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電子書籍
文芸的な、あまりに文芸的な、だからこそ一見滑稽な。
2020/02/04 17:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:123456 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もちろん、パルタイやその他の作品も凄いのだが、「蛇」には度肝を抜かれた。蛇に飲まれる、のではなく、蛇を飲み込んでしまうという、冗談みたいな話なのだが、これが見事に成立している。蛇を飲み込んでしまうという点にしっかり重きを置いて展開した上で、小説として成り立っているのである。とても新人の仕事とは思えない。
「蛇」が書かれたのは、情報をまとめて考えると、パルタイが発表されてから一年経つか経たないかの頃だったらしいのだが、筆の力はもちろん、言葉のみで虚構の世界を編み出していく力に関して、既に稀な才能を発揮している。
さらに言えば、「蛇」の世界は映像化することができない。あるいは、映像化したとしても滑稽なものしか出来上がらないのではないのではないかと思う。蛇を飲み込む、だとか、蛇を体の中で飼っている、だとか。これらを映像化して価値あるものにすることができる人がいれば、逆にぜひぜひ見てみたいくらいである。
もちろん、映像の分野を軽んじるつもりは全くない。そういうことではなく、「蛇」という小説が、言語でしか意識化することのできない観念的な世界を、まさに純粋に言語によって体現させた傑作として、言葉によって達せられたひとつの高みとして、評価されるべきだと考えているのである。
倉橋由美子の小説には、独特の読後感がある。それは、非現実の世界を体験したいという欲求の充足と、リアルな世界から遠ざかっていくことへの不安と、この二つがないまぜになったような読後感である。
終わりよければすべてよしという論理は、ここでは通用しない。小説を読むというのは、一度きりの経験ではない。何度でも味わえることこそが、小説の強みである。
紙の本
あの頃を思い出す
2010/01/23 00:55
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野棘かな - この投稿者のレビュー一覧を見る
そう、この感じだ。
あの頃を思い出した。
懐かしい音楽を耳にして、その時代を思い出すように、この本を読むと、あの頃を思い出す。
夢見がちで、可能性を秘めたあの頃。
ハートの片割れの半分、LとKのように、より良き半分を求めていた頃。
現実とかけ離れた、偽りの世界を目の前に突きつける倉橋由美子。
経験からの感覚もないとは言えないだろうが、ここではない、虚飾の世界で遊ぶ。
そして、その世界に私は引きづり込まれる。
ええ、ええ、わかりましたとも。
十分、あなたの世界に浸りました。
「蛇/愛の陰画」万歳です。
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