投稿元:
レビューを見る
あんなに見下していた信子ちゃんを突然「美しい」と思うところがあんまり理解できなかった。
自分の価値基準が変わっていったからだというのはわかるけど、腑に落ちない。
不細工な自分を受け入れた感じも腑に落ちない。
投稿元:
レビューを見る
小学生から中学生までの、女の子のお話。
小学生のときは感じなかったいろいろな事が、中学校に入って気付かされて影響されていく。教室の中での位置付け、格上、格下、許される人、そうじゃない人、、、
主人公の結佳は、自分の位置を見定めて、そこからはみ出てしまわないように必死になるあまり、言いたいことも言えない。
ここまで極端ではないにしても、
そういえばそんなことがあったように思えてくる。
いつの時代もこういうことがあるんだろう。
これから育っていく我が娘が、どういう思いで思春期を迎えて行くのかを思いながら、興味深く読みました。
投稿元:
レビューを見る
主人公の結佳が自分の中で溢れだす気持ちをどうすることもできずにもがく姿に感情移入しながら読み進めた。
とくに結佳と伊吹が交わすシーンには涙が溢れるくらい胸をうつものがあった。
心を震わせながら読むことができた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
信子ちゃんが美しいでしてやられたー!となった。教室の価値観ではなく自分で初めて生み出した価値観。信子ちゃんは美しい。
どんだけ自分が自分の価値観ではなく世の中の価値観で物事を考えてるのか思い知らされた。
投稿元:
レビューを見る
読む人と時期を選ぶ本だと思った。大人になった今、ぼんやりとした輪郭に纏われた記憶が掘り起こされて、どろっとした中身が溢れ出てくる。遠くに消えかけていた思春期の現実は、友人と共有している思い出ほどキラキラしてはいなかったでしょ、と突きつけられて、じくじく心の膿みが出てきそうになる。主人公の年代の頃だったら、この本はきっと読めなかったと思う。純粋にいいものを読んだと思えること自体が、過去の己の振る舞いへの懺悔のような気もするけれど。この本の良さをわかる大人になれたことは嬉しい。
投稿元:
レビューを見る
学生時代を思い出しては動悸がした。教室の空気が生々しくて。まさにこの本の通り、私は小学校のとき上にいた。中学校に入り二軍か三軍になり、とうとう精神的に負けて不登校になった。無視を決めたことがある、それだけで未だに思い出しては罪悪感に苛まれる。それらを主人公は体当たりで吹っ切るつもりなんだろう、美しく。
信子ちゃんのような子は居なかった。美しいな。
恐らく共学だと誰しも経験したことだと思う。したことがないとしたらあなたは"伊吹くん"なのかもしれない。
気になるのは親になった今、どう育てたら伊吹くんになるん?と思っている(笑)
投稿元:
レビューを見る
中学生の思春期では男女間に大きな差があることをあらためて思い知らされました。幼い恋心の行方にハラハラしながら読むことができて良かった。
投稿元:
レビューを見る
村田さんの本は何よりも優先させて一気に読んでしまいたい本。
女性の特有の感情や気持ちをズバリ書き上げて、むかしを思い出しながら一気に引き込まれて読んでしまった。
投稿元:
レビューを見る
めちゃくちゃ心を抉ってきます。いわゆるスクールカーストで上位だった人々はこれ見ても響かないんじゃないかな。まあでも思い返せば、上位の人の中でも出入りもあったし、はじき出されたりしていたから、そんなに楽なものではないのかもしれないけれど。
僕は高校時代は完全にアウトオブカーストになって、卒業まで殆ど誰ともしゃべらなかったのを思い出します。よくぞ辞めずに卒業したとほめてやりたいです。
この本は小学校を前編、中学校を後編とした一人の少女の物語です。見た目いまいち特に取り柄が有る訳でもない、一人の女の子が波風立てずにひっそりと過ごそうとしていながら、恋なのか分からない激しい性の衝動に突き動かされます。そのはけ口となる明るく正しい少年伊吹君。年齢より幼く男女の区別もしない非常に無垢な少年です。
やがて中学生になりスクールカーストがはっきりしてくると、以前は漠然としていた男性からの視点が絡まり合い、さらにその階層の区分けの線引きは目で言えるほどになります。
小学生の頃は仲が良かった友人同士も、カーストが分かれ中学になると同じクラスでも疎遠になります。
この感じ物凄く分かるというか、人生でもトップクラスで嫌な奴がいる時期ではないでしょうか。人を貶めて自分の価値を上げようとしたりする奴が沢山いて、日和見して自分の価値が下落しないように強者におもねる・・・。でも仕方が無いですよね、人間だれしも弱いんですから。
この本でもカーストを丹念に丹念にねちっこく書いているので、昔の事を思い出して胸が痛くなるようでした。学生時代が楽しかったと言える人達が本当に羨ましい。
正直誰に勧めればいいのか分からない位傷を抉り込んでくる本ですが、心にしっかりひっかき傷を残してくれる本です。
ちなみに、こういういじめを含んだ本を読んだ元いじめっこ達は、どういう感覚で読むんだろうか。もういじめた事は忘れてしまったのかな?だとしたらとても悔しい。
投稿元:
レビューを見る
純度の高い青春小説
この頃の年って平気でなんでも言えちゃう怖さがあったなぁ。
経験値が浅くて心にまだ自信というガードがないから辛かった。
心を守りたいから傷つかない選択ばっかり選んで。
あの頃、達観した気持ちで包み隠さない自分で
ありのまま好きなものは好き!と言えたら
どんな道になっていたんだろう。
もう戻れないからこそ色んな妄想をしてしまいます。
このクラスメートたちが10年後に同窓会したらどんな感じなのかな?
