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歌人、伊藤一彦先生とその教え子の堺雅人さんの対談集、テーマは若山牧水。
二人は牧水と同郷、同窓と縁が深く、伊藤先生は牧水の研究家である。その二人が三夜にわたり酒を酌み交わしながら牧水について語る。
「あくがれ」、「まろび」、「なまくら」をキーワードとして、牧水の恋、旅のエピソードと共に、その人、短歌に迫っていく。
短歌を作る人には牧水の短歌鑑賞はもとより作歌のヒントが散りばめてあり面白い。短歌になじみの無い人でも牧水の天真爛漫ともいえる生き方は、時代の違いはあるとは言え興味深いものがある。カウンセラーでもある伊藤先生の言葉でかたられる牧水は作歌のヒント、生き方のヒントと二度味わえる。対談の形式になっているのも読み易くてよい。
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俳優の堺雅人さんが、故郷宮崎にて、
高校時代の恩師伊藤一彦先生と、三夜続けて、
歌人若山牧水について「飲みながら」語った対談集。
「飲みながら」歌について語るなんて、
まぁ、なんとふまじめなと憤るなかれ。
この愉快な師弟が繰り広げた酒宴・・・、いや、対談のメインテーマである
若山牧水は、大変酒を愛した人。酒にまつわる歌も沢山作っている。
今はもう大好きだった自然にかえっていった牧水さんだが、
こうして、同郷の早稲田大学の後輩二人が、
美味しくて楽しい酒を飲みながら、
自分のことをこれだけ熱く語っている様子を見たら、
なんとも嬉しくなってしまうのではないだろうか。
もしかしたら、「面白そうだからぼくも仲間に入れてください。」と
いそいそ近くにやってくるかもしれない。
なんだか想像しただけで、こちらまで幸せな気分になってしまう
対談風景である。
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すごくよかった!
牧水について知ったこともよかったし、ことばについての思いとか、堺さんも伊藤先生も、よく知らない人ばかりだったけど、ふたりともすごいなあ、と。
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【概要】
全くビジネス書じゃなくてすみません…。一般教養として読みました。
地元にゆかりのある人だったのと、堺雅人が好きで…。
【活かせるポイント】
堺さんの恩師はカウンセラーとしても活躍されているようで、牧水の話はもちろんためになりましたが、それ以上に、若者とカウンセラーの関係もイメージできました。
我が同期が、お客さまとの雑談で、「最近の子は自分の弱味をやたら人事に言ってくる」という題材が出たという話を教えてくれたので、
「新人には、人事の方が保健室の先生とかカウンセラーみたいな存在なのかな」と回答しましたが、
新人は我々以上にカウンセリング慣れしているのかなぁ、なんてことを思ったのはこの本がきっかけです。
(あっき)
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いや、いい本です。
ドラマを見ないので堺雅人さんは名前を知ってる程度、牧水さんもああ、国語のときに聞いたかな、あと「エースをねらえ」で藤堂さんの大学の文化祭?で藤堂さんとひろみが体験したアトラクションで歌がでてきたかな(いや、そーいうのがあったんです!トロッコみたいのにのって文学作品の朗読?を聴くの)、というぐらい。
よーするに、タイトルのふざけっぷりだけで借りたんです、図書館で。
これが思いのほか面白く....
牧水さんは、なまくらで健やかなのです。
これは好きな世界です。読んでみようと思います。
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「あこがれ」の語源は、あくがれ(在く離れ)、今居る所を離れていく、ということであったらしい。
「あくがれ」と「なまくら」
小夜子との恋愛の様子、失恋の様子が秀逸です。
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旅先などで歌碑をみることがあったとしても、これまで牧水に注目したことはなかったので、宮崎出身とは知りませんでした。宮崎出身、大学時代に上京し早稲田大学に学ぶ先生と教え子の対話形式で牧水の話がすすみました。サンデル先生観てから対話形式の教授法はオモシロいと思います。牧水の歌が日々の心のまんまであることや、自然をうたうのではなく自然そのものになってしまいたいと強く願う気持ちなど、牧水の生涯の説明と同時進行で作品を読むと歌人自身に親近感がわきます。お酒をいっぱい飲んだ歌人でもあったようです。
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面白い。堺雅人とその高校時代の教師、伊藤一彦氏との対談だが、堺雅人が感銘を受けた牧水の詩を読むと、伊藤先生がそれに解説を付ける、さらに堺雅人がそれを別の例え方をするといったように話が膨らんでいく。
ただ、3日間の飲酒をしながらの対談という形式もあり、3日目の後半は緊張も解けてか、視点が合わずグダグダになってくる。それも面白い。
引用するには長いけど、p.217の堺雅人の野球少年話や、アメリカの野球選手は素振りをするか論は面白い。
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堺雅人の恩師にあたる著者との対談で牧水を考察した新書。
それぞれの人となりに加えて牧水の短歌についてももちろん印象深く心に残った。
