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やっぱ萩尾先生は神だわ~。スゴすぎてあたまおかしくなりそうになるわ。
イグアナの娘、最初読んだときは「お母さんイグアナだったんか。あ、そう」だったんだけど、二回目読んだらお母さん可哀想で泣けたよ。美容整形の暗喩? とか思ったけど、そういうわけじゃないんだよな。親または子を愛したいけど愛せない親子関係全体のお話なんだって思ったら、すごい不幸で切実だった。周囲に当然出来ると思われている(自分もそう思っている)ことがどうしても出来ないなんてね…
あとのお話はやっぱり表題作に比べるといまいち。受験生の男の子が喫茶店に住み込む話は読み込んでいくうちに登場人物の印象が逆転するのがよかったけど、終わり方が微妙だったなぁ。
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思わず泣いてしまいました。他の作品も、人間の、深い(ドロドロした感じではなく、他の人にはわからないけど本人にとってはとても深刻といったような)感情的な部分に触れていて、大変おもしろかったです。お気に入りの本です。
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大傑作「イグアナの娘」は、決して奇蹟のようにポツンと存在を始めた作品ではない、ということが解る一冊。
親子に生じるあれやこれやを、母視点、娘視点、さらに母と子に挟まれた世代視点、きょうだいの存在、男視点、女視点、老若男女なるべく多くの方角から多層的に描き・重ねている。
ピンク・フロイドの「狂気 DARK SIDE OF THE MOON」のジャケ写よりももっと多方面から、ブラックボックスに光を当てて、当て直して、当て直し続けて、毎回どういうプリズムが出るか吟味している、という感じ。
で、たぶん結論としては地味なところに落ち着く。
歳を重ねたからこそ判ることがある・見えるものがある、と。
あるいは萩尾先生にとってもその年齢にならなければ描けなかった作品群なんだろう。
渦中にあってはどうしようもなかった物事に、別の場所で基地作りした後で再度直面する。
ここには時間の流れがある。
親との和解は、渦中においては困難で、時間差で、可能の兆しが見える。
これは年齢差ゆえ仕方ないことだが、往々にして手遅れになりがち。
と「シン・エヴァ」後の身として、平凡なことも恐れずに書いてみる。
■イグアナの娘 50p
私の世代だと菅野美穂主演のテレビドラマのインパクトが強い。
が、原作の凄まじさはまた一層で、コミカルなタッチだからこその恐さが、ちょっと度を越している。
思春期に読んだときは完全に子供の視点で親を見ていたが、今回見てみると、序盤はむしろ母親視点で進むので、少し驚く。
途中で娘視点になり、娘が成長し母になり、後半が前半と対になる形で描かれ……と時間の経過があり、むしろそこが大事なんだな、と。
■帰ってくる子 24p
漫画ならでは、映像ならでは、いや小説でもあるかな、な醍醐味。
それは、ある存在が誰に見えて誰に見合ないのか、という設定。
なんでも初出は井上雅彦監修「チャイルドー異形コレクション7」らしく、あのアンソロジーの中でこれを出すとは、いい仕事をするな! と。
実際私はヒデが心の底から叫ぶ場面で、不覚にもぐっときてしまった。
■カタルシス 40p
この作品を読むあたりで気づいたのが、この本全体として、「ごく普通の人」が描かれているということ。
おそらく萩尾先生が、天才や選ばれし美形を主役にしたら「自分が救われない」から、と決めたんではなかろうか。
ロボットみたいな自分を変えようとし、一歩踏み出し、しかし何もかもが改善したわけではないまま生活が続く、という真理もここには描かれている。
■午後の日射し 50p
一時期の近藤ようこが描いていそうな題材。
ザ・昼ドラ。
■学校へ行くクスリ 40p
コミカルだがまっとうな成長譚・ジュブナイル。
周囲の人物が変に見えるだけでなく話している言葉がバグったよう、という描写が面白い。
また単純に絵柄の話だが、この時期に萩尾先生が描いている少女も可愛いな~、と花だらけのマユミを見て思った。
■友人K 8p
全ページ横一段ブチヌキという実験的なコマ割り。
萩尾作品でこういう人物が視点人物��据えられるのは少し珍しいかも。
◇エッセイ―どこまでも、いく:江國香織(作家) 4p
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正月2日オンエア『100分de萩尾望都』を視て再読。
表題作ラストのコマに描かれたトカゲが文庫サイズだとひときわ小さい。
併録作品、どれも心に刺さる。
『午後の日射し』、萩尾先生は中年主婦の心の傾斜まで活写してしまう。掲載誌はビッグゴールド。なるほど。
『学校へ行くクスリ』、こういう心の病をヴィジュアルで見せる手法は、手塚治虫『火の鳥・復活編』が嚆矢なのだろうか。まさにマンガならではの切り口だ。
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表題作をはじめ短編6作品を収録しています。
「イグアナの娘」は、青島リカと妹のマミの物語です。二人の母親のゆみこには、リカがトカゲのように見えてしまい、彼女に愛情を注ぐことができません。そんな家庭で愛を受けることなくそだったリカは、いつしか人間のなかで一匹のイグアナとして一生をおくることを受け入れるようになっていきます。
ほかに「帰ってくる子」や「カタルシス」など、親子愛のもつれやゆがみをえがいた作品、「午後の日射し」のように夫への愛をうしなってしまった女性を主題とした作品などが収録されています。
「イグアナの娘」や「学校へ行くクスリ」は、登場人物のすがたが変化して見えてしまうという設定になっており、マンガならではの寓意的な表現を駆使して人間関係の機微をえがきとっています。
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少女漫画は全然通ってこなかった世界だけど、
評判通り、読んだら面白かった。
なるほど。これが「少女漫画の神様」か。
タイトルの話だけでなく、他のも、
心理描写がクセになる感じです。
王子様は出てこないし、余韻の残る終わり方。
何回でも読みたくなります。
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全ての作品が傑作!
「イグアナの娘」…ドラマで有名だけど読んだら全然印象と違うから驚いた!
「帰ってくる子」…大切な存在を失った人たちの想いが詰まった話!
「カタルシス」…息苦しい場所から深呼吸できる自分らしさをみつけることの大切さを知る切ない話!
「午後の陽射し」…他人同士が夫婦になる、当たり前ではないことを知る瞬間を大切に!
「学校へ行くクスリ」…自分が自分であることを知るって難しい〜あいての心をしりたくなるけど知る必要はないよね!
「友人K」…気にしなくてよいのに気になる存在ってあるね。相手も絶対気になるはず!
全てが当たり前を疑わせるお話!
すごいな〜
ぜひ〜