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東海道四谷怪談の焼き直しです。歌舞伎で有名なお岩さんですな。うわーもんのすごくツボでした。お江戸言葉が(そこかよ
町人と武家の言葉が綺麗に書き分けてあって、かつ台詞まわしは美しく、描写も流麗。
物語は訥々と進み、ぞくりと背筋を震わせる結末。
小説を楽しむにはストーリーが面白いのは勿論ですが、その背景の「空気」が感じ取れる描写、文章が大事と考えます。特に現代モノではない、時代小説や非現実世界を扱うファンタジーやSFについては。
現代日本ではないお江戸という街の空気が深々と伝わってくる感じ。行灯も灯さない(貧乏だから)長屋の、暗い闇に沈む部屋。
舗装道路なんか勿論ない砂利の路や草の生い茂る川端、ココではない違う世界に、あたりまえに生きるキャラクター達の世界を、自然に書ききる描写力が素晴らしいです。
お江戸文化フェチの久弥にはたまらなくツボでした。うっとり。
京極夏彦を誤解してたかも。「姑獲鳥の夏」が駄目だったのでこの作家は駄目かな・・・と思ってましたんでした。失敗〜。
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すれ違い続ける二人が、とてもじれったい。読んでいる最中、岩が常に僕を苛々させていました。岩は、「ああ、駄目だ。それをしちゃいけないよ」とこちらが思っていることを見事にやってのけてくれます。人間の汚さと綺麗さがやけに目に付くお話。
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酷く哀しい話だった。
私は「東海道四谷怪談」というものを名前ぐらいは聞いたことはあるものの全くと言って良いほど知らなかった。「お岩さん」もお化け屋敷に出てくる左眼が潰れた女性の事か、というぐらいでむしろあのお化け、お岩さんって言うんだ、ぐらいだった。
そんな私にとってこの小説は斬新かつ強烈だった。もしかしたら四谷怪談を知らなかったからこそ深く感動したのかもしれない。
疱瘡を患い醜女となっても強く生きる、岩といつも冷静で少しも笑わない伊右衛門が夫婦となったとき愛情と憎悪が数々の人物を渦巻いて陰惨な事件へと展開していく。
初めカバーの粗筋に「傑作怪談」と記されていたので、怪談なのに愛憎物語?と全く内容を予測出来なかった。しかし読み進めるうちに見事に京極夏彦の、いや岩と伊右衛門の世界へと引きずり込まれていった。
まずキャラクターが良い。どの人物も人間味があって面白い。登場する自分物皆が事件の一端を担っていて彼らはちゃんと物語の中で生きているのだという実感がもてるし感情移入ができる。悪徳非道の伊東喜兵衛にすらその生き方に考えさせられてしまう。
私の好きな人物は伊右衛門と又市である。特に又市は京極さんの他の作品にも登場する重要なキャラクターで興味深い。伊右衛門は生真面目で世の中が分からないでもないくせに頑として笑わない優しい不器用さに惹かれた。不器用故に上手く伝えられない愛情を命をかけて貫き通す静かな激情がこの作品から確かに伝わってくる。
ラストのシーンでは伊右衛門の岩への想いが強烈に描かれていて私は凄く哀しかった。これは読む価値あり。傑作。
粗筋と解説は本筋から逸れているようで少し遺憾だ。なぜ岩と伊右衛門の事を書かない!?そんなに直助とお袖が好きか?
2004/11/05 (Fri)
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初めて手にした京極作品です。最初、慣れない文体と漢字の読みに手惑いましたが、慣れるほどに引き込まれてしまい、いろんな意味でおもしろい作品でした。伊右衛門とお岩の実は思い合いながらも、現実にはすれ違うばかりの愛が痛かった。登場人物もそれぞれに魅力的で絡みがおもしろく、もとある「四谷怪談」を知ってる人も知らない人も楽しめる、深い一作です。
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美しいものはどこか哀しく怖ろしい。すれ違うようでいて本当は確かに結びついていた心と心。切ない余韻がいつまでも残る。……映画に連動したカヴァの刷新、こいつはいただけない。あの紙張り子の美しいカヴァに戻して欲しいものだ。今回は、あえてジャンルを「ロマンス」にしてみたり。
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有名な四谷怪談をモチーフにして描いた作品。
本当の四谷怪談は、ろくでもない男の伊右衛門のせいで死んでしまったお岩が化けて出て伊右衛門に復讐するという怖い話ですが、この作品では二人が愛し合っています。
愛し合う二人に次々に襲い掛かる不幸、悲しい愛の形が描かれています。
是非に!!とはいいませんが、読んで損はないと思います。
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京極夏彦こうくるか。お岩は醜いけれどうつくしい。ちなみに映画バージョンじゃない表紙のやつを持ってます。それのお岩が好き。
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斬新でとてもかわいいお岩さん。
伊右衛門も無口でかっこいい。
怖い話ではなく、愛の物語だと思う。
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表紙の画像が、実際あたしの手元にある実物と異なるんですが…(汗)古典調の文章で少々読みにくいといえど、意味がわからないという程でもなく、時代物の雰囲気がよく出ていたと思います。(20050816)
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最高です(四谷怪談の中ではっと言っても良く知りませんが)最後の方はよく分からないけど伊右衛門が素晴しい。純愛ですな
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四谷怪談京極夏彦バージョン。今でこそお岩様は強烈な祟りの象徴となっているけど、実際はこういう話だったのではないかと思わせる。岩と伊右衛門の恋愛小説(いっそ純愛と呼んでも良いと思う)。
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疱瘡を病み、姿崩れても、なお凛として正しさを失わぬ女、岩。娘・岩を不憫に思うと共に、お家断絶を憂う父・民谷又左衛門。そして、その民谷家へ婿入りすることになった、ついぞ笑ったことなぞない生真面目な浪人・伊右衛門──。渦巻く数々の陰惨な事件の果てに明らかになる、全てを飲み込むほどの情念とは──!?愛と憎、美と醜、正気と狂気、此岸と彼岸の間に滲む江戸の闇を切り取り、お岩と伊右衛門の物語を、怪しく美しく蘇らせる。四世鶴屋南北『東海道四谷怪談』に並ぶ、著者渾身の傑作怪談!
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映画を見て、ぜひ原作を読みたいと思って手にした本。映像では描ききれない哀しい世界に出会えた。映像の印象が深層にあるとより楽しめる気もする。というわけで”先に映画を見てから”もお奨めです。
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怪談にオリジナリティを加えて書いた話。「お岩さん」やね。
俺はこの話の元ネタ知らんのだけど、まあそういうのは全然関係なく楽しめた。怪談業界でいってもなかなか目新しい設定だったらしいけど、うん。面白い。
方向性はいいんです。不気味で、得体が知れない。でも、オチがどうもねえ。なんだかテンテコマイで終わったような感じだった。
岩と按摩と直助の密談あたりが一番面白かった。
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四谷怪談で有名なお話を京極さんがアレンジしたものなのですがもう、純愛ですよ(笑
いつも「愛」と名の付く物は余り手に取らないのですが、知人の推薦で騙されたと思って読んだら良かったです。
他の京極作品とは一味も二味も違うし、他のものと違い薄いので、京極導入にもどうでしょうか。