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作家をおさえるサンデー、アイデア勝負のマガジン
2015/10/24 21:25
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投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年の子供は、夏目漱石などの小説ばかりを読んで漢文を読まない。これは子供の危機である。
歴史は繰り返される。文豪の作品もまた、悪書だったのである。
1955年時の内閣総理大臣鳩山一郎が施政方針演説でこういった。「・・・覚醒剤、不良出版物の氾濫はまことに嘆かわしい事態でありますが・・・」マンガは覚醒剤並みの扱いだったのだ。まあ孫はハトポッポなんだが。
「小学1年生」を出版する小学館には悩みがあった。小学六年生を卒業すると旺文社の中学時代に移ってしまう。 1958年、すでに出生数は減り始め子供の人口ピークは当時の5年生だった。何もしなければ衰退は避けられない。小学館の学習マンガはつまらなかった。それを改革しようと当時悪書と言われたマンガを使って自社のブランディングをしようとしたのだ。
少年サンデーは月刊誌で7、8本を抱える手塚治虫を押さえた。ボツになっった企画は「もしも君」体が悪かったらどうするかと言う読み切りの医療マンガで後に主人公は悪役「ブラックジャック」となって生まれ変わることになる。
ライバル講談社にサンデーの噂が伝わったのが翌年1月。そこから少年マガジンはサンデーと同日の相関を目指し当初5/5の予定が最終的には先陣争いの末3/17で決着した。サンデーはトキワ荘の藤子不二雄をわずか2日違いでマガジンより先に押さえた。親を安心させるため長谷川町子とフクちゃんの横山隆一にも連載を持たせる盤石の態勢だ。そして表紙は長嶋茂雄、一見するとスポーツ雑誌に見えるようにマンガアレルギーに対処する。
マガジンの表紙は朝汐太郎、当時一番人気の力士ではない。作家で劣るマガジンの戦略は特別付録のマンガ、これを合わせると紙面の60%がマンガになる物量作戦だ。元になったのは付録に国語辞典をつけた少女クラブ。このアイデアで同士の売り上げ記録を更新したのだ。マーケティングではマガジンが先行したとも言える。
しかし、肝心のマンガが面白くなくては話にならない。そこでマガジンが取り入れたのが分業制だった。少女マンガにいたダイヤの原石、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、松本零士、ちばてつやを引き込み野球を全く知らないちばてつやに原作付きで「ちかいの魔球」を書かせた。これが巨人の星のプロトタイプだ。テレビ、ラジオとのタイアップ、専属アシスタント制、読者アンケートの重視と作家で勝負できないことがイノベーションを起こしたようだ。
読者プレゼントは切手ブームを起こし、すでにメディアミックスと玩具やお菓子とのタイアップなど、現在の産業モデルが生まれ始めていた。
当時のマンガの図解は馬鹿にできない。もともとマンガ、テレビ、スポーツ、科学の総合誌だったのだ。ウルトラQを紹介して怪獣ブームを起こしただけでなく1969年のグラビアではDNAを解説し、来たるべき情報社会の自動運転、カーナビ、教育マシンと言う名のネットワークにつながったコンピューターを紹介している。ちなみにウルトラマンの3分間の設定もマンガのグラビアが勝手に作ったものなのだ。
テレビとのタイアップも成功したが一方で本来は良質なSFで有ったはずのドラえもんやオバQが子供よりに偏りすぎたり、新しい玩具を売ることが優先されたり作品の都合が優先されなくなった。アニメの制作費が異常に安く、スタッフの給料が安いという弊害をもたらしたのは手塚治虫の鉄腕アトムのせいで、ディズニーに憧れる手塚が日本初にこだわり印税収入で制作費を補填し常識の1/3の1本50万でやってしまったためだ。
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こんな風に、ダイナミックに時代を動かしひとつの文化を支えた人たちがいたのだなあ。ニーズやポピュラリティに偏重しがちな時代においては考えられない博打うちだらけだけれど、それこそが本当は新しいものを生み出すパワーなのかもしれない。
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http://ike-chan.at.webry.info/200906/article_21.html
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自分の全く知らない世界の話なのに、当時の勢いとか活気が伝わってきました。今巨匠とされるマンガ家さんたちはこういった所から出てきたのか、とかこの作品はこうやって生まれたのかとか・・・とにかく新鮮な気持ちになれる一冊。
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「電子書籍時代を考える上で」
