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海外NGOで発展途上国に赴任していた筆者が、シエラレオネの内戦を経験。軍隊が撤退すればその地域が平和になるという空論を否定。各勢力とのバランスを調整しなければならない、「政治」の難しさを実感させてくれます。「イラクから自衛隊は撤退しろー!」な人向けの一冊。作者さんは平和憲法を支持してますからね(本当)。
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伊勢崎氏のことは、以前「NHK特集」で見たことがあり、とても興味を持っていた。タリバン政権崩壊後のアフガニスタンにおいて、群雄割拠する軍閥の武装解除と民主的な選挙を実現しようという国連ミッションを取り仕切る日本人。・・・なぜ、日本人が?
自称「紛争屋」の伊勢崎氏。ぼくが感嘆したのはその精神的なタフネス。本書の序章の部分を読んだだけで、ガツーンとやられました。ぜひ多くの人に読んで欲しい本。
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著者は国際NGOなどで活動している人。なんていうとボランティア然とした人が浮かんでしまうのだが、この人はインドに留学中にスラムの住民組織に入って住民四十万人を一つにして開発事業を行政からもぎ取り、秘密警察からマークされて国外退去になったというすごい過去がある。
もうそれだけでこの本が面白いと決まりそうなものだが、こんなものはまだまだ序の口。目次を見るだけでも、東チモールの暫定政府県知事になったり、武装解除の指揮をとったりと、実に精力的に活動している。
現地を経験した人間の意見は貴重だと思うが、この著者伊勢崎さんは、そこにさらに「政治」が絡んでくるポストにいたために、その複雑さをよく理解している。
個人的に特に気になったのは、日本の自衛隊でも、武力を全く行使せずに、二勢力間の紛争を解決に導く方法があるということ。まあ細かいことは、中身を読んでいただくということで。
紛争に対しても、人によって意見はあるだろうけど、読んでおいて損はない一冊。
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普通イメージでしか語られる事のない、紛争・国際貢献・NPOといった話題に、ピリカラな批評が加えられている。ただ、ごちゃごちゃと生産性の無い議論をふっかけているのではなく、程々のところで議論を切り上げ、話を進める。正論をうだうだ言い出せばきりが無いが、その時その時で出来うる最大限を尽くすしかないという、実務家らしい爽やかさがあった。国際軍事監視団という国際貢献の新たな道について述べられており、非常に新鮮に感じた。
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「人間はなぜ戦争をやめられないか」と同じような興味を持って読んだ。
戦争の前線の視点で書かれているので、そんじょそこらの戦争論・理想論とは緊迫感が全然違う。
行動に出なければ、他人が着いてこないのは分かる。口先だけではダメ。しかし、譲れないしっかりした精神を持って接すればお互いに理解できるのではなかろうか。子供の教育は大事である。そのベースとして、やはり、日本は憲法9条を守るべき。
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停戦合意、というと美しく聞こえるが「和解を善行として受け入れるのではなく、復讐の連鎖を心配するのでもなく、絶望から和解するのだ」という最貧国の苛烈な現実を潜ってきた筆者の言葉は厳しい。
「国際貢献」論議を右左上下まとめてふっとばすハードボイルド。
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正義よりも和平。凶悪な犯罪者、反逆者を恩赦すること。これも一つの方法なんだな。だけどこの様子をみた少年兵たちが、人をあれだけ殺しても町をいくつも焼き討ちにしても、許されるんだと誤解しないようにしなくてはいけない。平和までの道は難しいけど、そこで戦う日本人がいたんだ。
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痛快!一人称で語る国際貢献論。現場で実際に関わった者の言葉には説得力があり、皮肉も効いている。すっかりハマった。とりわけ自己紹介的序章は読書欲をそそる。「本来、国際協力の世界では、金を出す者が一番偉いのだ。
それも、『お前の戦争に金だけは恵んでやるから、これだけはするな。それが守れない限り金はやらない』という姿勢を貫く時、金を出す者が一番強いのだ。」(p.216) 脆弱な日本のジャーナリズムを嗤う意味でも改憲派・護憲派問わず必読。
