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泥臭い、人間臭い、プロレタリア文学、私小説、人間の根源。
普段目を覆っている面を、大雨の中で風呂敷にぶちまけたような爽快感。
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短編4つ全部重くて暗かった・・・。土着的な雰囲気は全体的にどうしても馴染めなくて、家族や世間への複雑な感情もなかなか掴めなかったんだけど、他人への距離感は「蝸牛」がぼくにはちょうど良く感じて面白く読めた。
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閉ざされた現代文学に巨大な可能性を切り拓いた、時代の旗手の第一創作集——故郷の森で生きる少年たち、都会に住む若者のよる辺ない真情などを捉え、新文学世代の誕生を告知した出発の書!
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読了。貧しさと差別とコンプレックスが吹きだまる路地は都会にも地方にも、昔も今も、存在し続ける。それが見えるか見えないかは、何を見ようとするか、知ろうとするか、ただそれだけ。
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新聞配達をしている浪人生の、行き場のない鬱屈した思いが全編に満ちているような話しだった。
ただ、この主人公の生活自体、それほど悲惨なものだとは思わない。本当に生きることにも窮している状態であれば、これほど暗澹とした気分にもならないのだろう。生きていくことは出来ているにもかかわらず、先が見えず、希望がない状態だから周りのすべてに怒りをぶつけたいような気分になる。
その意味では、この話しの舞台となっている時代よりも、現代のほうがより、生きていくことは出来ても希望がない、という状態は起こりやすい環境なんじゃないかと思う。
ぼくは十九歳だった。予備校生だった。他の予備校生のように仕事をしてかせぐ必要もなく、一日中自分の部屋にいて自分だけの自由な時間があればどんなによいだろうか。絶望だ、ぜつぼうだ、希望など、この生活の中にはひとかけらもない。(p.84)
ぼくは声を出して笑った。そうなんだよ、あんまり有頂天になって生きてもらっては困るのだよ。世間にはおまえたちが忘れてしまったものがいっぱいあって、いつでもおまえたちの寝首をかこうとしているのだからな。(p.101)
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非常に荒々しくて、熱い。
刺々しい熱量みたいなものに、ずっと晒されていた感じの読後感。
ちょっと疲れる感じはするけれど、何故か読み進めてしまう。
そんな不思議な魅力を持つ一冊です。
夏を振り返りたくなるような、今の季節に是非。