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プロ野球のホームラン打者について、多角的に分析した本。ホームラン打者の歴史、カウント別、試合への貢献度、打球の方向、三振との関係など、いろいろな角度からホームラン打者を精緻なデータを基に評価しており、面白い。
「(三振÷本塁打)レシオについて、ホームラン打者66選手100シーズンの平均を調べてみると、ちょうど2.00を示していました。すなわち、タイトルを争うような本塁打打者は、1本塁打するのに2三振はぐらいはするものだと考えていいでしょう」p60
「(バラエティ番組)球場のマウンドから投手が硬球を投げるのは10球まで。打者が打席でバットを振るのは1回だけ。空振り、ファウルもだめという条件でホームランを打てるかどうか。この打者に掛布雅之が挑戦したことがあります。5球目(だったと思う)をひと振りすると、ライトスタンドへ放り込んでしまった。引退してから5年以上たっていたはずで、もう練習とは無縁の生活で素振りを何回かしただけ。たった1度のスイングなのに、それでホームランを打つのですから驚いたことがあります」p241
「(川上哲治)監督としてV9巨人を率いていたとき、長嶋茂雄に試合前、「オヤジさん、もう打てないでしょう」とベンチで冷やかされると「いっちょう見てみい」。気負ったふうもなく川上が打席に入り、好奇の目で記者が見守る中、選手のバットを借りて打撃投手の投げる初球でした。振り抜くと、ライナー一直線。ものの見事にライトスタンドへ放り込んでみせたことがありました」p241
「(土橋正幸)イチローのようなレーザービームや松坂大輔の速球といった肩の強さは教えられないだろ? 同じようにホームランを打て、と言っても打てる者はいないんだよ。遠くへ飛ばす能力は、天から授かるもの。練習して身につくものじゃないんだ」p243