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万葉集の〈われ〉 みんなのレビュー

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みんなのレビュー1件

みんなの評価4.7

評価内訳

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紙の本

タチアゲテメールナキヨハホンヨミテタダカキアゲテヒトリカモネム

2007/07/04 02:17

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る

 万葉集など縁がないと思っていたが。本邦歌道・研究者の重鎮とも言える著者のお名前は俵万智さんのお師匠筋にあたるということで気にはなっていて、本書ではじめて手にとってみた。実にわかりやすく、現代的な課題も軸に据えられた名著である。
 柔らかいなタッチとはいえ、手堅く当時の歴史社会、民俗の解説を加えつつ、万葉集を中心に数々の名歌を取り上げ、ていねいな解釈を加え、万葉集における「われ」とはどのようなものか、どう表現されていたか、どのような社会背景、人間関係、権力関係に位置づけられているのか、歴史の中でどう変容していったかをやさしくかつ冷静に分析していく。そして現在の「われ」にいたる萌芽をも万葉集に「読み」こんでいくのだ。
 まず、本論と引用する各歌のバランスが良く、本論に引き込まれる一方、門外漢にもわかりやすい全訳と背景説明付きの万葉集の名歌も楽しく味わうことができた。
 まず「なぜ短歌は一人称詩なのか」という根本的な問いかけで始まり、作歌者<われ>と読者<われ>との相互関係、7〜8世紀の中央集権国家、都市社会の成立における社会的<われ>の成立、明治維新後、日本人のナショナル・アイデンティを支える文化装置として、それ以前長らくごく一部の人にしか読まれてこなかった「万葉集」が脚光を浴びた経緯の紹介(品田悦一氏の「万葉集の発明」を取り挙げている)、そして著者自ら、万葉集に出てくる<われ>を検索して精査していく(万葉集の<われ>=1780(4500歌のうちの39.5%) 、古今集の<われ>=140、(1100歌のうちの12,7%))、第一章「はじめに」からしてスリリングだ。
 第二章「万葉集の<われ>の現場」では宴席歌、旅の歌、葬歌から挽歌への変容、相聞歌などを扱い、関係性や場面においてある種要求されて演じる「キャラ」としての<われ>の存在、当時一般的だった、代作をすることが(額田王などの)、歌人にとって、相手の内面描写をより意識的に行うという、純粋詩への契機になったことという山本健吉氏の指摘(「詩の自覚の歴史」の紹介など、なめらかな文章と引用される美しい和歌の流れの中で、門外漢にも刺激的な論が展開されていく。
 第三章「万葉集を考える」では万葉集の歌の中に孕まれている、「内と外」の意識、「神」の下での歌語の制度化が日常から離れた詩的表現を可能にしていくさま、万葉集の編集者=読者としての柿本人麻呂、大伴家持の存在などが活写され、第四章「終わりに」に至る。
 二〇〇六年六月まで雑誌「短歌」に一年半にわたって連載されていたものをまとめたものが本書であるが、リアルタイムで読めていたら、もっとワクワクして、次回を待っていたのではと思うと少し残念である。
 理に走りすぎず、情に流されすぎず、読みやすい書物であり、数多くの万葉集の名歌も楽しめる、日本史、詩歌に関心をお持ちの方にはお勧めしたい一冊です。是非。

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