投稿元:
レビューを見る
僕も倒産を二回も経験している。三洋電機は吸収合併で会社が消えたが、ぼくの場合は突然の閉鎖だった。いつものように会社に出勤すると門が閉鎖されていた。待ち構えられていたバスに乗せられ、会館に集められた社員は会社が自己倒産したのを知らされた。この本を読んで思ったのは、巨大な会社でも会社が無くなる現実の怖さを知った。
自分の長年勤めた会社が無くなることは胸の中に空洞ができたような寂しさと悲しさがある。
投稿元:
レビューを見る
2011年に上場廃止となったSANYOブランドのメーカー三洋電機。その買収劇の裏側から買収後の元社員の去就などについて、多くの関係者への丁寧な取材に基づいてかれた一冊。
家電メーカーとして隆盛を誇っていた三洋電機がどのようにして製品開発や営業を行っていたのかや社内の人間模様、放漫経営から金融3社の出資や買収したパナソニックの思惑、最後までSANYOブランドを守ろうとした社員の意地など本書から日本の電機メーカーのビックブランドだった三洋電機の本当の姿が本書から見えてきました。
また、創業者から次が育たないことへの言及などの著者の思いやパナソニックの買収の裏にトヨタの影があったことや井植敏氏や野中ともよ氏などが他社との協業やアジア展開などで三洋電機再生のために尽力したことなど当時では知り得ない裏側なども知ることができました。
またパナソニック社が現在主軸にしている車載事業と住宅関連事業のふたつは三洋電機の買収がなければ成り立っていないことも本書を読んで知りました。
高度経済成長時の繁栄からダウンサイジングしていく家電業界の流れを感じることとともに日本の電機業界を牽引してきたSANYOの遺伝子が様々なところでまだ行き続けていることも本書を読んで感じました。
そして、本書に登場する誰もが三洋電機に在籍したことに誇りを持っていることも感じました。
紆余曲折があり、三洋電機というメーカーはなくなりましたが、電機業界で隆盛を誇ったことは決して忘れてはならないということを感じさせてくれた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
大量のリストラを断行した三洋電機社員たちの、退職後まで追った本。自分の会社に誇りをもって働いていた社員たちが、経営不振のために会社がファンドに買収され、仕事を奪われていく。「絶対にやめさせてはいけない」社員以外は、みなリストラの対象となる。培った技術で他社に引き抜かれる者、まったく別の業種に挑戦し活躍する者、と様々。会社にしがみついて生きても、会社のために一生懸命働いても、何も残らない。サラリーマンとしての生き方を考えさせられる本。
投稿元:
レビューを見る
日本の企業はレミングのようだ。
ブームに乗るとシェア争いをし、同じような巨大投資をし、潰れていく。
ただ忘れてはいけないのは、会社は潰れても人は残る。企業の精神は残る。そんなサンヨー精神をもった人たち、そしてシャープの精神を持った人たちが今後いろんな分野で協業し、活躍する、そんな未来をこの本は見せてくれているのではないだろうか。
ちなみにうちの洗濯機と炊飯器はSANYO製で、どちらも元気に働いてくれている。
投稿元:
レビューを見る
★その後の人生★三洋電機の破綻の詳しい経緯は同じ著者の前著を読むべきなのだろう。その辺りは少しだけ触れ、辞めていった元社員のその後を追いかけている。三洋の商品を売り切ってアクアのセールスに移った人、西松屋への転職、セクハラの疑いをかけられた者、電池技術で起業‥。様々な人の働き方はそれぞれに面白い。
一番印象に残ったのは、人事担当者として多数を首切りした人。最も恨まれる立場でありそれを背負い続け、評価された人事ではない仕事を新しい勤務先では選ぶ。またボランティアで元社員の転職相談にのっている。転職してうまくいった人ばかりメディアには出てくるが、そんな人は絶対に多くない、出てこれない人がほとんど、という指摘が重かった。
投稿元:
レビューを見る
明日は我が身ではないが、2兆円企業が坂道を転がるように、一気に崩壊・分散する様は、会社が生物であることをあらためて実感。
まさにノンフィクション調で、一気に読了してしまった。
経営者だけでなく、全社員が会社の将来を真摯に考え、組織的に行動する必要性を痛感。
自分も製造業勤務の一員として、他人事ではないという思いを新たに再認識しました。
常に危機感を持っていなければいけないなと。
投稿元:
レビューを見る
他人事とは思えないです。サンヨーから西松屋に移った技術者の話もありましたが、
