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藤沢周平全集(第21巻)の1話目。
同じ巻に収録された、「秘太刀馬の骨」が目的だったのだけど、結果1話目のこちらの方が面白かった。
藩の執政の第一線から隠居して退いた後の暮らしぶりが書かれています。
張り合いを失った日々かと思いきや、日々事件の解決や藩のごたごたを相談されて、充実した毎日。でも、主人公の清左衛門がイイ感じに枯れているのが良かった。
よくできた嫁や、昔からの友人の人柄も良くて、楽しく読めました。
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北大路欣也さん主演のドラマを観ていたので筋書きは知っていましたが、原作も本当に面白かった。
多分藤沢周平さんの著書は初めてだと思います。
母が好きで何冊か持っているので他の著書も読んでみたいです。
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隠居後の生活に彩りを持たせる物は、やはり自身の心持ち。体の衰えは隠せずとも、現役感にはこだわって行きたいもんだ。時にすがり、時に胸を張る。爺さんになってもそんな現役感のある奴らと酒呑んでいたいもんだ。
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内容(「BOOK」データベースより)
日残りて昏るるに未だ遠し―。家督をゆずり、離れに起臥する隠居の身となった三屋清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。しかし、藩の執政府は紛糾の渦中にあったのである。老いゆく日々の命のかがやきを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長篇小説。
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主人公である三屋清左衛門の幼馴染である町奉行熊太が赤蕪を食べるシーンも印象的だが、定年後の武士が己のペースで生きていく淡々としたシーンの連鎖が沁み込むように響く。
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久しぶりに藤沢周平読みました。
良いですねぇ。
日残りて昏るるに未だ遠し。
隠居した清左衛門は、老いと向き合う日々。
しかしいつの間にか、藩の紛糾の渦中に巻き込まれていきます。
連作短編集で、日常が描かれていきますが、背後には生きることへの深い洞察が見られます。
ーそうか、平八。
いよいよ歩く手修練をはじめたか、と清左衛門は思った。
衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終ればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。 ー 436ページ
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内容紹介
日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。しかし藩の執政府は紛糾の渦中にあった。老いゆく日々の命の輝きを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長篇小説。
仲代達矢、北大路欣也主演による映像化も話題に。 解説:丸本淑生
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藤沢周平さんの初読み。周囲にもファンが多く、いつか読もうと思っていてなかなか手に取れなかった。
以前、宮城谷昌光さんの対談か随筆の中で、藤沢周平さんの本書と「蝉しぐれ」を絶賛されていたので、「読みたいリスト」には登録しておいたが、やっと本書を読むことができた。
江戸時代を舞台とした「時代小説」、つまり史実に基づく小説ではなく、その時代要素を取り入れたフィクションだ。史実というシナリオがもともとあるのではなく、著者はイチからストーリーを構築しないといけないということだ。
そういう意味ではとてもよくできた小説だなと思った。同氏の小説では架空の「海坂藩」が舞台となるそうだが、本書の舞台がそうであるかどうかはわからない。
ともかく読み始めたら即江戸の町に放り込まれる。
主人公三屋清左衛門は、藩主に仕える用人であったが、藩主の死去を期に、隠居したいと新藩主に申し入れ、それが認められた直後の隠居生活での出来事を描いた小説である。
隠居、悠々自適、そういう言葉が出てくる。現代で言えば勤め人が一仕事終えて、「さぁて、やっと仕事も勤め上げて、これからは自分の好きなことをやって余生を楽しむぞ~」みたいなシチュエーションである。
清左衛門も、城下町を好きな時間にぶらぶらしながら、時には鳥を刺し、魚を釣りと、そして時々美味いものを食ってと、そんな生活を望んでいたようだ。
ところがそういう予想に反し、藩内の様々な事件に巻き込まれていく。もともと用人という職は、人望熱く、主君の仕事を卒なくこなせる人物が適役のポジションだ。そのポジションについておれば、自然に中央には精通してくるし、人脈も広くなる。
そんな人物は、隠居しても、逆にフリーの立場と言う中立性からいろいろと相談ごとを持ちかけられる羽目になるようである。
大きなところでは藩内の派閥抗争にからむ事件の調査から、庶民が巻き込まれた問題の解決まで、次々と清左衛門のところに課題が持ち掛けられるのである。誠実な清左衛門は、その解決に奔走するのである。
事件性のあるストーリーは読者を飽きさせない。短編連作の形式で展開されるので、一話一話を楽しみつつも、全体でまた楽しめる展開となっている。
それにしても、どちらの派閥につくかで将来が左右されることを悩んだり、派閥抗争の裏側でドス黒い謀略が渦巻いているなど、江戸時代も今も全く変わらないと思わせるようなストーリー展開に、時おり現実と対比しながら読んでいる自分がいたものである(笑)。
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R2.2.8~3.1
(あらすじ)
日残りて昏るるに未だ通し――。
家督をゆずり、離れに起臥する隠居の身となった三屋清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。しかし、藩の執政府は紛糾の渦中にあったのである。老いゆく日々の命のかがやきを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長編小説!
