、甲乙は決め難いから、各話の短く纏めた感想を挙げよう
『鬼月』・・・出会いと別れ、それだけが少女を変えた。この世に、「特別」である事ほど、辛い事は無い。ハッピーエンドを願いたくなるラスト
『醜悪の王』・・・男の善し悪しは顔じゃありません。一人じゃ何もできない、と思っているのは大抵、そいつだけで、同時に、そんな人間ほど他人に力を借りるのを嫌がる
『魔王転生』・・・正義も悪も、結局はエゴであり、どちらが正義で、どちらが悪か、を決めるのは常に、当人たちでなく、利害を計算する周りの人間だ
『魔神封印』・・・この話が、桐幡先生の作品の初読みだからか、最も好き。あなたには、世界を敵に回してでも、守りたいたった一人がいますか?
『命魂』・・・弱っちい人間が、死んだ人間にもう一度、出会いたい、そう願うのは悪じゃなし、人としてのラインを超える行動を起こす事もまた、悪ではない、正しくないだけだ
こう書いてみると、桐幡先生が読み手に何を訴えたいのか、おぼろげながらも伝わってくるような
何にせよ、少女漫画の括りに入れるのを躊躇われるほど、打撃力のある漫画であるのは間違いない。この作品と、桐幡歩って漫画家は確実に今年、来ますね
とは言え、一度、連作を読まない事には、短編向きなのか、長編向きなのか、判断が付かないので、次回作は全3話くらいのダークファンタジーに挑戦して欲しいですね、是非