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浅田氏の青春回顧録か?と思える物語。自身がすっかり忘れている過去を考えることも…。後悔はないはずだが…。
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すばらしい作品だった。
主人公の幼き時代に訳ありの友達をもち、一線をひいて付き合った。老いたのち、霊となった友人と再会する。なんともいえない切なさがたまらない。恨みはなく、さわやかに別れた。
また、主人公は、19歳のころに愛した清純な女性を、その時、振ってしまったことを、長年後悔してきた。一方、自分を愛していた女性には気づかずにいた。自殺してしまった好いてくれていた女性が霊となって現れ、一言さよならを言ってほしかったと激白した。しかし主人公は最後まで言わなかった。心の葛藤、人間模様の描き方が絶妙であり、読ませる。
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人助けのお礼にと、即席の降霊会に招かれた主人公。これまでの人生の悔悟として思い出したのは、戦後間もない小学生時代の友人「清」と、学生闘争真っ只中に出会った恋人「百合子」。2つのエピソードが描かれています。
戦後日本とか、学生闘争は、浅田作品にも度々でてくる舞台設定。テイストも『沙高樓綺譚』や『霧笛荘夜話』のような感じで少しマンネリかな、と思って読み始めましたが、なんのなんの。
その時代の背景がしっかり描写されているので、その時代を生きていない自分でも、容易にシーンがイメージできるし、なぜそのような悲劇が生まれるのか、読者それぞれの答えを考えさせてくれるところはさすがでした。
それにしても梓とジョーンズさん達は、一体なんだったのか。ものすごく気になる。
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降霊会を通して戦後復興と高度成長期を描くホラー?小説。
ストーリーテラーの浅田さんだけに、チープなホラーものでもなく、俯瞰的な時代小説でもなく、その時代の息吹を感じさせてくれます。
戦後復興期、高度成長期に少年、青年時代を過ごした主人公がその時代に残したと意識する罪について、死者たちに語らせる構成はさすがです。
幼い時や若い時にだれもが経験するであろう苦い思いも十分伝わりました。
最後のオチはすごく意味深なような気がしますが、具体的に説明できないの自分の力不足が残念です。
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初老の男性がずっと胸の奥に抱えてきた、でも目を逸らし続けてきた過去に降霊会を通して向き合っていくストーリー。
前半の少年時代編と後半の学生時代編に分かれている。
少年時代に仲がよくもあり、半面疎ましくもあった友人キヨが目の前で交通事故で亡くなった話の真相はやるせなくて、重かった。。
浅田次郎さん、「椿山課長の七日間」しか読んだことがないのだが、やはり作風は似てるかな。
後編はイマイチだというレビューも見たけれど、後編も女性の側からすると切ない・・。
「降霊会」というタイトルから胡散臭い話を連想するかもしれないけれど、過去にタイムスリップするようなお話、かな。
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誰でも、苦い思い出や罪の意識、ざらりとした記憶がある。
降霊という手段で、あの頃の人物が本当のことを語る、ミステリー。
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結末がすこし期待はずれ。想定内?
但し、小説内の2つのテーマはどちらも秀逸で、浅田次郎らしい心の葛藤や心苦しさがうまく表現されていて、とてもよい小説です。
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久しぶりに浅田次郎を読んだ。相変わらず巧い。巧いんだけど、素直に感動できなかった。なぜだろう。初期の「日輪の遺産」や「蒼穹の昴」などの、多少とっちらかっていても情熱で読ませるようなものの方が好き。
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子供時代の友人と大学時代の恋と、戦後の高度成長時代を背景にした内容はいささか抵抗あり。ラストに意表を突くどんでん返しを期待したが、これも外れ。もちろん、浅田作品としてはの条件付きですが(笑)
似た傾向の作品は短編集でもあり、個人的にはそれほど好きじゃなかった。今回は降霊会で主人公の記憶と死者の語りで構成され、展開以前に主人公のキャラが弱い。謎が多く残されたが、解明へ乗り気にならないな~
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終始、胸糞悪い話の連続だった。母親になってから、子供が殺される話は我慢ならなくなった。
1952、メインの語り手と似たような背景で育った男性なら、また何か思うところがあるのかもしれない。
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なんかメトロとかぶったなあ。戦争の悪い時代から急速に復興した時代×不思議な力でのありえない出会い というmix感が。最後にもうひとひねり、不思議が待ってたしね。でもなんか、どこかで見たような。。というかんじが拭えないまま本を閉じた、そんな読後感。山野井清と小田桐百合子。それぞれ、主人公である「ゆうちゃん」に悔悟(←このコトバあまり使われないのにキーワードとして出てきたのがなんか一番印象に残ったかも)の念を残していたふたつの思い出を、霊の口寄せで振り返り、滞って固まりかけた思いを解くというような内容。私ならだれを呼ぶかなあ。もういちど話してみたいひとはいくらもいるけど、でも、やっぱ怖いかな。まあなんにせよ浅田さんらしい1冊。家族、恋愛、社会、霊魂、いろんな角度の切り口がとれるから、夏の読書感想文なんかも、書きやすい1冊かも。
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浅田次郎の作品初読。ツナグ的な話なのかなと思いながら読み進む。戦後まもなくとか、70年代を生きた人はこういう生き様をしてきたのだろうかと思わせる作品。ラストはもやもや感半端なし(^=^;
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ボクの心霊観は、亡くなった人の想いは残ったり、生きている人は見られていると思わなければ世の中寂しすぎて、それはホラー的な心霊ではなく、神仏と同じように、生きている人たち自身の自戒を促すために、生きている人がつくりだすものだという風に感じています。
そういう意味では、さすがの浅田次郎も今回ばかりは馴染めないと思いながら本書を読み進めました。しかし、やはり浅田次郎であって、そういう心霊観のボクも最後は飲み込まれました。
万人受けはしないだろうという意味で、本書は名作かと問われれば、そうではないと言わざるを得ませんが、懺悔という視点からは2つのエピソードとも深く入り込むことができました。
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祖父が神憑る際に梓弓の弦を引くことから、梓と名付けられた女が別荘地に迷い込んだところから物語は始まる。梓に西の森に住むジョーンズ夫人を紹介されたゆうは降霊会に臨み、父親に殺された小学生の頃の友人やゆうへの想いを告げることもなく、若くして亡くなった真澄の思いを知ることになる。過去の自分と真摯に向き合うことの難しさを教えてくれる作品。
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浅田次郎の本なので、期待値が高すぎたのかもしれないが、それにしても比較的まとまってしまっていたような気がする。
ただし、泣かせるところや、考えさせられる点など随所に読み応えのある本でした。
再読はしないかな。