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奇術ショウの最後を飾るはずのひとりの若き女奇術師、水田志摩子が姿を消した。遺体で発見された彼女の周りに散らばる、不可解なアイテムたち。それは奇術クラブに属する鹿川の著した奇術解説小説「11枚のとらんぷ」のトリックに対応したアイテムだった―ークラブのメンバー全員にアリバイあり、一体犯人は誰なのか。犯人の意外な性質とは、犯人の動機とは―ー 自らも高名な奇術師であった泡坂妻夫氏の奇術ミステリの傑作!
そういえばミステリらしいミステリってすごく久しぶりに読んだ気がする。TRICKが終わってしまってさみしいので何か奇術に関するものが読みたいな~と思いながら今年の角川の百冊を見ていたらちょうどいい具合にこれがラインナップされていたので買いました。
三部構成で二部が「11枚のとらんぷ」そのものが収録されてて、入れ子式な書き方で面白い。「11枚のとらんぷ」自体小説風奇術の解説書だから一編一編がショートショートみたいでとても面白く、これで独立してもおっけーなくらい。でもここに犯人の大きな特徴が隠されているとは、うおー!と思いました。なるほど。ちょっと「死神と少女」の第四章を思い出した。人間の五感に何らかの欠陥があるってことは、なかなか描写しにくいしわかりにくいし、だからこそ大きな証拠として持ってこられるとウォオーってなります。途中から犯人わかってたけど、そういうことか!ってね。奇術の描写も自身が手品師であった泡坂氏なだけにわかりやすくて良かった。でも実際に見てみたいなー映像化とかしてないのかなこれ。
奇術の設計書を巡るあれこれや無名の奇術師・蓬丘斎乾城についてのストーリーとかもとても面白く、あ~奇術師ネタに私も何か話書きたい……と思ってしまいました。
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35年以上も前に書かれたので仕方ないが、ちょっと読みづらく感じた。
手品に通じてないと、用語で「?」となるところもあり。
けども、独特の3部構成で、うまく絡んでます。
kindleの調子が悪く、文章が飛んでひどかった。ウチのだけだとよいんですけど。
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奇術師としても活躍された作者の知識と経験を存分にいかした、奇術づくしのミステリ。
真相の衝撃度は弱いかなと思うけど、緻密な伏線や構成の妙には感心することしきりです。
奇術の種明かしをテーマにした作中作にもミステリ的な趣きがあり、奇術とミステリの親和性の高さを改めて実感しました。
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この作家さんの小説は初めて読みました。
一部、小説の中で登場人物の書いた小説が展開される面白い構成のお話でした。
また、登場人物の書いた小説の中に事件のヒントが隠されており、犯人を推理する楽しみもあります。
こういった仕掛けを持たすために、すごくよく構成と伏線が考えられています。
話は変わりますが、伏線というのは伏線とわかっていた方が面白いものもあれば、それと感じさせず、回収の際にあっ!と思わせるものがあり、どちらも面白味があります。
しかし伏線を張り方以上に重要なのが回収の仕方だと思います。
中にはいかにも「さっき出てきたあれ!あの伏線の回収ですよ!」とアピールをしてくるものがあり、自己満足ぽいというかナルシストぽいというか(笑)、不自然さを感じるときがあります。
この小説の伏線回収はいたって自然でいやらしさがないところが良いです。
手品のネタばらしもされているので、そこも興味深かったです。
他の小説も読んでみたくなりました。
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奇術…いわゆるマジックショーの最中にメンバーが殺害されるが、メンバー全員にアリバイがあるというミステリー。
第三部作から成り、第一部は上記のショー中の殺人事件。
第二部は、体験談としてメンバーが登場する奇術短編集。
第三部は、第一部の殺人事件のタネ明かしといった構成。
殺人事件の設定としても面白く読みやすかったです。推理の要素となる第二部は、短編集になっていて、それだけでも楽しめるトリックのタネ明かしが沢山。退屈せずに読めました。
第三部まで読み進めていくと実は、このあたりに殺人のヒントが隠されており、見事!という感じ。
最後の第三部ですが、トリックも犯人にも感心。途中、推理ショーまでたどり着くまでには中だるみしている印象もありましたが…
全体的にトリックも展開も構成も面白く、40年前の作品とは思えませんでした。登場人物が多いので、もう少しキャラが立ってくれたら良かったかなぁとも思います。
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数多くの奇術が出てきて、文字でしか感じられないのが歯痒くなる。所々テンポが悪く感じられるところがあるけれど、奇術はもちろん事件の謎も考えながら読み進めることができた。
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一度だけ本物のマジシャンによる奇術を目の前で見たことがある。引いたカードを当てるという単純なものだったが、その時の高揚感と驚きを思い出した一冊だった。作中作が伏線となって、犯人に帰結させたところがとても良かった!
