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いやぁ、なかなか面白かったですね。途中早い段階で気付いて
しまったけれど、『葉桜の季節に君を想うということ』と
『イニシエーション・ラブ』を合わせたようなトリック。
映像化はできない作品ですね。間違いなく。
物語は彼氏と彼女の視点で交互に語られていきます。
ま、これが味噌なわけですよ。
あー、でも、「きっとこうなんだろうな。」って思ってた、
ある程度正解してた結論の一部に至っても彼女の側の行動に
謎が残ってしまって最後に、「あー、なるほど。」ってかんじ
だったな。7割くらいは当たってたのに・・・ちょっと残念。
帯に書いてあること、あながち外れていません。
次々に謎が浮かんでは、論理的に解消されてはまた謎が。
そんな繰り返しなので、頁をめくる手が止められませんでした。
事件のトリックそのものよりも、語り方によって騙してくれる
文系なミステリが好きな方にはオススメですよ☆
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結婚式当日、祥子は婚約者のユウ君が指輪を取りに帰っている間に拉致されレイプされる。
これらの出来事を背後で操った何者かの存在に気づいた祥子は真相究明に乗り出す。
祥子とユウ君、それぞれの視点で語られる一連の出来事。
二人が再会した時にひとつになったこの事件の驚くべき結末!
黒田研二さん、単独では初です。共著は読んだことあったのですが。
大枠の仕掛けは早い段階でわかりましたが、すごい伏線の嵐に驚き!
これら全てがラストで次々につながっていくところは爽快でした。
犯人の前に現れた祥子の両親の幻に、ちょっと「なんだよこれ」って思ったのですが、それすらもきっちり説明をつけてくれたのには拍手です。
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第16回メフィスト賞受賞作。
挙式の日、花婿が事故で死んだ――。
知らせを聞きつけた花嫁は、花婿の会社のものだという男たちに連れ去られてしまう。
挙式の日、花嫁が消えた――。
代わりに教会にいたのは、自分も今日ここで花嫁と挙式を行う予定だったと主張する男ふたり。
男と女、ふたつの視点から生じるズレ。
事件はどこへ向かって行くのだろう。
くろけんこと黒田研二の長編デビュー作。
長くミステリ書評サイトを運営していただけあって、地に足のついた作風。
(とはいってもメフィストデビュー。誤解しないでほしい)
視点の違いとズレを楽しむ作品だった。
ひとつの事実が明らかになるたびに、もう片方の視点から矛盾していることに気付く。
読んでいる間中、心地よい酩酊感に浸れた。
残念だったのはズレの正体、つまりトリックに見当がついてしまったこと。
まとめあげた技量は見事だが、先例がないわけでもないので仕方ない。
途中、大がかりな物理トリックが登場する。
しかし、そのことを大仰に解決するのではなく、比較的あっさりと流してしまう。
この扱いには非常に好感が持てた。
解説では大掛かりな物理トリックがあるから本格だというようなこと言っていたが、この作品においてこのトリックはおまけ程度のものでしかない。
解決編のあの場面において重要なのは花嫁の、そして花婿の正体と目的なのだから。あそこでトリックについて大げさにやられても興ざめだった。
物語としても綺麗で読後感も良かった。
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様々な伏線がはられた!
