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前のボスが勧めてたので、読んでみた。経済学者の水野和夫と社会学者の大澤真幸の対談。正直よくわからないところも多いのだけど、対談形式なのでわりとすんなり読めた。
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とても(めちゃくちゃ)いい本でした。ラストのほうでは、桐島、部活やめるってよの高校生たちと社会が対応させられていたりして、対談の結論にもぐっときて、泣いてしまいそうでした。「アメリカ、覇権やめるってよ」には噴き出してしまいました(笑)。
石原千秋さんの『打倒!センター試験国語』で資本主義についてはこちらの本を、とあったので手に取りました。
人類学、人類史的な視点で資本主義(西洋史における近代)が語られていて、かつ、対談はつねに人間への真摯な思いで満ちていて、非常に救われました。私は資本主義のもたらしたものの大半は嫌いで、どうもこのやり方には救いはないのではないかと、昔から懐疑的で、近年の社会状況ではその思いはどんどん強くなっていました。しかし、その資本主義に深く関わる人たち(大澤さんは社会学者ですが)も、資本主義は終わるとはっきり言われていて、そして逃げずにその先をどうするのかということを専門的に考えてくださっていて、すごく勇気が持てました。経済学者の方、エコノミストの方、ぜひこうしたことを考えて、行動に移すのは難しくとも、ともかく考えていってくださればと思いました。もちろん私達市民の一人ひとりも考え、逃げずにぶつかっていかなければならない問題です。猶予はおそらくあと十年ほどということですので、自分も、この十年で、みんながこの後の世界を生きられるような社会作りの下準備を、少なくとも自分のできる範囲ではきちんと終わらせなければならないと感じました。
非正規雇用者をこれだけかかえている日本ですが、非正規雇用の労働者がはたしてどれだけの貧困に実際にさらされているのかということは、それぞれの方にそれぞれの事情と状況があると思うので、全体像としてどうなるかということは私はイメージできません。しかし、正規雇用の若い労働者が、体や命を犠牲にして働いているのを非常に多く目にし、非正規雇用でも正規雇用でも、つらい人はつらい目にあっているのだろうという、全体として若い人の労働に対しては暗い気持ちがあります。
これからの時代(資本主義が終わってから)のシステムは、「自分の命や心を大切にしながら、可能な範囲で一生懸命働く」という生き方を、どうやったら多くの人が実現できるかということに深く関わってくると思います。今の時代は、人々、とくに若い人々が、あまりにも健康を犠牲にして働かされすぎています。
私自身(27才)は現在、非正規雇用で働いていて、疾病者で、嗜好品などはほとんど購入できない状態ですが、しかし、全く絶望感や不安感とは無縁で、幸せに生きさせて頂いています。一番の理由は、本書でも言及されていた「寂しさ」を感じずにすんでいるからだと思います。そして、周りの非正規雇用者たちを見回しても、絶望を感じて貧困のなかで生きている人がいるか、といえば、少なくとも私の周りではそうではありません。大人たちの、非正規雇用=不幸のような図式は、私達の世代には肌感覚としてはそこまで馴染んでいないかな、という印象も持っています。正社員として一生を過ごしたことがないために、非正規雇用で一生を過ごすとそれに比べてどうなるのか、���いうことが、まだあまりよくわかっていないからかもしれません(出産や育児など、多額の費用が必要となる人生のイベントを経験するのは、今の収入ではものすごく難しいのかもしれません)。しかしともかく、雇用は保証されていなくとも、職場での信頼関係があり、家族や友人との絆を感じられている限り、人はそこまで「不幸」になることは、できないのではないかと感じます。
しかし、私自身が今のように幸せな状態で社会に参加することができるようになるまでには、資本主義社会の生んだ様々な構造によって奪われた沢山のものと、それを取り返すためのあまりにも長い戦いの時間がありました。親世代と比べて、自分たちの世代のほうが多くのものを奪われている、という実感はあります。それはほとんどが、人間性や人との繋がりに関わる問題です。資本主義が終わって次のシステムが来たとき、私達若い世代が思うことはおそらく一つだと思います。人と人とがばらばらにならずに、きちんと他人を信頼し、信頼される関係を誰もがもてる社会、その実現が目指されると思います。