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だっていいじゃない、奇術だもの。
トリックを書きたいから、小説を書く。おかしくも悲しい、推理小説の弱点ではないかと思う。動機よりも犯人よりも、もしかしたらもっと書きたくなるのがトリックではないだろうか。まず事件が起こるI部。事件の元になった本が実際に書かれるII部。謎が解かれるIII部。II部の小説は、実用的ではないけど、封印するには惜しいトリックを小説にしたものと、登場人物は語る。称賛を浴びたい、自分の才能を証明したい、一番になりたい、そんな人の欲がつまった話。
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クロアチアのお供①。何で知ったんだか忘れたけど、確か伏線回収がすごい!ってゆうネット評判でKindle購入。
昭和50年代くらいの本なのね。
伏線は、まあ回収されてたけど、それだけ。作者も奇術師らしい。それだけ。
小説としてのレベルはかなり低いです。読めなくはないけど。
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泡坂妻夫といえば、ひとひねり加えた趣向のミステリの印象が強い。まあしあわせの書だけしか読んだことなくてそのメイントリック(というか仕掛け)の印象が抜けないだけなんだけど。
本作も、作中作の方式を使ってるあたり何かミステリというより奇術要素の仕掛け盛り込んでるんじゃないかとソワソワしたけども、フタを開ければなんともフェアな作品。読者への挑戦が差し込まれていても誰も文句を言えないくらい犯人を示唆する情報が散りばめられていて、なんと真っ当な作品なのだろうと。奇術をメインにした作中作にさらっと盛り込んだ犯人への手がかりも、上手いなーと。
この人の作品、短編集みたいなやつも有名だったはずだから読んでみようかな。
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ある劇団の奇術ショウ。飛び出す鳩が死んでいたり、氷酢酸をぶちまけたりと予期せぬハプニングが続くその日、最後の仕掛けから出てくるはずだった女性が出てこない。そしてその女性は、マンションで撲殺させられているのが発見され、その周りには小説「11枚のとらんぷ」に対応する小道具が…。作中作「11枚のとらんぷ」単体としてもかなり楽しめます。奇術の物々しさは特になく、興味を持たせる内容。不器用な私にもやってみたいなぁと思わせます。どこまでも読者を楽しませようとする姿勢、まさしくエンターテイナー。まさしく泡坂さんです。
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奇術仕立ての中編ミステリー。
騙し具合がとてもお洒落で気持ちよくオチまでよめる
作中作のショートショートがとてもよく、このシリーズでもっと読みたいと思った。
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今月の1冊目。今年の3冊目。
久しぶりに古典的なものを読みました。しかし、改めて思ったことは、私には合わないなーということでした。トリック、伏線自体はきちんとしているけど、その回収の仕方が雑であると感じましたね。
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〇 概要
市立公民館でアマチュア奇術クラブ「マジキ・クラブ」が講演を行う。アマチュアらしく,成功する舞台もあれば,失敗する舞台も…。ハプニング続きで最後の出し物「袋の中の美女」を行うが,袋から出てくるはずの水田志摩子が姿を消してしまう。志摩子は「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を残していたが,ちょうど,「袋の中の美女」の公演をしていた時間に,自室で死亡していたことが分かる。死体の周りには数々の奇術の道具が。その道具は,マジキ・クラブに所属する鹿川が書いた自費出版小説「11枚のトランプ」に対応している道具だった。
作中作に「11枚のトランプ」という11作のショートショートがあり,後半は世界国際奇術家会議が舞台となる。そして,その会議での数々の出来事を経て,鹿川は志摩子殺人の真犯人がマジキ・クラブにいることに気付く。果たして犯人は誰か?いかにして完全なアリバイを手に入れたのか?
