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「秋の牢獄」、「神家没落」、「幻は夜に成長する」の3編を収録。
妄想癖を刺激されました。
自分がこの世界に放りこまれたらどうするかなとか想像するだけで脳汁出まくりです。最初はこんな世界に放りこまれてみたいと思うんだけど、色々想像すると最後は怖い妄想へと行き着くんですよね。
読み物としてはもう少し味付けをしてもいいのではと思ったけど、これぐらいのあっさりした感じに仕上げたのは読んだ人が勝手な妄想して遊ぶ為なのかなとか思いました。
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角川ホラー ですが恒川 光太郎はホラーではないです。
「神家没落」の最初のほうがとても古めかしく美しい。
一番好きなお話です。
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「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の三作。この方の作品は前に「夜市」を読んだことがあるけどそのときもおもったこと、ホラーと言うよりファンタジー。解説が坂木司さん。解説も好き。
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恒川さん2冊目
夜市と比べてしまうと「あれ?」と思うところもあるけど、この人の作品や文章の雰囲気は好きだなと実感。
短編が3作収録されてるけど、解説まで含めて一冊の本だと思う。
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「囚われる」ということは恐怖であると同時に、実は安寧を齎すものなのかもしれない。
風が淀むように、水が濁るように、やがては朽ち果てていくとしても囚われるということは、ある意味ではとても幸せでもあると錯覚してしまう。
そんな人間の心理の一片が垣間見えた。
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短編集。「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の三篇で構成されている。
「秋の牢獄」は、同じ設定という理由で、どうしても北村薫の「ターン」と比べてしまった。
「ターン」では、異世界に迷いこんだ主人公の戸惑いや、前へ進む強かさ、そして希望が丁寧に描れていた。だからこそ、それらの描写があっさりし過ぎているこの作品に物足りなさを感じた。
そう考えると、他の作品も、異世界に入ったときの焦りや不安といった感情が極めて簡素に扱われていて、登場人物の何れもが、いたって普通に異世界を受け入れていた。
子供ならそれでも解る。でも若者以上の大人に同じ対応をされると凄い違和感を感じてしまって、それが終始つきまとった。
そのために、「縛り、囚われ」といった一連のテーマに厚みを感じられなかった。
「縛り」の強さ、対する苦悩やジレンマといったものが、「縛り」から抜け出すための力や希望にかわり、いざ解放された時に抱く悦びと一握りの喪失感を生み出すと思う。
残念ながらこの本からはそれらを感じなかった。
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「秋の牢獄」
「神家没落」
「幻は夜に成長する」
それぞれが囚われの短編集。
ファンタジーのような
お伽話のような
独特な不気味さを醸す世界。
季節が彩る風景の
温度や色までも感じられる
美しい描写は
毎度ながらホントお見事。
その美しい景色に囲まれて
いつの間にか
その世界に迷い込んでしまう。
叫ぶような恐怖感では
ないけれど
淡々とした
抑揚のない文体が
じわりじわりと沁みてくる。
自分だったらどうなのか
逃げ出したいような
留まりたいような
なんとなく自問自答しつつも
ふらふらと。
そして
どの物語も
ぼんやりと曖昧なラストで
彼らのそれからを
すっかり委ねられてしまう。
それがまた
得体のしれない余韻となって
漂い続けるのが、ヤナ感じ。
美妙な世界と
生臭い人間性の
コラボレーションを
しっかりと味わい尽くしたい。
癒されないけどマイナスイオン。
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“閉じ込められる”がテーマの3編。
閉じ込められたときの絶望から、自由を手にした瞬間に人は何を思うか…
それぞれに全然違う描き方をしていて面白かったです。
私は表題作の秋の牢獄が、読後感も良くて好きだったけど、人によっては全然違う捉え方をするんだろうな。
