紙の本
分かりやすい
2020/12/28 23:43
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投稿者:きなこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユダヤ人・ユダヤ教について知りたいと思っても、なかなか分かりやすい一冊というのは見つからないのですが、この本はユダヤ人について知りたいけど何を取っ掛かりにして知っていったらいいかわからない、という人でも読みやすく理解しやすい本だと思います。
紙の本
コンパクトな入門書
2012/12/28 22:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sursum - この投稿者のレビュー一覧を見る
短い内容でこれだけ充実した記述ができるのは驚異的。
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様々な国の様々な国籍の人達の中に存在するユダヤ人たち。そんななか、ともすれば希薄になってしまいそうなそのユダヤ人としてのアイデンティティーを、当人たちはとても強く持ち続けてる。
それがすごく、羨ましく思えました。
自分や自分の祖先のルーツがどこにあるか語れる日本人は、そう多くはないのではないでしょうか。
そんなユダヤ人をユダヤ人たらしめる歴史を、主観を省き淡々と述べているのが本書。
とても分りやすく簡潔に書かれているのですが、エンターテイメントを目的とはしていないので、予備知識がなく、正直なところ興味もあまりない自分には、読んでいて退屈に思える部分もいくらかありました。
それでも大半は興味深く読め、何度も消えてしまいそうになりながらもついに国家を形成するにまで至ったその経過。宗教の違いという理由で始まる差別と、改宗してもなお当然のようにその差別が続くさま。各時代での、国家単位でのユダヤ人に対しての対応など、色々と考えさせられることがいっぱいでした。
あまり深く掘り下げられてはいませんでしたが、イスラエル建国にあたって「言語の復活」という他に例のない現象がみられたということが、一番印象に残った部分でした。
広くグローバル化が叫ばれるなかで、言語が民族や自己に与え、及ぼす影響とはいったいどんなものなのでしょうか。
自分が自分であることとはなにか。日本人が、日本人であることとは。
ユダヤ人の歴史は小さな自分の中にひそむ物語であり、大きな世界を表す縮図のようなものでもあるのではないかと思います。
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ディアスポラやホロコーストなどで”虐げられること”を嫌というほど経験しているはずなのに、パレスティナの人々を虐げているイスラエル。なんとかならないものなのか…。
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一回目読了。
一回ではちょっと理解できなかった。けど、多分かなり分かりやすく書いてあると思います。
私に、専門用語や地理、歴史などの知識があまりにも乏しいため、読み進むとだんだんわからなくなっていくような感じがしました。それでももう一回読んだらよく分かるような気がしています。
今のところ、まだ「なんでそんなに異端扱いされてきたのか」というところがピンと来ていません。
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米国在住のユダヤ人でラビである著者が、ユダヤ人の歴史を、旧約聖書の出エジプトから20世紀の終わりまで概観している。パレスチナだけでなく、中東やヨーロッパを含む世界中のディアスポラ社会の変遷を辿っている。体系的で読み易く、断片的な知識を整理するのに大変役立った。建国後のアラブ諸国との確執についても、変にイスラエルびいきではなく、冷静中立な筆致で好感が持てた。入門書として、教科書としてお勧めできる。ヘブライ語についてのコラムが興味深かった。
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ブルックリンにあるハシディックのユダヤ教徒のツアーに参加し、改めてユダヤ人の歴史を知る必要があると思った。
ツアーの中で何度もトーラ(モーセ五書)が話題になったのだが、自分の勉強不足で知識が追い付かない。
モーセの十戒や旧約聖書のことはおぼろげに理解しているのだが、体系立てて理解ができていない。
本著はユダヤ人の起原から現代まで約三千年以上に亘る通史を入門書的に著したものなのでとても分かりやすい。
ユダヤ人は世界各地に拡散しているのだが、例えば、何故、ロシア東欧にあれだけの移住が起こったか、歴史を追うとその背景がよく理解できる。