〇 総合評価
作品全体の雰囲気は秀逸。マジキ・クラブの個性的な面々が織りなす前半部分のマジック・ショーから始まって,11つのショート・ショート。後半は,世界国際奇術師会議で,これまた群集劇が繰り広げられる。ユーモア溢れるミステリとして,ただただ,楽しい。
11のショート・ショートのトリック,オチは以下のとおり
〇 新会員のために
志摩子が,トランプの表と裏を誤解していることを利用したトリック
〇 青いダイヤ
塩化コバルトを利用したトリック
〇 予言する電報
トランプの枚数=52枚の電報を送っておくという古典的なトリック
〇 九官鳥の透視術
九官鳥が,後から入れた封筒ではなく,もともとあった封筒を取り出すように訓練していたというトリック
〇 赤い電話機
腹話術を使っていたというトリック
〇 砂と磁石
U字型のものがただの鉄で,棒状のものが磁石だったというトリック
〇 バラのタンゴ
テープを再生するのではなく,マイクを利用したトリック
〇 見えないサイン
青いコンタクトレンズを利用したトリック
〇 パイン師の奇術
バーテンが奇術師のフリをしたがることを利用し,当たっていないカードを当たっていると言わせるというトリック
〇 レコードの中の予言
5つの線があるレコードを使ったトリック
〇 闇の中のカード
においのついたカードを利用したトリック。ここで,松尾が無嗅覚性であることが分かる。
メインの志摩子殺しの犯人を見分けるポイントは,志摩子が出したガスの匂いに気づかなかった=無嗅覚性というところから松尾が犯人だと気付くというもの。志摩子をサクラに使うマジックではなく,お客のハンドバックに反射したカードを見るというトリックを使ったというのもなかなか。とはいえ,メインのトリックが地味なのがこの作品の難点か。
トータルで見ると完成度は非常に高い。1979年の作品とはとても思えないクオリティで,時事問題も扱っていないから古典としていつまでも楽しめる。まさに傑作と言っていい作品。評価は���当然,★5で。
〇 サプライズ ★★★☆☆
真犯人は松尾章一郎。松尾は,マジキ・クラブの中心人物の一人として描かれており,作中作のショート・ショート「11枚のトランプ」で,主に探偵役として描かれているので,意外な犯人と言える。描かれ方は完全な消去法であり,サプライズの極致を狙った作品ではない。よって,サプライズはそこそこ。
〇 熱中度 ★★★★☆
なかなか殺人事件が起こらない。前半のマジキ・クラブにおける公民館でのマジック・ショーは,コミカルに描かれており楽しく読める。しかし,登場人物が多すぎて,把握するのにやや時間が掛かる。作中作のショート・ショートは,どれも傑作というほどではないが,なかなかのデキ。最後の世界国際奇術師会議の描写もコミカルで面白い。私自身は,泡坂妻夫の大ファンで,泡坂妻夫の作品の文体が非常に肌に合うので,楽しく読めるが,泡坂ファンでないとちょっとだれてしまうかも。★4で。
〇 キャラクター ★★★★☆
マジキ・クラブの面々は,泡坂妻夫の作品らしく,ユーモア溢れる人物ぞろい。ヒロインの牧桂子,被害者の水田志摩子,豪快なおばちゃんという雰囲気の飯塚晴江,犯人の松尾章一郎,探偵役の鹿川舜平,世界国際奇術師会議に出てくるランスロットといった面々は個性豊か。もっとも,飽くまで,ミステリの登場人物として描かれているので,それぞれの人物について,それほど深く描かれているわけではない。★4で。
〇 読後感 ★★☆☆☆
犯人の松尾章一郎は,作中作のショート・ショートで探偵役を務めていたこともあり,真犯人であるという終わり方はやや読後感が悪い。そもそも,被害者の志摩子が一癖も二癖もある人物。泡坂妻夫が描く女性はどの女性も一筋縄ではいかない。ランスロットと桂子の間のロマンスを中断させ,鹿川の松尾が話し込んでいる姿で終わる最後は,なんとも言えず,ややブラックなラスト
〇 インパクト ★★★★☆
作中作である11編のショート・ショートに真犯人の手掛かり(真犯人が,嗅覚障害者であること)を潜ませているという手法は見事で,インパクト抜群。この作品を一度でも読んだことがある人は,このプロットを忘れることはないだろう。真犯人が,ショート・ショートで探偵役を務めることが多かった松尾であるということもインパクトがある。ただし,メインの殺人のトリックが地味。アリバイトリックは,志摩子にサインを出させるのではなく,別のトリックでカードマジックをするというもので,それほどインパクトはない。トータルでは★4か。
〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
もはや古典。ずっと読み継がれていく作品だろう。希少価値はない。
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大きく三部に分かれていて、
第一部はマジックショーとその裏側を見れて、最後に殺人事件が発生したことがわかる。マジックの裏側が見れて面白い。
第二部は殺人事件にかかわりのある奇術短編集。最後にはトリックがわかる仕組みで面白い。実は殺人事件の真相の伏線にもなってる。
第三部は世界中の奇術家が集まるイベント。最後に殺人事件の真相が明かされる。
古い作品だけど、今読んでも色あせない名作。面白かった。