紙の本
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
2008/04/27 01:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シャリア - この投稿者のレビュー一覧を見る
説得力ある文章は、断定的に言い切り、いかにも論理的に展開する方がわかりやすいし受け入れられやすい。しかし、理解はしたものの実践できないのが世の常、人の常である。だからこそ、本が売れ、売れては実践できずに、次が売れるのである。著者の言葉を借りれば「白か黒かの二分法的思考は、俗受けはするが、いかがわしい」といったところだ。
同じ出来事でも、人によって、立場によって、全く違った事実として受け止められ、結果、目的とは正反対の結末になってしまうことがある。本書で紹介されている例では、夫の帰宅時間が遅い場合、妻は「家庭を顧みない」ととらえ、夫は「家庭のために寝食忘れて仕事に打ち込む」ととらえている。妻も夫も目的は家庭なのだが、結末は下手をすると家庭崩壊となる。
おおざっぱに物事をとらえ、たとえば三つの解決策で前に進むといったような風潮がもてはやされているが、なかなか現実にあわないのは、日常はそれほど単純明快ではないからだ。同じ出来事が違った解釈になることは日常茶飯事であるとともに、複雑であるからこそ単純なものにあこがれるといった程度のことである。
長い弁護士活動の中で著者は「いかに正しい判断をしたところで、偶然が介入する余地(マサカの出来事)が介入する余地は30%はある。従って、最善を尽くしても正解はない可能性があるのだから、踏ん切りができる」と行動の原点を教えてくれている。
「人間は一般に理性より、感情に基づいて行動する」、「感情をぶつけることが目的なのか、感情はひとまず脇に置いておくのか」、「過去と他人は支配できない」、「反対意見は情報収集の一環」、「有力な少数意見のない社会は必ず暴走する。」などなど思考の刺激を受ける一節がふんだん盛り込まれていて、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」と受け止めることが、状況変化へ即時に対応することができるとしめている。
確かに「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。」
自分に経験のないことや、新しい知識に触れることが、読書の醍醐味だとするならば、本書はまさにそのとうりの良書である。
追記として本書を貫く”7つの思考法”を下記にご紹介しておきます。
「私の人生は、私の思考によってつくりだされる。
私の思考が現在をもたらし、未来を決める。」
1,具体的に考える
考えることは戦いである。
2,オプションを発想する
常識をすて極論から考える。
3,直視する
フィルターを突き抜ける。
4,共感する
優れた少数意見のない社会は崩壊する。
反対意見拝聴は情報収集の一環
5,マサカを取り込む
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
状況変化への即時対応。
6,主体的に考える
事実を確認し、根拠を吟味する。
7,遠くを見る
局所最善、結果最悪を避けるための
俯瞰型、考える遠近法。
人間は一般に、理性より感情に基づいて行動する。
物事の手順を考える習慣が、
過去に悔やむことなく、また未来を悩むことなく
現在の自分を含む全体を見通せる鍵となる。
時代の熱狂を超えた視点を持って変化に対応できると
「近い将来には30%のマサカがあり、
遠い将来には70%のマサカがある。」ことがはっきりみえてくる。
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弁護士の人が長年の仕事を通して身に付けた「物の考え方」を書いた本。「オプションを発想する」という考え方は参考になった。あと、哲学的な所と絡めてるのも面白いなと思った。ただ、ちまたで良く見る内容の事が多かったし、文章全体に統一性がないかなとも感じた。
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【P120】この点は「事実」と「意見」の意味を考えると、いっそう明らかとなる。『新明解国語辞典』によると、次のようになる。
?事実とは「実際にあった事柄で、誰もが否定することができないもの」である「誰もが否定することができない」ためには、それなりに証拠の裏づけが必要である。
?意見とは「ある問題についての、個人の考え」をいう。
つまり、意見は対象についての個人の考え(主観)にすぎない。必ずしも客観的なものではない。意見は、事実とは異なり、客観的な裏づけを必要としない。事実はあるかなしかだが、意見は、事実とは違い、複数成立する。だから、「正しい意見」というものはない。「多数意見」はあっても「正しい意見」はないのである。
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著者は国際的に活躍する弁護士さんです。これまで現場で鍛えてきた「物の考え方」を7つのコンセプトにまとめています。私の研究の"数学的な考え方"とも関連しそうだったので、ちょっと読んでみました。以下、7つのコンセプトをあげておきます。『オプションを発想する』『直視する』『マサカを取り込む』『主体的に考える』『遠くを見る』です。興味のあるあ方はぜひ一読を。とても勉強になります。私はとても面白かったです。
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経験豊かな弁護士が物の考え方を七つにまとめています。
非常に読みやすく生活にも役に立つと思います。
印象に残ったのは、自分の頭で考えることの要件は
?関連する事実を確認する
?自分の判断の根拠を吟味する
これは当たり前のようでできていない。
事実なんて自分で確認した事実とは本当に少ない。
新聞やテレビなどのメディアによる伝聞がほとんどだ。
本もそうだし、直接確認したのは少ない。
だから事実を誤認して判断を誤る。
情報を丸呑みせずに自分の頭で考えることが以下に大切かを感じました。
ビジネスの方に限らず誰でも通じる部分はあると思います。
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本書は、国際弁護士である筆者の長い経験の元にあみ出された思考方法が述べられています。私の個人的な見解としては、ロジカルシンキングを弁護士業務による実例とともに説明しているというものです。当たり前のことが述べられていますが、改めて考えてみることのない事柄が多いので、本書を読んで自分の思考方法を改めてみるのも良いかもしれません。