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教科書でさらっとなぞっただけの、牧水のことを
わかりやすく、おもしろく知れるのに。
なんでか、とっても読みづらい。
(対談をおさめたような本)なんですが
堺雅人が話す部分が、のっぺりとした
悪い意味での学校の先生みたいで
なんか熱が伝わりづらいのかな。
(個人的に)
まいぺーすに読もうっと
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恩師と教え子の関係っていいなぁ~!その先は牧水につながっている。人と人、人と文学の関係もこうでなくちゃ。こういうふうにお酒飲まなくちゃ。あれ!牧水先生、そこにいたんですか?こっちへ来て、一杯やりませんか。
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一杯やりながら牧水の声にゆったりと耳を傾ける二人の対談本。
彼を知り詩を解こうという探求心と、からかうようなくすぐったがるような掛け合いが溶け合い、牧水への愛しさや出会い想い馳せる心地よさ、望郷、そうして今ここにいることへの喜びが、読んでいるこちらに伝染してくるようでした。
崩れ、表現し、まろぶ、まとめてひとつの生。自分で自分を決めつけない強さで、人間という自然を素直に歌う。ささいなことを愛しむ旅路。陸と海のあくがれがぶつかる岬。
言葉を言葉だけの世界で磨き上げるより、自分の一歩一歩、肉体から切り離せないナマモノとして歩む方が大変。分かる気がするなぁ。身をそばめてはならない。なまくらを磨き立てない勇気。
物語を作れば過去も変わる生命力。形容ではなく、そこにある生。さびしさの色。滅びゆくものと割り切って、受け入れる。
そういったものを思い出させてくれるひと時を、お裾分けして貰った心地です。
歌同様、浮かんだ想いを自由きままに言葉に乗せる語らい故、時に思い掛けない投げ掛けがぽんと出て来るのが、また面白い。
歌という結晶、演技という生身、それぞれの段階の魅力。
創造と、思い出すという作業は似ている。死守せよ、そして軽やかに手放せ。
言葉の魅力も改めて思い起こされます。二句切れ四区切れの結句にこもる力、やまと言葉の多義の輸入。
重ねることで気恥ずかしさを摩り替え自己確認する醍醐味。投げ出すから投げ出されもする…受容の需要とでもいうか。そんな相手がいるということ。
三者三様それぞれに滲み出る圧倒的な自己肯定は、常に自分を通しているということを引き受けてる、大人だということなのだろうな。
それが、退路を用意しなければ苦痛はない、ということであり、自分の年月を必要に応じて取り出す心の豊かさで。呼吸するように芯が通ってる…酒飲みが醸し出す本質。
本当に素敵な師弟だなぁ。尊重し合ってわくわくし続けて。あくがれ…。
読み手から本の中まで、好きな人の好きな人が好き、っていう鏡合わせみたいな連鎖もあって。それはとても幸せなことだと、しみじみ感じます。
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宮崎で育ち、早稲田大学で学ぶという共通点を持って、著者のお二人が牧水を熱く語る。牧水という人がどういう歌人だったのか、これを読んではじめて詳しく知った。地味な人というイメージ、啄木や、北原白秋などと同年代なのに、彼らに隠れている感じ。それにしても、歌人でも詩人でも大恋愛は切っても切れない、それも悲恋。創作の糧でもあるのだろうか。それとお酒、まさに判で押したように。
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漂白の歌人、若山牧水を歌人であり、また高校の教師である伊藤一彦氏と彼の高校時代の教え子で俳優の堺雅人が三日三晩にわたってその魅力を語りつくす対談集です。
僕は若山牧水と堺雅人が大好きで、あんまりこういうことばかりにつんのめっていると現実社会とのバランスが取れないで、社会生活にずいぶん支障をきたすであろうなとはわかりつつも、こうしてつんのめっております。この本は俳優の堺雅人と彼の高校時代の恩師であり、また自身も歌人である(ぼくは知らなかったけれど)伊藤一彦氏との三夜連続で若山牧水の魅力を語り倒した対談書になっています。
僕は今まで若山牧水という歌人は歌と酒と旅のみに生きて、あんまり家庭を顧みない人だったのかなと思っていましたが、実際のところはよい奥さんに恵まれて家庭でも自分の酒を子供にもうらまれることもなく、家庭を大事にしながらも本当に酒と旅と歌。これに純粋に情熱を傾けた人だったのだなと改めて認識いたした次第です。そして、堺雅人と伊藤一彦氏との師弟関係のやり取りもまたすばらしくて、特に高校時代の堺雅人の姿には
「自分で考えて答えを出そうとしていた」
という伊藤一彦氏の指摘が
「この人は歌人なだけあって堺雅人の内面をすごく見ていたんだなぁ」
と読んでいてそう思ってしまいました。
若山牧水の行き方は「人に迷惑をかけない」とかそういう、いって見れば「かしこい」生き方とは対極にいるんですけれど、そこからつむぎだされた歌というのは心の奥底に響いてきて、僕の場合はいけないいけないと思いつつ、若山牧水の全集なんかを手に取ってしまいそうで、エライ物を読んでしまったなぁ、という若干の後悔を心の中に残しております。
でも、そういう心から情熱を傾けることのすばらしさも、この本は教えてくれるような、そんな気もいたしました。
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牧水の魅力をフランクに語った1冊。堺雅人は俳優なのに、何だか文学の研究をしている大学院生のようだ。恋の歌よりも、自然を歌った歌が印象に残った。