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私はこの本の著者が中国大使を辞めるときに知ったのですが、丹羽氏は伊藤忠商事の経営を立て直した経営者として昔から知っていました。
最近(2014.6)では、中国危機本が出回っていますが、その中で丹羽氏は個人のネットワークを通じて得た情報をもとに、中国と理解しあって上手に付き合っていく必要性をこの本において説いています。この本は現在習っている中国語の先生から紹介されました。
今後も、中国危機本だけではなく、丹羽氏のような考え方を持った類書も読んでいきたいと思いました。しかし、シャドーバンキング問題は崩壊に至らないという考えに初めて出会ったので少し驚きました。
以下は気になったポイントです。
・全人代は3000人の代表者で構成されるが形式的、実質は大臣クラスの中央政治局員25人、そのうち7名の常務委員が国家を動かしている(p19)
・2013年の三中全会の決議で最も失望したのは、国有企業の改革が十分に推し進められなかったこと(p23)
・中国共産党の二つの正当性(経済成長による生活の安定、抗日戦争の勝利)に対する国民の意識が薄まっている事は、習体制最大の懸案事項(p36)
・孫政才、胡春華の二人は今年(2014)51歳なので、これから20年間は活躍するだろう(p40)
・上海市の平均月収は1450元(2.3万円)で、それ以下の世帯では生活保障費が570元支給される(p49)
・2008年頃から、河北省や遼寧省など13の省と市において、農村と都市の戸籍を廃止して「居民戸籍」をつくる動きが出た、農民たちの不満を和らげる一つの政策(p50)
・1988年以降、韓国では第六代大統領以降はクーデター、失脚は起きていない。国民に選ばれた大統領なので(p52)
・今後の中国は、1973-90年の日本と同じように、これからは内需中心の中位経済成長局面に移行するだろう(p61)
・生産量が過剰になるのは増産目標が達成されれば良いから、在庫はただ同然の値段で売る、帳簿には売上げ記録はあっても入金記録はない(p64)
・国、地方、シャドーバンキングの負債を足してもGDPに占める割合は先進国に対してたいした割合でないので中国経済がシャドーバンキングで崩壊する事はないだろう(p73)
・地方のトップである書記にはなかなか会えない、外国の大使が訪問したときのカウンターパートはナンバー2の省長や自治区主席である(p91)
・農民工は1日8時間働いて、40-50元、食事をして残るのは一日20元程度(p97)
・新チャンウィグル自治区は1955年に自治区として組み込んでから、漢民族を数パーセントから40%程度にまでになるほど移住させた。陸上石油埋蔵量・天然ガス埋蔵量の3割もある(p115,120)
・ウィグル族の習俗では、部屋の絨毯は言ってみればテーブルのようなもの、部屋の縁が盛り上がって座れるようになっていて、絨毯の上に食べ物を置いて食事する(p127)
・中国において少数民族が最も集まっているのがチベット族で、自治区住民の90%(p130)
・一刻も早く中国と、投資���定・知的財産保護協定を結ぶべき(p160)
・日本と中国は青少年の交流が大切、交流事業に参加した胡錦涛、李克強は親日派である(p174)
・相手との信頼関係を築くコツはウソをつかないこと(p175)
・田中角栄が国交正常化したことは英断だった、周恩来と毛沢東は声明発表後の4年後(1976)に死去した(p183)
・金融サービスの規制を大幅に緩和した「第二の香港」をめざした上海自由貿易試験区の進出企業リスト36社には日本企業は含まれていない(p199)
2014年6月28日作成
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元中国大使の丹羽宇一郎氏による中国論。丹羽氏のイメージといえば中国大使よりも、不良債権を一掃した伊藤忠商事社長時代の印象の方が強い。
都市と地方の格差や少数民族問題など、現在の中国が直面している社会問題を鋭く分析している。商社時代から海外赴任経験が豊富で、中国にもパイプが太い丹羽氏ならではの考察には強い説得力を感じた。
最終章には中国ではなく日本が抱える問題にも触れている、非正規雇用の増加や食品偽装問題など頭の痛い問題ばかり。今一度われわれ日本人は自らの長所を再認識し、せめて質の高さでは世界をリードする国でありたいと思った。
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中国共産党中央政治局委員25名 うち7名の常務委員 チャイナセブンが国を動かす 1習近平 2李克強
チャイナセブンのうち江沢民の息のかかった守旧派の5名は2017年の党大会で定年 2017第二期から自分の意見を通せるようになる
次のリーダ 汪洋、孫政才、胡春華
日本では中国経済悲観論が絶えないが、全人代の国家予算規模を見ると、インフラ整備には、国防費の倍投じている。
国の借金 日本GDP比率170% 中国 多く見ても20% 韓国40%
国家予算の47%を民生費に費やしている 教育2.3兆元、社会保障1,4兆元、農林水産 1.3兆円 公共事業 1.4兆元
国防費は0.7兆元 教育に国防費の3倍投じている
大使の時に、戦災孤児の養父母に感謝状
方正県の日本人墓地 参拝
日中国交正常化 田中角栄の英断
トゥキディデスの罠 戦史 覇権国と新興国の戦争
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日本の国益を考えた上での言動をしていた!と再三の主張。マスコミの印象操作があったのか。
日中関係改善をなくして、日本の経済発展は無かろう。これは合意。
政治的な関係改善をどうするか。
現在問題になっているのは、やはり尖閣問題。これは、棚上げにしてもいいんではと思う。ずっと平行線を辿るしかない。氏の指摘通り、武力放棄を合意すべき。
確かに中国が欲しい日本のモノを大事にすべきだね。教育に裏付けされた、技術とか信頼とかね。
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中国に対する評価は人によってずいぶん異なっているように感じる。「じきに世界トップの経済大国になる」「一党独裁が崩壊し内戦に突入する」「中華思想的な発想で周辺国を圧迫する」「反日プロパガンダで国民の不満を逸らしている」等々。それぞれ、一面では嘘ではなく、全体では的外れなのだろうと思った。
一章では、習近平体制は当面は対外強行路線に走らざるを得ないという。将来的には連邦制になるとの予想。
二章では、国防費の3倍を国民の教育に費やしていると指摘する。科挙の歴史を引くまでもなく、エリートがそれぞれの良識を持って国を引っ張っているに違いない。
5章、日中関係、あたりは少々楽観論にも聞こえる。個人的な信頼関係をもった政治家同士と、多数の国民感情は異なる。無理に韓流みたいなブームを煽ったところで、ベースができていなければ元の木阿弥だろう。アラブの春と同じ難しさではないだろうか?