ユダヤ人の歴史は迫害の連続で、途中、読むのも辛くなる程の内容なのだが、それを背負ったユダヤ人のアイデンティティは我々には計り知れない強さがあるのだろう。
民族のもつアイデンティとそれ故のコンフリクト、これは単にユダヤ人だけの問題でなく、現在も世界中で起こっていることである。ユダヤ人の歴史を学ぶことは、それらの問題に向う意識の基礎を学ぶことなのかもしれない。
以下引用~
・(「トーラー」に関して)ある部分民族的アイデンティそのものを宗教にしてしまったのである。この創作こそ、今日に至るまで、ユダヤ人のアイデンティティとユダヤ人の宗教の大きな特徴となっている。
・封建制度のもとユダヤ人が土地を所有することはめったになく、仮にあったとしてもやがては奪われる運命にあった。この特異な地位は、ヨーロッパの民衆とユダヤ人の社会的、経済的な立場の違いの根幹をなすものであった。そして、それに宗教的異質性が加わり、一般民衆が安定した生活を送れた良い時代においては嫌悪、悪い時代においては憎しみの対象となった。
・十字軍の活動とともに始まったユダヤ人迫害の波は中央ヨーロッパのユダヤ人を東のポーランドやリトアニアのほうへ追い立てた。東の国々の支配者たちがユダヤ人を喜んで迎え入れた事実も見逃せない。オスマン帝国のスルタンがセファルディムの持つ高度な知識と技能、国際的なビジネスネットワークに目を付け、自国の領土に移住することを奨めたのと同じような理由で、ポーランドの王や貴族はアシュケナジムを彼らの領土に招いた。
・ドイツにいたときからユダヤ人の話すドイツ語にはヘブライ語の要素が交じっていたが、東ヨーロッパに来てからはそれにスラブ語の要素が加わり、元のドイツ語とはかなり異なるものになってきた。これがイディシュと呼ばれる言葉である。
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少数民族は、国家において、景気・環境が良い時は人権が確保される。一方で、景気・環境が悪くなったときは、嫌悪の対象となり差別的な扱いを受けることを大原則として話を読み解く。
ユダヤ国家誕生の地はイスラエル。エジプト文明とメソポタミア文明という二つの大きな勢力に挟まれた小国であった。国として成り立っていたのは、BC1000ダビデ王が国家統一し、BC500頃にバビロニア人に滅ぼされるまでの間のみである。その後は、ギリシャ、ローマ、ペルシャ帝国、イスラム教、キリスト教、オスマントルコ帝国など大国の盛衰に多大な影響を受けながら、世界各地に分散して定住する。
世界各地で少数派、異教徒であったユダヤ人は土地を所有する権利がなかった。そのため、農業以外で稼ぐ術を考えなければならず、金融、貿易などに強くなったと考えられる。
ユダヤ教にとって良かった出来事、悪かった出来事を以下に列挙する。
良かった出来事
神学中心→資本主義(知的活動)への社会の流れ
自由の国アメリカ
30年戦争、、独立戦争(戦費調達で活躍)
ナポレオン
オスマン帝国(繁栄期)
イスラム教(繁栄期)
ペルシャ帝国(繁栄期)
悪かった出来事(基本的には、環境悪化→市民の心底にある差別意識が爆発の流れ)
ドイツWWIの敗北
赤色恐慌
ペストの流行
ナポレオンの死
バビロニア人の侵略
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ふとしたことからユダヤ人とは?と思い購入した一冊。3000年の歴史を一冊で読もうというのだから無謀な話です。キリスト教と世界史がわかっていないとなかなか理解が出来ません。島国に生まれ育って国籍と人種が同一だとぼんやり思っていたので流浪の民の今日までの道のり複雑さに胸が打たれた。今、世界を動かしているのはユダヤ人だとも聞いた。土地はないけど賢い頭脳とマネーがありユダヤ教を信じて歩んできた結果なのか。おぼろげながら何かがわかったような気がして今後のパレスチナやエルサレムの問題を見守っていこうと思う。
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人とは何か、世界とは何か、という二つの問いへの探求が、つまり自分の中への疑問と、外への疑問が、あらゆるモチベーションであり、芸術や運動や科学であるし、どちらの問いに依存するか、というのが、理系か文系か、というような糞脳野郎の分類よりも、正しい選り分けに思うのだけど、僕はそのどちらにも興味が尽きず、で、じゃあ、人への問いへの探求の、究極は、詩と歴史とのあたりにありそうだというのが、最近勝手に思ってることで。
民族の共有する物語を宗教とするなら、イスラエル建国に、大政奉還を重ねて考えてみたりしたくなるのだけど。
まぁ、とにかく、今の世界情勢のひとつがわかりやすくなる本でした。