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状況に応じたオプションを用意しておく
マサカの事態を想定しておく
基本的な考え方
対応力の備え方を 学ぶことができた
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弁護士ではなく、長年経験を積んだベテランの
プロ弁護士だからこその
経験に裏打ちされた思考術を紹介
身近な出来事や考えをまとめたもので、
哲学や名言などともリンクしていて、
参考になる。
どうも最近の若手弁護士をダメだと思っているらしく、
そのような記述がたまに目につくが、
マスメディアに毒された、自分の意見を持たない人は
若い人で多く、一層の思考術、考えることの必要性を筆者は強調したいのかもしれない。
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弁護士は企業間のケンカ請負人なのだという印象を持った。ただし、社会において裁判は一つの方法に過ぎず、交渉、和解、調停など様々な手段が取られうることがわかった。裁判は、時間とお金がかかるから、できる限り避けたいというのは、みな同じらしい。
依頼人が寝返るとか、場外乱闘を起こされるとか、弁護士は、並大抵の肝っ玉では、勤まらないことを感じる。
一番印象に残ったところは、
『相手が、虚偽の証言をしたら、証拠を並べ立てて相手の証言を潰す。』
だ。‘潰す’という言葉に、著者の思い入れの深さを感じた。
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かなり、めっちゃくちゃ、とってもイイ本です。
「事実」と「意見」の違い。
机の上のリンゴ。
「机の上にリンゴが乗っている」は事実。
「机の上に赤いリンゴが乗っている」は意見。
極端な話、人によっては
色の見え方が違ってるかもしれない。
また、自分がリンゴが乗っているところを
見たのでなければ意見になるかもしれない。
(人からの伝え聞き。)
〜以下、抜粋〜
人間は、自分の思い込みを離れて
ものを見ることは難しい。
客観的に見ていると思っても
実は「自分」というフィルターを通して
見ているのである。
感情をまじえず客観的に物事を見ることは
人間にとって不可能である。
また、そうなっては人生がおもしろくない。
われわれは対象をそのまま見るのではなく
自分の見たいように見ている。
そう知るだけで
考え方はずいぶんと変わってくるものである。
(中略)
意見というものは
必ず一定の基準に従っての判断である。
この基準に従って
「好きだ、嫌いだ」
「よい、悪い」
「甘い、からい」 などの判断がなされる。
〜抜粋、終わり〜
■習慣を続けるためにも、交渉・戦略を練る際にも有益な
オプション思考
■塵も積もれば山となる原因と結果の法則
バタフライ効果
■「ヒヤリ・ハット」から、奥底を感じ取り対策を立てる
ハインリッヒの法則
■自分も含めた全体像を俯瞰(鳥瞰)すること
全てが腑に落ち、勉強になった。
ネゴシエーター、かっこいいです。
この本は読み返すべき本ですダ♪
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現役のベテラン弁護士による思考術が、時にプロと新米弁護士と比較して分かりやすく書かれている。
プロの思考術の根拠・解説はじっくりと書かれているが、すぐに実践できるテクニックということではないらしい。
その為ハウツー本と思って読むとイメージと異なるが、流石 弁護士ならではの深い洞察力が随所で伺えるので自身の思考に深みを持たせてはくれるかもしれない。(読み手次第)
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オプション発想
疑う
鳥瞰する。スタジアムの中央から飛び立ち、スタジアムの中央に降り立つ。
証拠を確認、根拠の良しあしを吟味する
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現役のベテラン弁護士の人がわかりやすく思考術を綴った本。
プロの思考術の根拠・解説はじっくりと書かれているのだが、すぐに実践できるようなテクニックではなくて、意識して物事を行っていかなければいかないと、自分のものにはできないらしい。
弁護士ならではの深い洞察力や判断力があって、おもしろかった。
机の上のリンゴ。
「机の上にリンゴが乗っているは事実。
「机の上に赤いリンゴが乗っているは意見。」
という文はとてもすごい見方だと思った。
こんな考え方はなかなかできないだろうと思う。
読んでみて、自分の発想もいろいろ出来ればいいと思う。
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今の仕事が法律や契約に関わるため、自己研鑽の一環として本書を手に取りました。題名からしてロジカルシンキングに関するビジネス書かなと思ったのですが、いい意味で大いに裏切られました。
本書で、著者は、考え方の基本を7つのコンセプトに集約して解説していきます。7つのコンセプトとは、①具体的に考えること。②常識にとらわれずオプション(選択肢)を可能な限り想定すること。③権威や伝統にとらわれず、物事の本質を直視すること。④自分とは異なる意見に共感し、学ぶ姿勢を持つこと。⑤予想外の事態に備えること。⑥自主独立の気概を持って、主体的に考えること。事実を確認し、根拠を吟味しなければ、他人の意見を丸呑みにしているだけ。⑦遠くを見ること。問題を対処するためには、全体像を見渡すことが大切、ということ。
長年、国際取引法務に携わってきた著者の経験則とそこから展開される持論には説得力があります。テクニック的な話だけに留まらないのもいいですね。人の本性に対する著者の思想から導き出される法と論理の意義にも、惹かれるものがありました。
「結局、人って利害打算で動くし、誰でも平気で嘘をつくときがあるんだよ」と著者は結構冷たいことを言ってますが、本来的には人は弱い生き物だということを前提としているわけです。これには同感。
「高い志を持って、仕事に取り組みたい」なんて夢見心地でいるだけでは、目の前の仕事をこなすことはできない…でもそういった熱い想いも忘れずにいたいなんて思う、今日この頃。
高い志を保つための手段として、「人は利害打算で動く」ことを強く意識する必要があるんだなと思い至りました。
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思考術だけではない。心構えとして身につけておきたいと思う箇所が沢山ある。”いっさいの道理を見終わりて、皆胸に留めず、はらりはらりとすてて、胸を空虚になして、平生の何と無き心にて所作をなす”いつかこのような境地目指して。