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水野和夫氏の言説が読みたくて手に取った。後半は完全に大澤真幸氏のペース(「食っちゃった」という感すら)。でも知的刺激に富んだまれに見る好対談と言える。
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インデックス投資家として、世界の成長ってのがどこまで続くのかが気になって手に取った一冊。正直なところ半分も理解出来なかったが、資本主義における経済成長ってのは、永遠に続くものではないのかな、という風には理解しました。
まあ当面は大丈夫かなとも思いますが、「桐島、部活やめるってよ」の引用話のところで、破綻は突如訪れるものというような話もあって、油断はならないのかも知れません。素人にタイミングが判断出来るわけありませんが、、、
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2013年刊。著者水野は埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授、大澤はフリーの社会学者。「100年デフレ」刊行時より注目する水野氏の論は個人的に新奇でないが、一貫した論に安心感。一方、主著未読の大澤氏は、水野と専攻は違うが、資本主義黎明期に相当する中世⇒近代への移行期、1970年頃の資本主義の変容期に造詣が深い。2人の論を切り結ばせる本書は、現代と将来の資本主義につき多面的把握を可能にするものと言えるだろう。◇ただ、大澤の、現代を不可能性の時代とする意味内容は本書では舌足らずか。◇日本の再分配機能は不全。
その意味は、課税の累進性につき所得1億円が負担比率の頂点。以上は比率が下落するらしい。「タックス・ヘイブン」でも同様の指摘あるので多分間違いない。この点は、もっと怒るべきだと思う。◇1000兆円の国家債務を民間の1000兆円弱の資産が担保しているのが日本の信用の源泉。だが、これをもし互いに打ち消し合うような事態になれば、国家による民間資産の収奪ではないか。という意味で脆弱な状況。◇単年度の財政均衡が継続して実現できていないのは、既存システムが経済・社会構造に適合していない証左というのは目から鱗。
◇その他諸々の視座・情報を貰えた良書である。◇EUあるいはその域内国の利子率の変遷は見てみたいところ。水野氏が重要視する指標であり、日米はともかく、EUに関してみれば、本書はそのさわりを述べるにとどまるからだ。
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【書きかけ】
書名と著者名で拒否反応を起こす人も(特に近代経済学を一通り学んだ人には)いると思うし私自身はちょっとしたきっかけで読んでみたが、一度考えてみてもよい問題ではある。博識とイメージで押し切るトンデモな面はあるだろうから気をつけたほうがいいが、そういう面を全く含まずに考えるのは難しい話だと思う。トンデモ本としての価値しかないと思う人は逐一説得的な反論を試みるべき。”正統な”経済学者も百家争鳴のなか大衆感覚では結局のところ長期停滞のままであるのは事実なのだから。
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チャーチル『資本主義は最悪のシステムだが、これ以上のものはない』
限界収益低減の法則、 数を重ねると満足度が下がる。→満足度のシェアをすれば、解決するのでは?パイをどんどん大きくすればよいのでは?
サモア 最後通帳ゲームは3割を切ると拒否されやすい。 利子率革命 ウェストファリア条約 三十年戦争を終結させた世界最初の大規模講和条約
→17世紀のドイツを中心として起こった宗教戦争です。
荒廃するドイツにおいて、争いの渦中にいなかったプロイセンが台頭してきた。
→家康?