みたいなコピーだったから、またもや疑り深く読み始める。
だから話がかみ合わなくて気持ち悪いし
読みにくいし…
仕掛けが分かった時も微妙だし…
☆ふたつ
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小説ならではのトリック。
女性の本質を見た事がないと理解できない部分もあって、
そこが難点かな。
たぶん、真相がわかっても納得いかない人も多いと思う。
でも、そういう人はきっと幸せなんだろうな。
著者の作品ははじめてだけど、重くなりそうな話を、
嫌悪感を抱かせることなく読ませるのはうまいなって思った。
もっと本格よりの作品があればまた読んでみたい。
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デビュー作という事を差し引いても、少し肩透かしを食らった感が否めない。
章毎に変わる視点、という時点でトリックの半分は予想が出来るが、もう1つの大技トリックは見抜けなかった。どちらにせよ、どちらのトリックも小説ならでは。そういう意味でも正直「十角館」の足元に及ばない。
次作が積読されているので、期待。
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途中でトリックには気がついたけど、最後まで読めた。
視点がぺこぺこ変わる時点で「ははは~ん」と。叙述系ミステリってこういうのいうのでは?とひとりで納得した。
こういうのはお話のシチュエーションを先に思いつくのかな、トリックが先なのかな。
何気に怖い表紙。
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メフィスト賞に慣れているあたしには、
これでもかの伏線てんこもりも、ばりばりの誘導も楽しめたけれど、
人によってはまったく意味不明だったと思われ。
トリックがあまりに大仰の割につまらなくて、
これを島田荘司作品と並べる解説には苦笑。
ってゆーか、スタジオだからそういった大掛かりな作り込みが
できたと言いたいのかもしれないけど、いやいや本来の用途はなんだったんだ?
と思わず突っ込み。
パラレルワールドものなのか、
フォーカスされた登場人物をあいまいにしたいのか、
時間軸を意図的にずらしたいのか、
いろいろ考えながら読んだのだが‥
最終的には、「うへ?」って感想でした。
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第16回メフィスト賞受賞作。
あなたはきっと間違える。
意図された錯誤。
平行世界に騙される。
ああ、この無造作な喪失。
結婚当日に何者かに襲われた祥子。
婚約者ユウ君と手分けして犯人を見つける。
彼女とユウ君との間に見事な矛盾が生まれ……。
乖離していく。
けして、最後まで認知不可能。
水没していくピアノのように。
ローファーを履いて走るように。
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2011/10/20 Amazonより届く。
2012/2/10〜2/15
第16回メフィスト賞受賞作。
いやい、見事にやられた。祥子とユウ君のすれ違いが、そういうことだったとは。タイトルもそういうことだったのね。
黒田さんの作品は、二階堂黎人氏との合作しか読んだことが無かったが、こういう作品を書く人だったんだ。次作品のペルソナ探偵も楽しみだ。
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結婚式当日、祥子は、婚約者のユウ君が
踏切を横断しようとして事故にあったという報せを受け、
病院へと急ぐ途中、二人組の男に拉致され、暴行される。
しかも、自分を拉致するためのでっち上げだと思われた
事故の話も事実で、ユウ君は帰らぬ人となってしまった――。
一方、ユウ君は、結婚式当日の教会で、
祭壇の上に引き裂かれたウェディング・ドレスを見つける。
その日から、婚約者の祥子とは連絡がとれなくなってしまう。
途方に暮れる彼は、偶然街で出会った、自分に似た男とともに
奇妙な猟奇殺人事件の目撃者となるのだが――。
祥子とユウ君の体験の奇妙な食い違い。
二人はパラレルワールドに迷い込んでしまったのか。
再び二人が出会うとき、不可解なジグソーパズルは完成する。
鍵となるのは、とあるアダルトビデオと、
祥子の母が遺したウェディング・ドレス。
各方面で活躍する、黒田研二のデビュー作。
第16回メフィスト賞受賞作品。
文庫化があまり進まないメフィスト賞受賞作品だが、
本作も、ノベルス版の発売から8年ほど経っての文庫化。
この機を逃したら一生手に取ることはないと思ったので、
発売直後に衝動買いしてから寝かせておいた一冊。
比較的キワモノの多いメフィスト賞の中では
逆に異彩を放ってしまうほどにまともな作品だった。
ただ、オーソドックスなミステリとは言えない。