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[関連リンク]
「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』 - HONZ: http://honz.jp/17512
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アウシュビッツに行き、ユダヤ人に興味が出て読んだ本。何千年もの大きな歴史が一つのうねりとして書かれているので分かりやすい。
キリスト、イスラム、ユダヤの関係もどういった経緯で現在のようになっているのかがわかってスッキリした。
ユダヤ人が歴史の中で様々な要因で迫害されているが、どういった要素、社会的状況や文化の違いなどが人間に迫害や差別を引き起こすのかも興味深かった。
迫害の歴史の中でのユダヤ人の言葉「財産や、土地、社会的地位、を奪われても知識だけは奪えない」という言葉がかっこいい。
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シェイクスピアのヴェニスの商人を読んだことがきっかけで、なぜユダヤ人がその歴史の中で迫害され続けてきたのか興味を持ち本書を手に取った。
ユダヤ人は3000年の歴史の中、世界中で迫害され続けてきた。時に多少の信仰の自由を謳歌できたこともあったが、基本的に迫害されてきたことは一貫している。
そのように迫害されてきた民族の一部が、イスラエル建国を望むようになったのは理解できるし、3000年の時を経てそれが実現されたのは驚異的なことだと思う。
しかしイスラエル建国後に、今度はイスラエル人(ユダヤ人)がパレスチナ人を迫害するようになったことはある種の皮肉である。迫害されてきたマイノリティも、マジョリティになった途端にマイノリティを迫害する側になるというのは、歴史が物語る悲しい事実である。
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ユダヤ人の歴史を知りたい
そのままの理由から、探した一冊
著者はアメリカ・ユダヤ教神学院教授であり、ラビの資格をお持ちだ
なるべくわかりやすく率直で普遍的なユダヤ人の歴史書を目指したとのこと
しかしこれはなかなか辛い読書であった
と言っても皆様が想像されるであろう理由はもちろんではあるものの、ひたすら似たような史実が延々と続くため、何度もデジャブの錯覚に陥る
しかしながらそのくらい、いつの時代も、どの地域においても迫害され差別され…と延々繰り返さていることをひしひしと実感した
またユダヤ人の歴史は古さと長さで知られた民族である
イランから地中海沿いに至る西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ…とこれら多くの地域の歴史および文化の移動と変遷がユダヤ人の歴史の一部である
そう、コンパクトに知るのは難しいのである
起源は古代イスラエルから始まる
ユダヤ人の歴史の幕を開けたのは古代イスラエル人
紀元前100年頃にカナンの地に王国を築く
しかしながら古代イスラエル人がどこから来たのかははっきりしないようだ
ここからは気になったポイントと流れに変化のあった歴史内容を絞ることに
■ユダヤ人がなぜ時空を超えて共通の国家、共通の言語、民族的組織がない状況において、アイデンティティを保つことができたか…
「トーラー」という聖書の最初の5冊からなる律法の書物の研究と遵守によるものでは…との解釈がある
これを元に公式の歴史と法律、慣習、宗教的行事を編纂し、宗教的行為に絡めて民族的アイデンティティをつくり出した
それがユダヤ人のアイデンティティとユダヤ人の宗教の大きな特徴となった
(これは興味深い内容だ 当初は共通の言語ももたず、ちりちりバラバラに他国へ渡ったとしても、相手国に吸収されないアイデンティティ その理由の一つが書かれている気がする)
■ヨーロッパにおける土地所有者と農民から成る中世封建社会において、ユダヤ人はその枠組みから外れている
これに宗教異質性が加わり、嫌悪と憎しみの対象となった
(商人としての技量を買われて招かれるケースも多いが、結局土地を所有しない彼らは、異質とみなされることになる 随分勝手な話だ)
■イスラム教徒からエルサレムを奪回する目的だった十字軍だが、反キリスト教徒に向けられた宗教的憎しみがユダヤ人に対しても向けられてしまう
そのため反ユダヤ的感情が定着し、ユダヤ人の虐殺に
ここからユダヤ人が迫害が始まった
(この時期のペストでさえ、ユダヤ人が井戸を汚染したせいだとされたらしい)
■19世紀にはシオニズム運動が活発に
シオニズム…イスラエルの地に故郷を再建しようという思想や運動のこと
