紙の本
三国終末へ
2019/06/25 06:08
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮城谷三国志も佳境に。そろそろ終焉が見えてきて時代の区切りに一抹の寂しさも感じる。この後一気に終わりの始まりと向かう。
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文藝春秋の連載は終わったが、文庫版は半年に一冊という生殺しのようなペースで出版されている。これでやっと10巻目(全部で12巻になりそう)。諸葛亮の死から曹爽の台頭までを扱っている。曹爽なんて、マニアックすぎる(笑)。
宮城谷昌光の孫権は戦下手という評は面白い。赤壁の戦いは周瑜、夷陵の戦いは陸遜が指揮したので、確かに孫権は何もしていない。元々、宮城谷は孫権に手厳しいが、この巻では孫権のダメっぷりがいかんなく表現されている。
それにしても、諸葛亮以後だけで3巻も使うとは。渋すぎる。
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【諸葛亮、五丈原に薨ず。宮城谷三国志、いよいよ佳境へ!】諸葛亮亡き後、魏延と楊儀が対立。蜀は衰退を始める。魏でも皇帝・曹叡が急死し政権運営を巡って混乱が起こる。時代は新たな局面へ。
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10巻の主人公は司馬懿。
世代交代で英雄たちが消えていく中、ちょっと遅れて出てきた天才が経験と機会を掴んでいく。
諸葛亮没後の三国志は読む機会が少ないので有難いです。
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ー策は、ついにはおのれを滅ぼす。
おそらく諸葛亮はそう信じている。じつは司馬懿もそう考えているのである。(28ページ)
そして、孔明亡き後の、仲達の物語。
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諸葛亮も司馬懿も最初から用兵に長けていたわけではなく、経験を重ねて強くなったというのを書くのが新鮮で面白かった。
魏延と楊儀の残念なぐだぐだ。
諸葛亮には劣るがしょうえん等有能な人材もある、まだ目立って衰退の兆しは見えない。
遼東平定、合肥新城等々まだまだ楽しい。
曹叡トゥーヤングトゥーダイ……
呉もだんたんぐだぐだしてきたな。
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第9巻は曹操をはじめ魏陣営を高評価に描写したいがため、相対的に諸葛亮および孫権(呉)について辛辣かつ不当に非難する件がいくつかあり、読んでいてこの点が不快でならなかった。
しかし当第10巻は諸葛亮逝去という重要な描写があるためか、さすがにいつもの宮城谷昌光らしい穏やかな筆致と言えるもので満足できた。
『正史』準拠のため三顧の礼や赤壁の戦いでの活躍も描写されなかったためか、諸葛亮の逝去は今ひとつ感慨が薄かったといえる。
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曹操の後を継いだ曹丕の出来が悪かったけれど、在位期間が短かったのが幸いして魏に大きなダメージは少なかった。
曹丕の後を継いだ曹叡は、軍事にも行政にも有能であり(というか、大局を見る目を持っているのだと思う)、諫言を聞き入れる素直さも持ち合わせていた。
ただ、巨大な建造物を作るのが好きって言うのが悪い癖というか、これだけは臣に諫められてもやめられなかった。
30代、人生はまだこれからだったのに。
後を継いだのは8歳の子ども。
曹操の血を引いた子どもは出来なかったので、出自不明の養子である。
いきなりその子どもが皇帝であると言われても、忠誠を誓うのはなかなか厳しい。
血統も実績もないのだから。
曹氏で王朝をつなごうと思うのなら、曹叡の弟とか従兄弟とかに後を譲るべきだったよね。
というわけで、親族からは曹爽が、軍事・行政ともに優れた業績を持つ司馬懿とともに幼帝を輔弼することになったのだけど(曹叡の遺言)、だんだん歯車が合わなくなっていく。
要は、曹爽がその器ではなかったということなんだけど、浮華の者=華やかだけど中身のない人たちを周囲に置くことによって、どんどん司馬懿とかみ合わなくなっていく。
私は、どうして司馬懿が魏を倒して新しい国を創ったのかが疑問だったのだけど、今作を読んで腑に落ちた。
曹叡が長生きをしたのなら、曹爽が真摯に幼帝と国のために力を尽くしたのなら、きっと司馬懿は立たなかった。
曹操のもとで行政手腕を発揮し、曹丕によって軍事面でも才能を顕にした司馬懿は、庶民が、度重なる戦で荒れた土地で苦労をしていること、国の政策如何で救いようがあることを、遠征に行くたびにきっと痛感したのだと思う。
だから、曹氏を、彼らが治める魏という国を見限ったのだ。(まだ見限ってないけど)
蜀では諸葛亮の死が、あらゆる方面に大打撃を与える。
彼の遺した言葉すら、自分に都合の良いように解釈する者たちの間で、同士討ちしそうになる騒ぎ。
それを見越して司馬懿は追撃したかったけれど、深追いするなという皇帝の命によって引き上げたのであって、死せる孔明が生きる仲達(司馬懿)をビビらせて走らせたということはない、らしい。←でしょうね
諸葛亮の最大の過ちは、後継者を育ててこなかったことだと思う。
言うほど蜀に人材がなかったわけではないのに、育てた形跡があるのは馬謖だけというのなら、彼には人を見る目がなかったってこと?
それとも好き嫌いの問題?
彼には『銀河英雄伝説』を読むことをお勧めします。
どれだけ突出した才能があろうとも、一人が全てを治めていては、後継者などできやしないということ。そしてその結果は…。
魏も蜀も、統治者がスケールダウンしたので、ようやく呉の時代到来か!というわけでもなく、孫権が道を誤っても止める者がほぼいないという状況。
儒教の力の強い呉では、差し出がましいことをするのは悪、という思想が主流なので、上に物申すことが心情的にできにくいらしいのである。
「いやいや、間違ってるんならちゃんと言ってよ!」と思う��権と、「ちょっと言ってみたけど聞く耳もたなかったじゃん」という家臣たちの間に溝が生まれ、そのうえ才能あふれる逸材だった皇太子が亡くなり、先行き不安なのである。
曹叡の在位末期、魏は遼東を征伐する。
形のうえでは魏に従っているが、実質は公孫氏が支配する王国は、朝鮮半島と中国本土の間にあり、ゆくゆくは朝鮮も版図に納めることを考えると、今のうちに潰すか、と。
魏も呉も、適当な距離を取りながら、攻めたり警戒したりしていたのだけど、それをいいことにちょっと目ざわりの度が過ぎちゃったのね。
焦った公孫氏は朝鮮半島の高句麗と同盟を結ぼうとするのだけど、もちろん高句麗にその気はない。
徐々に孤立していく遼東。
というタイミングで、卑弥呼の使者が魏に赴くのである。
これってすごくない?
ちゃんと貢物を持って行ったんだよ。
史料が残ってないから想像でしかないけど、多分倭国は高句麗や遼東と行き来をしていたんだと思う。
だから、このタイミングで遼東を見限って魏に行ったんだよ。
大陸の情勢をかなり正確に知っていたということ。
そのうえで、次は朝鮮半島と自国だと思って、先手を打って魏に使者を出したんだとしたら、思った以上に卑弥呼はすごいやつです。
っていうか、倭国、すごいな。