1618年から1648年まで、三十年間にわたって繰り広げられたため、こう呼ばれています。
中世ヨーロッパ 利子悪いのは神の時間に利子をつけるから。高利貸し ウスラ 金利はラテン語で「ウスラ(USURA)」と言う。もともとはあらゆる金利を含む概念だったが、中世の教父たちや教会法が「与える以上に受け取ること」と定義したことで、「正当でない」金利という意味を持った
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【由来】
・「プーチン最後の聖戦」からの「グリーンスパン」からのイギリス関連本からの「グローバリズム掲載」からの水野和夫検索@amazon。
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
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p.21 水野:古代・中世・近代を通じての普遍的原理は蒐集(コレクション)であり、そのうち最も効率的なのが資本主義だと理解している。
p.38 水野:16世紀イタリアでのジェノヴァで金利2%を下回る時代が11年続いた。利子率革命と言っている。超低金利のもとで投資機会がもはやない。山の上までワイン畑とか、建築物とか。
p.65 水野:不足する食糧を獲得するための土地を「新大陸」に求めたというのが一番納得のいく説明。
p.84 大澤:煉獄とは、地獄行きが猶予される待合室。金貸しが死ぬと、煉獄に送られ、その間に遺族が教会に寄付などの善行を積むと、罪が浄化される。安心して利子を取ることができるようになった。
途中まではおもしろいが、やはり、どう生きるかは中途半端な対談に終わっている。
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資本主義の定義、歴史、現代での位置付け
・長い16世紀
利子、法人の概念の発展と宗教の役割(キリスト教の抵抗)
法人の概念により複数世代に渡る永続的な投資が可能に→イギリスの海洋権益拡大
スペインが陸を支配しようとしたのに対してイギリスは海(貿易)を支配→資本主義的支配
中国の明も航海を行ったが資本主義がなかったためアフリカ等の支配には至らなかった
オランダは固定資本で海洋拡大したがイギリスは事業ごとの資本調達→永続性
・現代
現代における資本主義の限界と永続可能性
ゼロ成長社会が示唆すること、その捉え方
「桐島部活やめるってよ」が現代社会において意味すること
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ざざざざーっとみただけだが、やはり対談本でお勉強するのは難しいという印象。ファン向けではないだろうか。
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資本主義の来歴と、それが現在陥っている問題、そして資本主義の後にやってくる時代の展望について、エコノミストの水野和夫と社会学者の大澤真幸が語っています。
おおむね大澤がみずからの立場を示しながら水野の考えをたずねるというかたちで議論が進められており、とくに後半ではそうした傾向を強く感じました。ただし資本主義の形成について語りあっているところでは、「蒐集」というキーワードを用いて資本主義の形成から現代の状況までをつらぬく本質を見ようとする水野に対して、大澤が資本主義の形成が世界史において逆説的な性格をもっていることを強調するなど、意見の対立が見られます。ただし、両者ともみずからの立場を提示するにとどまっており、対決にいたることは回避されています。本書の目的が、サブタイトルの示すように「「成長なき時代」をどう生きるか」ということであり、あまりこうした対立点にこだわってもしかたがないという判断なのかもしれませんが、個人的には大澤の世界史のとらえかたを実証的な観点から検証するような試みがあってもよいのではないかという気がします。
大澤独自の世界史の見方は興味深いものですが、こうして水野の議論と対照させてみると、やはりアクロバティックなもののように見えてしまいます。理論社会学の観点に立つ大澤と、文明論的な視座から資本主義を理解しようとする水野の観点のちがいが闡明に現われているように感じました。
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資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
(和書)2013年10月14日 00:37
水野 和夫, 大澤 真幸 NHK出版 2013年2月7日
格差を絶えず付け続ける運動が資本主義である。
それに対し格差を解消することを目指す平等と平和の哲学がある。
資本主義の中から格差を解消する対抗運動が生まれることは考えづらい。それは資本主義自体が格差をつくる永久運動としてしか存在意義がないからである。やはり理念を明確に持つことが不可欠であると思う。
〈理念)=〈格差の解消としての平等と平和の運動又はシステム〉
柄谷行人さんの交換様式がカール・ポランニーから来ていることを知った。互酬性、再分配、商品交換である。第四象限は格差の解消を目指すものである。そしてこういった象限による様式はプルードンから来ていることは知っていた。柄谷さんはこういったことを踏まえた上で格差の論理である〈資本主義=国家=ネーション〉に対し明確にそれらのつくる格差を解消しようとする平等であり平和の理念を示している。
この本の資本主義への対抗運動の論理には物足りなさを感じたがそれを補う意味でノーム・チョムスキーや柄谷行人が有益でした。
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「資本主義」の根源的な発生にまで遡って対談する本書の内容には、ちょっと衝撃を覚えた。果たして「資本主義の終焉」が来るのだろうか。
本書は歴史解釈の本かとも思うが、こう言う視点もあるのかと新鮮に思える。
「資本主義は限られた割合の人にしか成立し得ない」「15%対85%」とは驚きつつも納得の思いも持つ。確かに世界中のすべての国が先進国に到達する風景は想像し難い。そもそもエネルギーも環境も持たないだろう。
16世紀のイギリスの歴史から「新興国が先進国に追いつくとデフレが始まる」とは衝撃、これは法則として成立するのだろうか。いろいろと考えさせられた。
本書は2013年の発行だが、時が過ぎた現在でこそ説得力をもつ内容だと思えた。