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今をときめく紛争屋の伊勢崎さん。その一言一言が、現実的で、現場的で、厳しくて、それでも全体をユーモラスがおおっている。最近トランペットに熱中されているようだが、もっと書籍を出してほしい。
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紛争屋、といっても紛争を起こす方でなく紛争を収める方の仕事に従事していた著者による書。東チモールの暫定県知事を務めていた時の様子など、武装解除の現場の様子が生々しくレポートされている。地域紛争が止まない21世紀の戦場で「国際貢献」の実際はどのようなものかよくわかる良書。それだけに、結論には大いに疑問。憲法がいいように解釈されて自衛隊のイラク派兵につながったのであれば、護憲による現状維持は為政者による解釈改憲の余地を増やすだけなのでは?ゆるんみつつある平和憲法のネジを締め直すためにも、日本は国際貢献としてここまでやりますよ、と憲法で宣言した方が現実的な回答だと思うんですがねぇ。
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何もしないでつべこべ云ってるもんじゃねえな!と身にしみて思う。
最後の一文は、いろんなところで聞くが、これほど重みと実感に満ちたのははじめて聞いた。
文章読みやすいし、おもしろい。おすすめです。ここ最近のベスト。
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開発経済学ではなくて、正確には平和構築論の本。以前から存じ上げてはいたけども、伊勢崎先生の本を読んだのは初めて。
ちょうど、最近テレビに出られていたのを見たのをきっかけに読んでみた。
学者が書いた本というよりは、ジャーナリストが書いたような本。
内戦が起こった国で、現場では実際にどのように武装解除をしていくのかが詳細に書かれているので、とても勉強になった。
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テレビの世界で一番受けたい授業でこの作者を知ったが、知れば知るほどすごい人。
作家ではないので書き方自体はうまくはないが、内容が凄い。
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武装解除には主にDDRが行われる。武装解除・動員解除・社会復帰(Disarmament, Demobilization, Reintegration)東チモール・シエラレオネ・アフガニスタンでの筆者の経験と介入に関して述べられている。国連においても国の思惑が交錯し、戦後復興やPKOなどでも利害は衝突する。国が掲げるのはその国の救済以上に自国の誇示か、外交カードの強化など。所詮は国際協力といわれる分野も武装解除も、国にかかわる限り、その国の国益を反映するものであり、それ以上にはなりえない。逆に国益を反映させねばならないのだが、内政干渉と言えど外交カードとして多くを主張することもあながち間違いではないかもしれない。DDRがその国の情勢(政治状況や軍閥など)に左右され以下に難しいかが問われている。日本のかかわりあい方も筆者は述べている。平和を構築するという上で、武力は必要である。それらの抑止力なしにその国を再建することは難しい。気高く見える武力の不必要性も現場では何の意味もなさない。アフガニスタンにおいて、アメリカの空爆を現地住民は嫌う。誤爆もあり危険だからである。しかしそれを声高に叫ばない。なぜならその空爆が治安の安定化の一役を担っていることを知っているからである。まさに誤爆の死者と抑止力を天秤にかけているようだという。最後の章、正義の介入が印象的だった。人道援助ももはや戦争利権の一つであり、NGОだけでなく企業も加わり利権争いをしている。そしてアメリカがアフガンを攻めて時に掲げた人道主義とNGОが掲げる人道主義は同一の主張であるということ。この同一性はいままで定着してきた人道主義という価値観の信頼性を崩壊させ、もはや人道主義をかかげるだけでは信頼を得ることはできないということだ。平和構築に武力は必要であるという筆者の主張は悲しいながら的を得ているのだろう。
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東ティモール、シエラレオネ、そしてアフガニスタン。これらの国での武装解除の経験談をまとめられた本です。やはり経験が一番というか、説得力が違いますね。ただ、この「説得力」は、太陽の日差しによってコートを脱ぐような優しいものではなく、暴風で体ごと吹っ飛ばされるような感じではありますが。