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抵抗のできない脅威、なるがまま受ける暴力、そして逃れられない連鎖。
暗闇の中にある一筋の光。それがどんなものであれ、ただそれだけを頼りで生きていくつらさ。
今まで目をそらしていたこと。「読め」と迫りくる恐ろしさ。
容赦のなさ、半端ない。
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まず驚いたのが、三浦しをんが「こんな暗くて救いのない話」を書くのかと言うこと。読後感・後味も悪い。勧善懲悪を好む自分としては、不完全燃焼な結末。
この作品で描かれるのは、人間の内に棲む暴力。もっと大きな暴力として、津波が詳細に描かれているが、東日本大震災の前に、この小説が書かれていたのは凄い。
まるで東北の震災を見てきたかのような描写は、引き込まれる。
結末は好みじゃないけど、一気読みさせる内容は☆4個。
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「まほろ駅前多田便利軒」シリーズとか「舟を編む」のイメージからするとこの物語はこわかったです。
こんな一面もあるんだな、三浦しをんさん、という感じでした。
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何だろう、この読後感の悪さは。
三浦しをんの作風の幅広さを再認識した。
一部の高村薫作品に通じる感じ。
タイトルは「光」だが人の心の闇を描いている。
闇と暴力だ。光などどこにもない。
小さな島を襲った津波から生き残り、島を出た3人の子どもと1人のろくでなし親父の人生。
せっかく生き延びたのにこんな人生しか送れなかった。
これは東日本大震災の前に書かれた作品だが津波被害の描写がリアルで恐ろしい。
輔の父親が生きているとわかったときから不穏な雲行きとなる。
ブラックユーモアのような展開からストーリーが動き出す。
哀れな4人。
いちばん哀れなのはやはり信之だ。
信之は夢見ていた。中学を卒業したら島を出て大人になって島に戻り、美花と結婚して島で生活することを。
あまりにも甘く、幼い夢。
美花は島を出て都会や芸能界での暮らしを夢見ていただろうに。
信之は美しい美花がいつまでも島にいてくれる、自分の傍にいてくれると思っていた。
美花と親しくできていたのは同年代の男が他にいなかっただけなのに。
あのとき山中を殺さなければ違った人生だったろう。
しかしどちらにしろ美花は島を出れば信之から離れる。
スコンと決定的に何かが欠落している信之の心。
美花が傍にいれば違ったか?
唯一、美浜島の人間ではない登場人物である南海子の闇も凄まじい。
普通の人間であるはずなのに。父親のトラウマか。
「夫を愛している」と何度も書かれているが、信之を結婚相手に選んだ時点でおかしいのか。
信之も南海子も幸せを求めていないが意外にこれからうまくやっていくかもしれない。椿を幸せに育て上げるかもしれない。
とりあえず椿だけはまともな人間になりますように。
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この本を買う前にいろいろレビューを読んだけど、確に三浦しをんの中では、一番暗い作品。
小さな島を津波が飲み込み、生き残った人達の間で起きた1つの事件。それが住む場所が替わって大人になっても、いつまでもつきまとう。誰かのレビューにもあったけど、読みながら白夜行が頭に浮かんだ。暗い話ではあるけど、登場人物の心理描写は他の作品と一緒で好きかな。
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おもしろいおもしろくない、ではなくて、好きか嫌いかで言って★1。でもダメな本、という意味ではないから★2。
津波もこわいけど、人間のイヤなところが前面に出ててよむのがキツかった。
なんか出てくる人みんな救いがない感じ?
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人間のどす黒い部分をとことん描いた内容で、こういう暗黒面をどれだけ抑え込められるのかを考えさせられた。
読み応えのある小説でした。
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祈るような気持ちで背表紙をめくった。
2013年 第1刷
神経を疑う。
三浦しをん好きになりかけてたのに。
残念。
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島で暮らす中学生の信之は、同級生の実花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と実花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は実花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、実花を再び守ろうとするが--。渾身の長編小説。
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彼らの性格や背景をふまえ行動に矛盾も違和感もなかったし、半端な小説ではないと思う。
だけど、もう一回読み返してからでないと評価しづらい。よい、と思うからこそ。
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東日本大震災以前に書かれたものでしたが、3年前の映像が喚起されるような内容でした。後書きにもあるように、物語の主軸が津波による被害の悲惨さそのものではなく、登場人物にあてられていて、災害という圧倒的な出来事がなくても、主人公は似たような思考を持って人生を歩むように感じました。
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三浦しをんさんとタイトルに惹かれて読んだけれども、どうしても読後感んがすっきりせず、どうとらえていいのやら・・・
これを書かれたのは2008年、東大震災の前にまさか津波の悲劇を描いていたことにまずは驚きました。
被災者の悲劇と言うより、ただただ弱い人間たちを描いたこの小説。単純思考の私には今一つ受け入れがたかったです。
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なんだか寂しさが残る本でした。人の命って、いくらなんだろうね。とか思った。出張中で、一人だからか、寂しさ倍増です。主人公の陶酔が悲劇の根元?って感じかな。
でも、震災前にこの描写はリアルで、予言に近いとか感じました。もう少し、明るい本を読みたいな。
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島で生き残った男の話。
暴力と嘘と性と闇。
暗く重いが人間らしいといえば人間らしい。
光はただ明るいだけではないのですね。
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三浦しをんの文庫の新刊ということで内容も知らずに購入。読みはじめるとガツーン!ズシーン!よろめきながらも、圧倒的な文章に惹き込まれるままに読了。す、すごい。20131030
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作者がこれを書いたのがあの震災の5年前だったって…
津波が島を襲うシーンはニュースで見たあの映像が読みながらチラついてよりリアルで怖かった
「暴力が帰る」、この表現は信之が妻と娘の元に戻ったことで妻の南波子が夫の信之が犯した殺人に怯えて生きる感情の様に思えた