殺人事件が起こり、その犯人を探す、
というようなパターンの作品ではない。
祥子パートとユウ君パート、どちらにおいても、
そちらに書かれていることだけを読めば、
これといって不思議なことは起こっていない。
作品中に登場する唯一のミステリ的なトリックは
藍田麻美という女性の殺害に関するものだけで、
それ以外には、特に不可思議な状況はないのである。
だが、二つのパートを交互に読むことで
読者だけが体感できる不思議さがある。
「二つのパートの奇妙な食い違い」がそれだ。
結婚式当日のそれぞれの体験が異なることに始まり、
その後もいくつもの「?」が登場してくるのだが、
最後にはそのすべてに納得のいく解答が用意されている。
ほとんどの読者は、仕掛けのおおよその“形”に
うすうす気づきながら読み進めることだろうが、
完全に真相を看破できる人はまずいないだろう。
そういった意味で、ミステリとしては及第点だと思う。
が、全体としてはそこまで絶賛する気にはならない作品である。
まず、
「あるときまで同じ体験を共有してきたはずの二人が
ある日を境に別々の世界に迷い込んだかのようになる」
という設定をもっと活かし、
不気味さをもっと強く打ち出すべきだと思った。
せっかく「パラレルワールド」という言葉まで登場させたのに
そのような演出をしないのはもったいないのではないか。
これが綾辻行人なら、二つのパートにもっと共通性を持たせ
それでありながらどこかが奇妙に違う、という書き方で
読者に強い眩暈感を覚えさせるようなつくりにするはずだ。
また、キャラクター造形も全然うまくない。
別に現実味がないと言いたいわけではない。
ハードボイルド小説の登場人物や、
伊坂幸太郎の小説に登場するキャラクターだって
現実味なんてこれっぽっちも感じさせないが、
でもそれらのキャラクターは作品の世界にハマっているし、
逆にそのキャラクターが作品世界を作り上げてもいるわけで
違和感のようなものはまったく感じさせない。
だが、本作では、キャラクターの不自然さが気になる。
高田崇史の小説を読んでいても同じように感じるのだが、
何がどう変に感じるのかは、まだ分析できていない。
あと、何もかもが結末に関連してくる構造はいいのだが、
祥子の出生の秘密や、作家の勝田の存在までもを
事件に絡めていくのは少々やりすぎではないかと思った。
その部分を削ぎ落として、もっとシンプルにしても良かったはず。
メフィスト賞は当たり外れが大きい賞であるが、
この作品は決して外れではない。
だが、当たりかと言われれば、森博嗣や殊能将之、
西尾維新、舞城王太郎などと比較したときに
どうしても見劣りがしてしまうというのも事実。
ミステリ好きは読んでみても損はしない。
だが、ほとんどの人にとっては、読まなくてもいい小説。
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普通に良かった。
ぶっとんだトリックがあるからそこに批判があるのだろう。
わかりやすい仕掛けには目をつむろう。
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何でしょうか…
ズレ漫才を見ているかの様な展開。
トロサーモンを何故か思い出してしまった。
要するに楽しんだって事だ。
こういのは好きな部類。
後半にバタバタと繋がる感じはね。
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3-
どうやら時間を錯誤させる叙述トリックには全く驚けない体質であるらしい。他作の例を挙げるのは、それだけでネタバレになてしまうので控えるが、今まで読んだ中では特に面白いと感じたものはなかった。楽しめない一番の理由は、読み始めるとすぐに「あ、時間を錯誤させようとしているな」とわかってしまうからである(大概1年ズレているパターンが多い)。それがわかると他の謎にもある程度推測がついてしまう。そう思わせておいて実は…、となってくれればいいのだが、大抵は読み手が課したハードルを越えてくれない。それでも話自体が面白ければ、ある程度は楽しめるので、無理にその手の小説を避けるようなことはしない。しかし、わかっちゃった時点で心の準備は完了なのだから、その後の展開にはあまり期待できない。
それは本作を読み終わっても変わらない感想、変わらない認識であった。更に本作には大掛かりな物理トリックによる犯罪も行われるのだが、これも少しでも映像制作をかじったことのある者にはバレバレなのであった。だがこの手のトリックを用いようとした発想自体は大いに好感が持てるし、共感もできる。
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時間軸を起用し視点を変える・・まぁ良くあるトリックでは
ありますが、怒涛(?)のクライマックスまでは面白く読めますね。
ただ、少し雑な感じがして伏線回収の快感がイマイチってのがマイナスかな。