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エロくてエグくて、ぐぐぐ…ってなりながら読んだ。のだけど、ラスト4ページでこれまでの物語がひとつの芸術として、それこそ夢生の花として形になるのがめちゃ凄かった…。
まずタイトルから、そしてキャラクターとそれぞれの(自分から相手への、そして相手から自分への)愛、すべてが逆説的でここまで徹底した仕組みで書かれている小説、すごい、、!
星野智幸さんの解説の、「すっかり形式化して意味内容がなくなっているのに、まだ流通し続ける言葉を、静かに葬り、同時に新たな内実を注ぎ込んで更新してしまうのが、小説である。」って一文、他の読書の記憶でも思い当たるし、この本についてはまさにコレー!!となった。
漱太郎のサディスティックな行為はわたしには中々ショックが大きいものだったのだけど、それでも根底になぜか愛を感じてしまうのは、「ジェントルマン」な振る舞いが身についている漱太郎というキャラクターそのものの魅力と、彼にどうしようもなく惹かれている夢生の目というフィルターのせいだとおもう。
そして何よりも、山田詠美さん自身が、様々な形をとりながらも小説の中で「愛」を書き続けているからなんだとおもう。
なんだろう、すっごく好き!とか引き込まれる!とかじゃなかったのに、それでもこの充実した読後感。ほんとに芸術でした。
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人の印象は対する人によって違う。
仮面をはずした相手に対して、自分だけに素顔を見せてくれる、と受け取れている時はいいけれど。愛と憎しみは紙一重。
漱太郎はこうなることを望んでいたのかも。
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同性愛、不毛で究極の片想い。
山田詠美さんの今まで読んだ数作品はすごくダイナミックで繊細で形容しがたい感情にさせられたけど…。うーん、私が年をとったせいか、これは響かなかった。
レイプをはじめ、サイコパス瀬太郎氏の犯した罪らが陳腐なファンタジーに読めてしまって…。完全犯罪みたいな流れだがいやいや痕跡残しまくりやろ。
しかし、ユメの罪の象徴である鋏が、罪をおかした最愛の男へのギロチンになるとは…
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残酷なまでに美しい悪魔のような男と、その悪魔に魅せられて愛し従属した男の話。震えました。あの衝撃のラストは彼らにとったらメリーバッドエンドなのだろうか。漱太郎もユメなら仕方ないねって笑いそうな気もする。笑って犯した罪を告白する漱太郎と、それを許して受け入れるユメはある意味共犯者であり、そこで二人は唯一無二の相手として分かり合える、それは遥かに肉体関係を持つ事よりも深く結ばれている事なのだ。 殆どプラトニックでありながら、どんな関係よりも狂っていて歪んでいて背徳的。 これでおまえ、俺の奴隷だな、ユメ?という漱太郎の言葉が淫美な悪魔の囁きのようで恐ろしい(けど個人的に大好き)。
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言葉を失うほど焦がれている相手を、殺すことで、永遠に結ばれると信じて疑わない夢生こそ罪の意識がなく、傲慢だ。
自分ではない他の男を抱いたという事実に腹を立てたのか。それにしてもラストの夢生の行動がとても飛躍しすぎている気がして、冷めてしまった。血の海が小説の最後にふさわしいとは思えなかったからだ。
主人公の誰にも感情移入ができなかったけれど、夢生や漱太郎の名前はしばらく頭から消えないだろう。そこがやはり山田詠美の凄いところだなと思う。
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山田詠美作品はなんと30年ぶり
美しい人に心奪われるのはわかるけど、でもでも登場人物の誰一人として共感できないわぁ
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息つく暇もなく一気に読んでしまった。途中でやめることがなぜか出来なかった。
漱太郎は人の姿をした悪魔だ。究極のエゴイスト。無邪気に残酷なことをする。けれども普段は世間体を身につけて、眉目秀麗、文武両道、誰にでも優しく親切なのだ。
そんなある時、彼の悪事を目の当たりにしたゲイの夢生は恋に落ちる。彼に惹かれ共犯者となり、圧倒的な支配下に身を置くことになる。
何十年も恋心を残酷に扱われていた夢生も気の毒(でもそれは自らそうしているので)だけど、シゲのことがほんとうに可哀想でショックで。
今は、すごい小説読んでしまったと改めて思っている。
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うーん。
なんとも言えないなぁ。
何点かここは話が拡がるわけではなかったんだな~と思う事があったり…
???と思うことがあってページを戻って確認したりする作業も何度かあったな
何でこの本が家にあるのか分からないけど(過去に購入したんだろうけど)自分で購入するようなジャンルではないから新鮮っちゃ新鮮…
でもいつか読み直すことはないかな
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夢生は、漱太郎の悪魔のような一面に惹かれ、彼を愛し守り抜くと心に誓う。彼の罪を聞く自室を「懺悔室」と表現した。暗闇と罪の間にある美しさがとても良かった。山田詠美の文体でBLが読める幸せよ。
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なるほど、漱太郎のやばさとはそうゆうことか、と納得する場面も束の間、なんとBL展開。
いや、私は女だしレイプ魔は許しちゃいけない存在だけど、漱太郎に恋する夢生のこともわからないでもなく。落ちのおかげでスッキリ。
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ラストの方は、なんだかホラー小説
からのメリバ、、、。
とはいえ、巧みな文章で、ぐーーーっと引き込まれての一気読み。
実際にだれからもジェントルマンと言われる友人がいるが、そういう彼もどうしようもなく弱いところや、醜い部分がある。
『紳士と呼ばれる奴もどこかにシミがあるものさ』と自論を持っているが、漱太郎のイカれっぷりは衝撃。それに寄り添うように生きるユメもイカれてる。
その2人に関わる女性もやっぱり壊れてて、終盤は衝撃の人怖展開で驚愕した。
ユメが華道・フラワーアーティストをやっていたのは、ラストの展開で納得。
夢に生きるでユメ。名前も最後に納得。