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紙の本
それでも理解されない人々の悲喜劇
2002/04/20 01:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:植尾亜衣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
七編の作品の舞台となるのは、いずれもどこにでもある、のどかな田舎町だ。主人公たちの共通点は、肥大した自我を持て余していること。彼らは、行き場を無くした憤りを、殺人という手段で一気に昇華させようと画策する。
軽快な関西弁の会話が笑いを誘い、やがて悲劇が訪れる。誰もが抱える小さな不満が、せき止められない大きなうねりの中に飲み込まれる時、主人公たちは後戻りの出来ない場所で立ちつくすしかない。足掻けば足掻くほど、泥沼に沈んで行く彼らの姿は、むしろ哀しい。
読者は倉阪鬼一郎の手の中で、何度も現実を切り取られ、深い喪失感を味あわされることだろう。自分には特別な才能があるのだ、と頑なに思い込み、ネットでのコミュニケーションに明け暮れる「切断」の主人公の姿にどきりとした人は、くれぐれも足下を見失わないように気を付けた方がいいだろう。
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