紙の本
初めに読むべき一冊
2015/09/09 01:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:astina - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は零式戦闘機を主題としたものの中でも、パイロットによる戦記の側面とは異なり技術的側面を重視して構成されている。堀越二郎氏をはじめとする三菱の開発者を中心に取材した内容は貴重なものである。なお、本書は開発前夜から真珠湾攻撃までを描くが、終戦までを描く大部の続編「零戦燃ゆ」がある。零式戦闘機の基本的な知識を得るには、その後の研究により修正が必要な部分はあろうが、本書と吉村昭氏「零式戦闘機」をまずは読むべきだろう。
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靖国神社に飾られていると、イデオロギーや政治上の意味を持されてしまう「ゼロ戦」も、この本ではひとつの、優れた飛行機として扱われる。この本で持つ意味は、開発陣の制約の中での性能の向上に対するあくなき追求と、創意工夫の結晶であるということに尽きる。どこかで読んだ言葉の受け売りだが、「優れたデザインには昂ぶりがある」。まさしくそのとおりだ。
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会社の課題図書でした。
零式戦闘機の開発をめぐるノンフィクションストーリー。
この時代にこんな機械を作ったことに対する驚きが一番大きいですね。
とにかく危険極まりない実験と、なんだかんだのしがらみ。
安全、攻撃性などなど様々なことを考慮しなければならない状況での開発の大変さが身に染みました。
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学校の課題図書として読んだ本。理系の観点として「物の作り方」の多くを学べる本だと感じた。試行錯誤の仕方が事細かに書いてあり、勉強になった。
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世界に名高いゼロ戦の開発に焦点を当て、『技術者とはかくあるべし』を豊富な取材とインタビューで綴った、名作です。とうてい実現できそうもない目標値をおき、それを現実のものにしていく唯一の道は、あきらめずにやり続けること。そして、小さな一歩を積み重ねること。ゼロ戦の機体設計で貫いた、グラム単位の軽量化へのこだわり、ねじり下げ翼などの新技術を果敢に取り込む姿勢、すべてが技術者の鏡。
また、太平洋戦争当時、前線の局地的勝利を追求するあまり、増産と改良パッチ当てを続け、次期型機の開発に遅れた結果、類型1万機強も生産されながら戦争終盤でアメリカの戦闘機軍に太刀打ちできなくなったという物語も、マネジメントや戦略立案時の良い教訓になるはず。
エンジニアで飯を食う以上、一度で良いから、ゼロ戦のような名機を生み出す功績を残したいものです。
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本題から離れてしまうが、日本の国力というものを考えさせられた。国力を外交力とか経済力、技術力、軍事力などに因数分解し、1要素である技術力の中で更に第2大戦時の象徴「ゼロ戦」に焦点をあてたものととらえてみると、当時の技術者たちの素晴らしさとともに国力の限界がどう構成されていたかを意識せざるを得なかった。もちろん、このことは今現在の日本にも繋がってきていると思う。
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『航空テクノロジーの戦い―「海軍空技廠」技術者とその周辺の人々の物語』
著者 : 碇義朗
と、合わせて読むと更にいい。
上記の本では競合機の開発メーカーの人間のインタビューなども掲載されており、更に広く深く味わえる。
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「ゼロ戦」と書けば戦争、特攻、悲劇といったイメージがステレオタイプされるが、機体開発に携わった堀越次郎航空技師の仕事を通して日本の工業技術作品という側面から「零式艦上戦闘機」をとらえたドキュメントが本書。当時、世界的な軍用機の中でも最も過酷な戦闘機の性能において常識を遥かに凌いだ零戦の誕生は、それまでドイツやアメリカといった工業大国製品のコピーや発展型に甘んじていた日本が基本設計から独自に始めた技術であり、航空機開発者にとって戦闘機の開発とは兵器を作ると言うよりも現在の自動車産業におけるF-1開発に近い有り様を見て取る事が出来る。
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設計者なら一度は読みたい本。設計者じゃなくても読んでみると思いしろい。熱い技術者魂が伝わってくる。設計者としては見習いたい。しかし、兵器を作る仕事はどのような心境で行われているのか、純粋に技術を追求する探究心に支配されているのかが気になる。
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面白かった。重厚な読みものだけど重たさを感じさせない書き口はすごいなと思う。零戦ってすごかったんだなー。当時の技術者はさぞかし誇りだったでしょう。
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「風立ちぬ」や「艦これ」を体験後に読むと、既に馴染んだ名詞がすっと頭に入って読み易いんだろうね。
最初に空母「加賀、鳳翔」とか出てくるし、今までだったら空母と一括りにしてさらっと先に進んでいた所も、知った名前が出てくるとそれだけでニヤリとしてしまう。名前って大事だね。
海軍内部での大艦巨砲主義と航空戦力中心主義の意見対立は、航空本部と艦政本部とで組織対立が原因の一端という話は興味深い。
これも一種のコンウェイの法則か? 「アーキテクチャは組織にしたがう」
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「飛行機の設計というと、なにか派手なドラマチックな仕事のように想像されるようですが、毎日やっていたことといえば、最初から最後まで、地味な仕事の連続でしたよ」という技術者の言葉を、そのまま誠実に体現した1冊。堀越二郎を中心とする技術者が零戦を設計・開発した経過が淡々と描かれている。堀越がのちに無念の気持ちを語った搭載エンジンの選択の(結果的)失敗云々や、戦後になって海軍航空関係者が反省した「島国根性的なセクト主義は、技術開発の弊害」という面は、いまだに日本に底流している問題と思う。
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かつての日本主力戦闘機であった「零式艦上戦闘機」について書かれた物で、設計者:堀越二郎氏がいかにして日本の主力として君臨した戦闘機を描いたかに焦点を絞って書かれている。
まず堀越氏は、海軍から新しい艦上戦闘機の計画要求を満たすべく、当時主流の形態であった複葉機設計ではなく、あえて実例の乏しかった単葉機設計を選び七試艦戦を制作した(大判断)。七試艦戦は失敗に終わったものの、堀越氏はその失敗を踏まえて沈殿鋲を採用し、前作の七試艦戦より遥かに流麗な姿をした九六試艦戦を制作した(小判断)。さらに、引き込み足や超々ジュラルミンの採用の下、徹底した軽量化によって零式戦闘機は誕生した。
このエピソードには、大判断と小判断は優劣の関係ではなく、両方が求められることが含まれる。また、世界最高峰の九六試艦戦を作成した直後にさらなる性能の向上を目指した零式戦闘機の制作を求められたことから、新商品ができても安心するのではなく、次を見据える。
まさに「凡事徹底」や「商品は3年後には墓場へやれ」といった創業者精神とも大いに関係しているように思えた。
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堀越二郎の話。
「私の武器は、自分で考えることだけであった」『これで十分』とか『満点』ということをいうことは、まずなかった。『もうすこし』『ほかに何か』が、まるで口ぐせのようでした。毎日毎日がそうだったのです。」とかをみると才能もあったのだけど仕事への誠実さがすさまじい。だからこそ「「機体重量の十万分の一までは徹底的に管理する」」を行い革新的に軽量化に成功した零戦を開発できたのだろう。
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日本の底力…
匠のわざ…
日本の技術力が再認識されているが、後進国から這い上がろうとした、この時代の技術者達の熱意と努力があってこその現在。
零戦を反戦・愛国・悲劇等の見方ではなく、工業製品としての視点でみている点が印象的。