通して、帯の文言が重みをもって響いてくる。“中国よ、日本をなめてはいけない”、“日本よ、歴史の重みを学びなさい”
とかくステレオタイプに染まりがちな我々に刮目せよと言っているようだ。
ただ、膨張する中国に対して、対話せよ、以上の提言がないのが残念。内向きな若者の一言で切って捨てるのは余りにあんまりだ。
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丹羽さんの視点から見た、中国の問題点について書かれた本。
大使として中国で勤務や調査をした経験から、他の本ではなかなか書かれていない異民族問題や政治状況が解りやすく解説されてあります。
しかしながら、中国は日本より広い国土・多くの人民を抱えており、教育も熱心。この本では中国の問題点を浮かび上がらせながらも、同時に今の日本の在り方までもを描いております。そして、今後の日本が向かうべき方向性までもを提言しており、とても参考になります。
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前中国大使(民間出身としては初めての)の著者が語る、日本メディアを通した見方ではない、中国の姿が書かれています。中国の政治の概観、日本で言われている中国の問題点についての著者からの見方、本当の問題点、そして中国と付き合ううえでの日本の問題点。
一方的な日本メディアからの情報では知りえなかった中国に対する見方を学ぶことができました。今、日本人が思っている中国に対する優位性、負けている点など、しっかりと見て判断しないと、将来それが逆転していて驚かされることになりかねない。そういう危機感を教えていただけました。
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親中派、ひどい時には媚中派と揶揄されることもある著者。実際はビジネス/経済視点で中国市場を無視できない、と言っているに過ぎない。但し、媚中とは言わないまでも、中国に対する憧憬は隠しきれない著者。河野談話や村山談話を後生大事に掲載するあたり、基本信条は…どうしても左寄りに見えてしまう。
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「弱腰外交」と一時罵倒された丹羽元大使の本。読めば納得。丹羽さんの本、伊藤忠の社長時代の、「人は仕事で磨かれる」を読んだ感じ、そんなあやふやな人ではない、と思っていましたがやはり。マスコミの報道で「~に違いない」と思いこまされるのは怖いです。実際には、バランスのとれた中国論になっています。
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取りかえたくても、引っ越しできない隣国との関係。
中国とは、仲良くする以外にないと思うのです。
そういう視点で考えて、とても説得力のあるいい内容の本です。
すべての人が真剣に考えるべき話です。
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出てくる名前がすべて固有名詞。つまり、実在の人物。これは、まちがいなく本当のことだろう。もちろん、著者の脳内で歪められているものがあるとしても、夢見るように書かれた本とは一線を画している。
ただ、やはり…答えは出ない。
永遠の繁栄はあり得ない。どうやって、滅びるべきか?
あるいは延命するか?
まぁ、できることしかできないんだが。スペックの低い脳を含めてこの身体しかない。
Mahalo
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019
中国の銀行融資が下限3%のキャップが設けられていたことやシャドーバンキングの存在は知らなかった。
また、商社マンならではの著者の姿勢(棚上げ合意のように課題に対して白黒はっきりさせるのではなく、グレーのままにしておくことを選択肢としている点、現地の声や意見を重要視する点など)が見られ、大変面白かった。また、中国の人口は未だに増加傾向にあることも新鮮だった。
固有名詞や数字が多く、説得力のある本であった。
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中国をとらえるときの日本のマスコミの通り一辺倒姿勢が分かった。アメリカ人にとっての嫌中国意識の低さも意外。お互いの主張が変わることはない中で何ができるのかを考えていくべき。著者の、周囲の意見に流されず、足を使って、中国人と向き合う姿勢に感銘。
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巻末にある、日中関係について過去に日本側から出された書簡、談話、声明の原文を読むと、マスメディアの情報との差を感じます。
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去年の年末のベストセラーの新書として平積みになっていた本。シルバーウィークに読了。
元伊藤忠の社長で中国大使。元商社マンという視点や俺の駐在帰国時の大使っていうこともシンパシー大。
世界第2の経済大国で無視できない中国。やっぱり相手を知ることって大切だと思います。