私の友人にも某電機メーカーから西松屋に移った人がいて、たぶんその彼もたぶんこうだったんだろうなぁと思いを至らせています。
投稿元:
レビューを見る
政府の意向から個々人の身の振り方まで、さまざまな点と点がつながって立体的に見えます。ノンフィクションだけあって、ものすごいリアリティ。勤めていた社員の感ずるところはとても強く共感できるもの。一方で経営者側の目線では、私の視点の高さがイマイチのためか、はたまた本書にない事実がたくさんあるためか、想いをさし測ることが難しかったです。ただ、一般の会社員にはまず無い、次へ向かうバイタリティは、共通して感じました。
投稿元:
レビューを見る
金融3社に切り売りされパナソニックに買収されブランドはなくなり10万人の従業員はバラバラになった三洋電機。そこに至るまでの同族経営の罪と従業員のその後のストーリー。経営については既に様々なメディアで語られているところ。その中の従業員を追いかけ取材したルポが興味深い。会社毎の文化が存在し労働観もそこで培われることを感じさせる。それでもここで紹介されてた元従業員は自分の居場所を見つけ次の人生を生きている。過去ヒット作を輩出したその能力は場を固定しなければ再び日の目を見る。流動性が活かされた例。
投稿元:
レビューを見る
三洋電機がパナソニックに吸収され、サンヨーブランドが消えた。そして全世界で10万人いた三洋電機の社員はちりじりになった。なぜ三洋電機が無くなってしまったのか、そしてその後の社員達はどうしたのか。これは三洋電機だけの道ではないな。パナソニック、ソニー、シャープもその危険性がある。日本の製造業全てにいえるのかもしれない。産業構造が変わってしまった。
投稿元:
レビューを見る
☆シャープの電子部品部門を率いた。「共創」が口癖。
(本人著作)原点は夢、わが「郊之祭」、生きる力活かす力
(著書)稲盛和夫最後の闘い、ファーストペンギン、三洋電機、『会社が消えた日』
投稿元:
レビューを見る
"日本の技術者の底力を感じられる本。確かに会社が消えることで、多くの人が困るし今までの仕事とは別の仕事を探さざるを得ない。
ただ、一部の技術者や営業マンは自らの強みを生かして活路を切り開いていく。そんな矜持を持つ人たちも取材している。
会社をつぶしてしまった経営者ばかりではなくね。
三洋電機の社風をいまさらながら知ることができた。こんな社風の会社がまた日本に生まれてきてほしいと願わずにはいられない。"
投稿元:
レビューを見る
・第三者割当増資は文字通り増資を引き受けた第三者が経営に対して大きな発言権を持つことになる。公募増資ができないところまで市場からの信用を棄損した段階で第三者割当増資に至るのが通常のパターンである
・「京セラがすごいのは徹底する力です。普通の会社はどんなにルールを作っても、どこかで「それくらい、いいじゃないか」という例外を作ってしまう。例外を1つ作ると、ルールはあっという間に形骸化していくんですよね。しかも組織の上に行くほど、例外が増える。下に厳しく言っても、上はなあなあなわけです」
・人減らしというのは”麻薬”だ。まとまった人数を減らすと固定費が軽くなって、一時的に業績が回復したように見える。でも付加価値を生む人材を切り捨てて、会社が強くなるはずがない
・目の前の仕事に没入し、無益な縄張り争いを始める社員の目線を未来に向け、大きな目標に向かって価値観を共有させるのが、経営者の仕事である
・設計・開発から製造まですべて自前でやる日本の垂直統合モデルは、米欧のファブレス企業と台湾のファウンドリ(受託製造会社)からなる水平分業モデルに負けた
・「成熟した製造業と違って、チェーンストアはこれから発展するビジネスで、新しい考え方がどんどん出てきています。学ぶ姿勢を失わないでください」
・顧客との距離が遠いというのは、環境への適応力が落ちていることを意味する。適応力が落ちた電気大手が恐竜だとすれば、小回りの利く西松屋はさしずめ哺乳類ということになる
投稿元:
レビューを見る
この本を読んで、今後、パナソニック製品を絶対買いたくないと思った。
松下幸之助の創業精神は、もう残っていないのだから。
投稿元:
レビューを見る
190422 読み始めているところ 暗い気持ちになるのか、前向きになるのか。
100510 いずれ会社はなくなる。そういう思いで、覚悟して務めなければならないと思った。そう思うと暗くなるのだが、悲観せず行きたい。シェアや売上、規模を目指すところから、ステータスを気にせず、満足を得られるところに進みたい。でもどこかでリスペクトされたいという気持ちになってしまうが。。