恒川さんの作品は、異世界への入り口がいつも日常のすぐ隣にあって怖い。
読み終わったあとも、その名残に繋がるものがそこかしこにあっていつまでも後をひきます。
でも本当に怖いのは人間。
読み始めは、不思議な世界に紛れてしまう恐怖を描いてるのかと思ったのに、いつの間にか登場人物たちに恐怖してる。
やめられないよ恒川ワールド。
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知り合いの方から、あなたにぜひと薦められて読んでみた。
なにより、一つ一つの文章が美しい。
牢獄という言葉を名に冠する通り、退廃的に崩れ朽ちていくお話の短篇集なのに、どうしてこんなにも瑞々しい、優しい言葉で書けるのか。
恒川さんの本を読むのは初めてだが、一目惚れしてしまった。早速、次を読んでみたい。
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いいですね!恒川ワールド。他に類を見ない幻想の世界。詩的で夢を見ているようなけだるい心地よさ。読後も時折ふっとこの感覚が蘇るのです。中編3編ですが、私は表題作が一番好みでした。家に囚われる話は何かの隠喩のようにも読めます。
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「角川ホラー文庫」から出ている上に、タイトルの「秋の牢獄」の“獄”の字の禍々しさからホラー小説と思ってましたが、読後の感想としては「幻想小説」と言った方がしっくり来ます。
3つの作品からなる本ですが、どれも淡い色彩をもって描かれる世界をイメージさせられ、昔読んだ海外のファンタジー小説 ー初期のハヤカワファンタジー文庫あたり?ー を連想させるような雰囲気をもっていると感じました。
そして淡い色彩感と切ない空気感を孕んだ内容には、晩秋の枯れ行く様、終焉に向かう様を想起させられ、この寒い季節に一人部屋の中で読了するにはキッツイものがありました。
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恒川光太郎2冊目。短編3本収録されています。読んでいくうちに自分もその世界に迷い込んだ気がします。2作目がお気に入り。
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この作品は、きっと人生を言っているのだろうと思った。
1人1人世界は違ってて、自分が主人公なんだからゲームのように選べるし進むことができる。
そして毎日を繰り返すというのは死を指していて、明日が来ない悲しさがあると。
人は毎日好きなことだけをして生きるのは難しくて、誰かの為に我慢したり…。
でも人生って本当に一度きりなのだから、やりたいことがある人は今からでも、自分がやろうと思えば何でもできるんだよと言っているような気がした。
そして文章が美しいと思った。
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「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」と中編が3つ。『夜市』が面白かったことと、表紙に惹かれて。
秋の牢獄
…「同じ1日を繰り返す者:リプレイヤー」になってしまった少女。
神家没落
…ある特定の地域に特定の日時になると現れる不思議な家。
幻は夜に成長する
…彼女は想像したものを幻として相手に見せることができた。
どれも「秋」(季節としても・退廃的で寂しい感じとしても)に「閉じ込められてしまった」を共通テーマとした話でした。読んでいる時はどれも文章が素晴らしく読みやすく面白いので、楽しめていたのですが、いざ読み終わってレビューを書くと「幻は夜に成長する」の印象が強すぎて強すぎて…。
夜市もですが、怖くて不気味で美しくて儚いという独特の雰囲気が貫かれていて好きです。後味はというとあまり良くないのだけれど。
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『夜市』で作者の描く異世界に惚れ読んでみましたが
(あと確か買った当時繰り返しものにハマっていたような)、
そちらよりは幻想度が薄いというか、どちらかというと
人間の恐ろしさの方が際立っていました。
幽霊より生きている人間の方が……みたいな。
時間的・空間的・物理的(精神的?)に閉じ込められる
という発想が面白かったです。
3編の中では『神家没落』が『夜市』の雰囲気に近くて好きです。
出られなくても仙人っぽくなれるなら、ちょっと住んでみたいかも。
こんな欲を持ってちゃ辿り着けなさそうですが^^;
『秋』での犬飼さんと奥さん、『幻』でのリオの最後の
シーンといった、静かに狂っている感じが恐ろしくもあり
面白くもありました。