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読み終わってからしばらく頭をクールダウンしなければ言葉をうまく紡げなかった。
ここまで残酷に醜くオンナを描いた小説があっただろうか、と。
これは、醜いほど無垢な嫉妬と、美しくゆがんだ憧憬が生んだ悲劇。
美も醜も、ある程度の範囲を超えてしまうと、それだけで「普通に」生きていくことさえできないのか。
目に入れても痛くない、とか、食べてしまいたいほどかわいい、とか、言うけれど、究極の愛というのは「殺したいほど憎まれたい」という欲望なのかもしれない。それが狂気という世界でのみ成り立つ一方的な関係であったとしても。
読んだあと、きっと誰もが言うだろう。「全然共感できない」と。
そう。「共感できない世界だ」、と自分で自分を守らなければ立っていられないほどの衝撃を与えられるから。
「自分は彼らとは違う種類の人間なんだ」、と言い聞かせなければずるずると引きずる混まれてしまいそうになるから。
純粋な愛ほど、恐ろしいものはない。
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この作家さん、官能小説家なのね。 なのでそのテの場面はそこそこありますが、それ以上(異常かも??)に圧倒されるものがありました。
「美形の女の人もいろいろ大変なのね」 と
「ブサイクでもこーゆー心持ちにはなりたくない」 の二種類の思いです。
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こういうのも愛と言ってしまえば何でも許されるようだが、こういう妄執の対象になってしまう存在の悲劇が突き抜けて、新たな存在意義を見いだしたような、少し薄気味悪い物語だ。
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なんとも凄まじい小説だったな。物事がいい方に動き出したらそれを潰され前よりも心が砕かれる織江。初めから希望を持たなければ苦しまずに済むけれどその矛盾にも苦しむ。
突出したものは美でも醜悪さでも目立ちマイノリティの人達は世の中生きにくいんだろうな。織江は特にプライドが高いので現実を受け止めそれを乗り越える力が弱いのかもしれない。それに対してユウは織江というたった一つの光があるだけで、前へ前へなにを踏みつけても進んでいく力がある。2人足して2で割ればちょうどいいのかも。それにしても最後の追い込みはエグかった。織江は崩壊して2人を身体に本当に取り込んだ…っていうよりユウと尾崎が織江に乗りうっって織江を護ろうとしてさえいるのかまもと思わせる終わり方だったなあ。長編だったけど、私の好きなジャンルだったな。面白かった!ぜひ、次の小説出たら読んでみたい作家だ。うかみ綾乃。覚えておこう。
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織江に対する由羽の気持ちは愛情?嫉妬?憎しみ?相手が受け入れてくれるかどうかはお構いナシなのね。由羽の思い込みが強引すぎて、ハッキリ言っちゃうと「不快」です。
ひたすら感性が合わず、共感しづらい物語だけど、これは少々不本意なことも受け入れるための訓練だと考えるとか、耳触り?肌触り?の気持ち悪さを楽しむための作品なんだと無理矢理割り切ってしまったら、あらら意外と不協和音も面白かったりします。
世の中には美人ってトクだなぁと感じることもあるけれど、「美人には美人なりの苦労がある」みたい。あまりにも美人すぎるのも善し悪しだなぁ。
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誰もがうらやむ美貌の小学生・織江と、彼女に憧れる醜い同級生・由羽。前者には高校生のときに一生を左右してしまう事件が起き、数年ののちに2人は再会を果たす。
事件を書き記すことで復讐を誓う織江、それをアシストする片眼の編集者・尾崎、そこに勝手な親近感で近づく由羽。3人が交互に主導権を握る形で歪んだ関係が続く。やがてスポットライトを浴びようとしていた織江に、再びの悲劇が忍び寄る……。
人間が、とりわけ2人の女性が奥底に抱えている本音やドロドロした感情が余すところなく描かれていて、読みながら本当に背筋がゾクゾクした。人間の生きる理由とは何なのか、極限状態に置かれたときに行き着くところはどこなのか……。
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16歳の時にレイプされて人生が狂った美しい女性、その女性に自分を重ね合わせようとして(同調させようとして)狂う醜い女、それに、妻と子を病気で失い、自分も眼病で失明の危機にある男性編集者が、どこまでも同期せずに最後のエンディングを迎える。人間の歪みや狂気が描写されて、心理的に全ての読者に受け入れられるような内容ではないが、面白く一気に読めた。
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「本年度最大の収穫」
きらびやかな箔押しの帯に、
どんな作家かもわからなかったけど
ハードカバーをいきなり買ってみました。
人よりぬきんでて美しく生まれた女と、
人よりぬきんでて醜く生まれた女。
彼女たちの不協和音、それが「ドミソラ」。
おもしろくってあっというまに読んでしまったけど
途中からどんどんぶっとんでいっちゃったので
前半の純文学路線で行ってほしかった。。
作者は美人の、エロもの中心でやってきたかたみたいだけど
文章もとてもきれいだったので、
また一般作が出たら読んでみたい。
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裕福な家庭に育ち容姿端麗で人気者「織江」、肥満体質でいじめ対象だった「由羽」。織江は由羽を無視しようとするが、由羽は執拗に織江に接近してゆく。そんな中起こった織江のレイプ事件を期に物語は一気に狂気の世界に突き進んでゆきラストまで一気に読ませる。
由羽と織江の立場と心理ががくるくると変化するのが面白い。
官能小説作家は文章がうまいというのは本当だ。
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中盤はなんだかダラダラして読むの辛かったし、序盤の織江に魅力を感じないぶん、由羽の気持ちにも賛同できなかった。
でも最後の章は良かったです。
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全体を通してかなり強い負の感情、偏執的な感情が描かれているので読み手を選ぶと思う。雰囲気的には白夜行に似ているかなと思ったけど、方向性は少し違った。
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誰もが振り返るほどの絶世の美人だが集団レイプの被害者となり人間不信で人前に出られない少女と、その美しい少女に異様なまでの憧れと執着をもつ醜い少女の二人の人生を描いた話。
醜いがために歪んでいく少女が恐ろしい…美しく高慢な少女のボロボロになっていく様も。集団レイプの暴行の描写が凄くて気持ちが悪くなるくらい、対して後半は性描写が増えて「あれ?エンタメ小説だっけ?」という感じ。前半の感じまま最後までいって欲しかったかな。
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16歳で穢され心を閉ざしてしまった容姿端麗な女・織江、彼女の唯一の理解者であると思い、彼女に執着する醜い女・由羽。そして、眼病を患いながら、織江に人生を捧げる男・尾崎。不協和音(ドミソラ)を奏でながら、話は展開していく。途中までは嫌な感じではあるけど、読ませる内容だったのに、終盤はもう一展開あってもよかったのになぁという感じで、ちょっと物足りなかった。