(感想)
ご隠居、三屋清左衛門の心持ちの変化が楽しい物語です。個人的には、第三話、「零落」のあたりから、面白くなってきました。社会との繋がりが薄れ、気落ちする自らに驚きつつも、隠居の立場で藩政の裏側に巻き込まれていく。
老いの心情、できる男の仕事の仕方、何かと学べる一冊でした。
ただ、これを読むと多少老いが怖くなりますね。
友達がいないと本当に孤独に苛まれそうです。
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三屋清左衛門残日録(文春文庫)
著作者:藤沢周平
発行者:文藝春秋
タイムライン
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これぞ理想の隠居生活でのんびり読みたい日記風小説。
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藩の勢力争いを背景に15の短編連作で主人公三谷清左衛門の目で見た人間模様が描かれている。
が、へそ曲がった見方をすると何とも羨ましい男の引退劇なのだ。
藩主からは格別の行為を受けて隠居場所を得る。
かつての剣の腕は隠居によってできた時間を使って道場通いを続けるうちに蘇る。
暇だらけだと思っていた隠居生活は、かつての藩の切れ者用人を頼ってくる現役の人々によって少なからず自尊心をくすぐられ、引いてもなお藩の役に立つ満足感を得る。
なおかつ女性にもモテるのだから。
歳老いた寂しさをそこに秘めているとは言え、かなり贅沢な境遇ですぞ。
しかしなんといっても藤沢さんの文章は良いなあ。
こういう文章が私に書けたなら、なんと幸福な事だろう。
流れる主題の合間に四季の匂い、自然の香り、人の心を差し挟む。
むしろ作品のテーマ以上にそちらを味わいたいという気になるほど。
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隠居とは悠々自適のイメージがあるが、それまでの暮らしと習慣のすべてを変えること、忙しいとこぼしているうちが花。全く同感です(^-^) 又四郎に家を譲って隠居した52歳の清左衛門の物語。「三屋清左衛門残日録」、1992.9発行、全437頁、連作15話。清左衛門は、朝の散歩、無外流の道場、保科塾の勉学の日々。ウォーキング、空手・筋トレ、読書の私によく似ていますw。でも清左衛門は52歳、私は72歳です(^-^)又四郎の妻、里江と小料理屋「涌井」のおかみ、みさがいい味を出しています。白い顔、川の音、梅咲くころ。
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著者 藤沢周平さんが、いかに素晴らしい作家であったかは十分に知っているつもりでありましたが。
この作品、つい最近の月刊誌「サライ」で知り、読んでみました。
前藩主時代に、家禄百二十石からはじまり、そのまじめで真摯な仕事ぶりと、口が固く決して裏切らない人となりが信頼され江戸屋敷用人となるまで出世した「三屋清左衛門」
藩主の交代も無事に終わり、仕事も後輩に引き継ぎ、嫡男に家を譲り自分は隠居と。
大きな信頼感は今の藩主も特別に持ってくれたようで、破格の待遇で無事に隠居生活に。
清左衛門はあれほどなりたかった隠居生活に実際になってみると虚しさと張り合いを無くしていた。
まずは体を動かそうと、昔通った道場に通い始め、勉学も再開する。
少し元気がないのを心配した息子の嫁、里江が声をかけ、目をかけてくれる。
そして残日録(日記)を書くことにした。
まだ前髪があった頃からの同輩との再会。
今でも交流があり現役の友人。
いつのまにか、身分に開きができて、会わなくなってしまった知人。
昔の苦い思い出。
現役を退いた身分だからこそと、依頼される仕事や用事で日々がすぎてゆくのだが、石のように現役当時から一切変わらない価値観、倫理観で清左衛門は数々の難問にも果敢に対処するという話。
最近読んだ時代小説の名作も、もしかしたらこれが根っこに存在したのではないか?と。
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仕事を辞めたときに読むといいですよって言われて、いただいた本。辞して隠居になって、少しの物寂しさを感じていたけれど、意外に忙しく人を助けてゆく話、でした。自身の老いとの向き合い方を教えられたような気がする。
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藩の要職を退き、隠居した主人公の周りに起こる出来事を描いた連作集。
隠居したことにより、枯れていく日々だった様子が、各話ごとに変化してくい様子がとてもよい。
明るく活き活きとした感じに引っ張られ、テンポよく読み進められる。