人々に喜ばれるコンテンツを作り出すための情熱と人脈そして根性の物語。
電子化というどこか冷たい響きが一人歩きしている感が否めない昨今、コンテンツ作りの裏側にあるパッションと人間臭さをビンビンに感じる一冊。
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[ 内容 ]
1950年代終わり、高度成長の入り口に立った時代の空気を察知した小学館、講談社は週刊少年誌創刊に向けて始動。
早くも激しい先陣争いを展開した結果、サンデー、マガジン2誌同時創刊に至る。
線の太く丸いメジャー漫画家の獲得、“さわやか”イメージ戦略、正統派ギャグ漫画路線を掲げるサンデー。
他方、マガジンは、原作と作画の分業体制、情熱的な“劇画”路線と巻頭グラビア大図解を展開―それぞれ独自の方針を掲げ、熾烈な読者獲得競争を繰り広げた。
本書は、両誌の黄金時代を現場で支えた男たちの人間ドラマに迫る。
元編集者の証言は、私たちにスリルと多くの知恵を与えてくれる。
懐かしい名作やブームの裏話も満載。
[ 目次 ]
第1章 夜明け前
第2章 先陣争い
第3章 危機を好機に
第4章 サンデー快進撃
第5章 TVマンガの時代
第6章 なぐりこみ劇画野郎
第7章 万博とよど号
第8章 しのびよる黒い影
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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先日、番組予告をしていたのに、見逃してしまった。でも、この本によれば、番組に使われたのは、取材したうちの二割だそうだから、読むだけでも十分かもしれない。グラビアを一度原寸大でながめてみたいと思った。
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毎週発行という厳しいスケジュールの中で、ライバル誌とせめぎ合いながら発行を続ける編集者の苦悩と感動が痛快に描かれている。
「作画と原作の分離」「競争原理の導入」「創刊時の原点回帰」「最後は直感を大切にした判断」など、サービスの立ち上げにも通じるヒントが得られた。
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何の巡りあわせか同日に創刊された少年サンデーと少年マガジン。創刊に至る経緯から15年間の抜きつ抜かれつの競い合いの歴史が語られます。作者はNHKのプロデューサーだけあって、テレビドキュメントを観るように楽しく読めます。
で、去年買ってあったこの積読本を読むきっかけは、何といっても「ゲゲゲの女房」。ドラマのアンチョコとしてもすごく役に立ちます。
夜明け前
先陣争い
危機を好機に
サンデー快進撃
TVマンガの時代
なぐりこみ劇画野郎
万博とよど号
しのびよる黒い影
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編集者たちの戦術と戦略の話や、裏話が満載のこの新書、どこを切っても面白い話ばっかりで、中身を紹介する余裕はない。昭和30年代と40年代前半、マガジンとサンデーを読んでいたものならば、絶対面白い。
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少年マンガ誌創成期のチャレンジ精神とライバル関係のしのぎ合いが当時の時代性を感じさせて熱い。文章も熱い。校了日が一緒だから編集長同士はたびたびお酒を飲み交わしていたというエピソードがかっこいい。
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2009年刊行。少年向け週刊誌マンガの創刊に始まり、その激烈な攻防を経て、一定の社会的認知を得ていくプロセスを活写。後に新興勢力として競合関係に至ったジャンプやチャンピオンの話しは少なめ。
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サンデーとマガジンの創刊から、やがてジャンプに王座を明け渡すあたりまでの歴史をまとめたノンフィクション。
知ってる話も結構あったけど、やっぱり面白い。
いろんな漫画家や編集者などの群像劇が最高。
この続きもやってくれないかな?
ジャンプの隆盛、チャンピオンの躍進とか。
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3/17は漫画週刊誌の日
1959年、『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』が創刊。
その歴史や人間ドラマをさぐる一冊。
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サンデーとマガジンの苦闘ぶりや、漫画家と編集者のさまざまな個性が面白い。ひさしぶりに読んだが、また数年後に読みたくなるだろう。