この時代、民族国家の復活への運動を果たすセルビア人、ブルガリア人、ルーマニア人に続けとばかり、長年抱えてきた問題を根本的に解決するためにはユダヤ民族の独立国家を建設するより方法は無いと考え始めた
■ヘブライ語を話し言葉として復活させる
書き言葉としては存在し続けていたが、話し言葉としては紀元一世紀には使われなくなっていた
この復活は近代においてユダヤ人が成し遂げた最も大きな業績
未だかつて歴史上、一旦話し言葉として使われなくなった言語が長い時代を経てまた使われるようになった例は他にない
■第一次世界大戦中、イギリスは中東地域を支配していたオスマン帝国を切り崩すため三枚舌外交を行う
・1915年10月イギリスとアラブ人の間で結ばれた「フサイン=マクマホン協定」
イギリスはアラブ人に対して、第一次世界大戦が終わったあとのアラブ人のオスマン帝国からの独立を支持すると約束(代わりにオスマン帝国への反乱を促す→「アラブの反乱」)
・1916年5月イギリス・フランス・ロシアの間で結ばれた「サイクス・ピコ協定」
イギリス・フランス・ロシアの三国は、第一次世界大戦が終わったあとでオスマン帝国の領土を分割し、領土をどう割り振るかを取り決めていた
また三国の密約のため、その地域に住むアラブ人を中心とした人々には、その協定も知らなかった
・1917年11月イギリスは、
パレスチナにおけるユダヤ人居住区の建設に賛同
する書簡をイギリスがロスチャイルド(ユダヤ系富豪イギリス人)へ送った
ユダヤ人の主張を尊重する意思を表明することで、彼らから財政的支援(戦争資金)を引き出したい狙い
イギリスからの支持も得たユダヤ人は、世界各地から次々とパレスチナの地へ移住してくるようになった
またヨーロッパを中心にユダヤ人の排斥運動が高まってきたことも、その流れを加速
しかしユダヤ人が急増した影響で、もともとパレスチナの地に住んでいたアラブ人との衝突が生じ
これがアラブ諸国の紛争につながる
ユダヤ人の存在に対するアラブ人の反感は強まっていった
■1948年イスラエルは独立宣言をする
国連がパレスチナをユダヤ人国家とアラブ人国家に建設する案を可決
すると直ちに周辺国家からアラブ人ゲリラがユダヤ人居住区を襲撃
イスラエルは独立宣言をするものの今度はヨルダン、イラク、シリア、レバノン、エジプトの正規軍が一斉にイスラエルへ大規模攻撃を仕掛ける
■1949年総選挙が行われ、国会が召集
アラブ人諸国のゲリラ攻撃は続く上、イスラエルとビジネスをしている企業やイスラエルの港に立ち寄る船会社をボイコットしたり、アラブ諸国の空域の使用を禁止され、イスラエルへ訪問したことのある旅行者はアラブ諸国への入国を拒否された
各国に散らばっていたユダヤ人難民の大量受け入れも経済的、社会的にもたくさんの困難をもたらした
(ここまできても、多くの問題を抱え前途多難ながら国としてようやく機能し始める 何とも涙ぐましい)
■1959年にな西ドイツと国交正常化を図る
しかしヨムキプールなどその後も戦争や奇襲攻撃を受ける
■1977年エジプトと国交正常化
エジプト経済の行き詰まり、米国カーター大統領の斡旋などのおかげ
■長年に渡るパレスチナ問題
デモ、ストライキ、暴動が続く
幼い子供たちがイスラエル兵(こちらも少年、青年に過ぎない)に向かって石を投げる姿も…
■アメリカにおけるユ���ヤ人
ヨーロッパ大陸において、何百万人もが殺され、何百万人もが逃れたため、ユダヤ人の人口は減り、代わりにラテンアメリカやアメリカ合衆国、カナダへ流れた
アメリカは最も開かれた社会であるゆえに、ユダヤ人としてのアイデンティティをいかに保持していくかという問題に直面することに
またアメリカに住むユダヤ人はイスラエル建国後もアメリカに留まるケースがほとんど
(それほどアメリカに住むユダヤ人はアメリカナイズされていた)
拷問、生き埋め、火あぶりの刑、焼き討ち、大量虐殺、強制改宗、集団自殺、差別、強制収容、餓死、射殺、窒息死…
これらの単語が時代ごとに、各地域ごとに、何度も何度も出てくる
読み終わるのにかなりの時間を要した
しかしまだボンヤリとしか理解できていない
歴史も長く、広く、壮大でなかなかまとめることもできず、レビューを書くのも苦労した
なぜユダヤ人はここまで迫害されるのか
なぜユダヤ人は消滅しなかったのか
なぜユダヤ人は欧米のような
自由、民主主義、市場経済等の価値観を持つ国家となったのか
なぜユダヤ人はハイテク産業が強いのか
まだよくわからない
もう少し世界史的知識を増やして改めて読んだら理解が深まるかもしれない
他の著からのアプローチも必要なのを実感
いつかイスラエルに行ってみたいのだが、もっとイスラエルとユダヤ人を知ってからでないと、
なんとなく行ってはいけないような気がしているのだ…
なんとなく…