そんな未来の話も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
全ての作品を読んだわけではないが、村田さんの作品の中では、珍しく、分かりやすい未来の見える終わり方が印象的だった。他作品の、次第に精神的な方向へ行くそれらとは異なる理由として、私が思ったのは、村田さんなりの、もがき苦しんでいる人たちへの励ましの作品なのではないか、ということ。
私も、物語の主人公「結佳」のような、孤独で辛い体験をしている。ただ私の場合、高校だったので、周りの責め方が少々大人びたやり方だったという違いはある。まあ、それはそれで、たちが悪かったが。
そして、この作品の舞台の中学校だと、より分かりやすく、ストレートな子供っぽさを発揮するので、余計に刺さって辛い。今の私の年で考えると、そういうやり方でしか自分の存在価値の高め方が分からなかったのだろうなとも思うのだけど。
いじめてた人って、大人になってから後悔とかすることもあるのだろうか? あの頃の自分は恥ずかしかったな、とか。そういう気付きが出来ないから、いじめをするのだったら、明らかに人として問題があるから、まだ気休めくらいにはなるかもしれないが、後悔しているとか思われたら思われたで、当時の血塗れの自尊心(本編より抜粋、印象的な言葉)は出口を見失い閉じ込められたままで、なんの解決にもならない。若さゆえって言うけど、この問題になると、その言葉の整合性も分からなくなる。身分制度じゃあるまいし、人間に上も下もないんだけどね。
それでも、当時毎日通うことでしか、人生をやり過ごせなかった子供心にすれば、学校が本当に逃げられない牢獄のように見えたし、本編でも、「開発途中で途絶えた、一見小綺麗に見えるけれど、体温を失った無機質な街」と、「自らの行き所と価値観を見失い、人生が途絶えたかのように思い込んでしまう結佳」とを、重ね合わせた様にどうしようもない、やるせなさを感じ、少しずつ、精神的なバランスを崩していく痛々しい描写は、真に胸に迫るものがある。
それで、この後、私は学校を逃げ出したが、結佳はそうしなかったところが、おそらくこの作品の主題であると思う。ネタばれになるので詳細は控えるが、怒濤の展開になります。この辺は、正直、こんなに上手い具合に事が運ぶかなとも思う。思ってしまう自分に嫌な感じもある。けれど、だからこその、励ましの作品だと解釈しています。机を倒したりすれば、何かしらのお咎めもあると思うのに、そうしたシーンは書いていないことも、結佳の物語だから。
ただ、一つ、私の中で確かな励みになったのは、結佳の「伊吹」への狂おしい程の情愛。おそらく、これらのシーンだけつなぎ合わせれば、別の作品になるのではと思うくらい、骨太で、狂っていて、切なくて、哀しいほどの、手を持て余した情愛の塊は、それこそ、そこら辺の上のクラスメイトより、よっぽど真っ当な生き方だと私は思う。ただ、それを、より正当な方向へと向けて歩み始めた結佳を見て、私とは違うなという、寂しさを覚えたのも確かなのだけど。
自分の過去が入りすぎたので、評価はできません。
こういう感覚は、宮内悠介さんの「黄色い夜」以来です。
投稿元:
レビューを見る
うわ。ヒリヒリするような教室の身分制度。つらくて息苦しく生々しい。
白いニュータウンの骨と主人公が重なる。伊吹くんはそりゃみんな好き。
話ははらはらした。
投稿元:
レビューを見る
「思春期」と一言で表せば、そうなのかもしれないけど、
一言では言ってはいけないと思わせる話だった。
小4年から中学生までの話。
主人公には、自分の思い通りにしてもいい、
おもちゃ(人)がある。
でも、そのおもちゃを他の人にもいじられてるのを
見ると、「私のおもちゃなのに…」って思う。
スクールカーストとか、ものすごく共感できるように
なっており、今を生きてる学生さんの大変さを感じた。
小学校では仲良しでも、中学で離れるってあるよねー。
性的な部分もあったけど、イヤらしさを感じなかった。
なんでだろぅー。
大人のドロドロではないからかなぁー。
投稿元:
レビューを見る
思春期のヒリヒリ感、といえば聞こえはいいけれど、やはり村田沙耶香さんだなという感じはしました。思春期に誰でも持っている自分は特別なんだという慢心、それの心許なさ、破壊、再生が描かれていました。
伊吹くんの存在が、フィクションぽかったです。
投稿元:
レビューを見る
ニュータウンとかがあるような都会の田舎ってこういうのありそうだなーと思いつつ、青春の不器用さがチクチクする